2016年12月29日木曜日

女性と睡眠 (3) 妊娠と睡眠

最近、東京医科歯科大学で、産婦人科のグループと妊婦の睡眠についてディスカッションする機会がありました。睡眠専門外来に来るほどでない程度の妊婦の睡眠の問題は、我々にとってもとても勉強になるものです。また、不眠症やうつ病、その他の精神疾患で外来に受診されている患者様が、妊娠するということもありますので、このような問題について産婦人科の視点をよく知っておくということも大事だと思います。

女性は、10ヶ月もの長期にわたって、自分だけでなく
生まれてくる赤ちゃんを一日24時間感じながら
生活をするという時期をへて出産します。
男性には体験できない貴重な経験です。
妊婦に比較的よく見られる睡眠の障害についての研究は、東京医科歯科大学の精神科の阿部又一郎先生に教えていただいた下記のものを読んでみました。

S. Suxuki, L. Dennerstein, K. M. Greenwood, S. M. Armstrong and E. Satohisa. Sleeping patterns during pregnancy in Japanese women. J. Psychosom. Obstet. Cynecol. 15 (1994) 19-26

この論文は、札幌医大で行われた調査に基づいたものだということです。時期は、秋から冬で、睡眠日誌と質問紙による調査です。(睡眠日誌は、実際の患者さんにも私はよく用いますが、簡便でいろいろなことが分かる方法だと思っています。)

結果として、9割近い(88%)方々が妊娠して睡眠が変化したと答えているということです。また、妊娠期間を3つに分けた最初の3分の1の期間では、睡眠の質は悪化し、真ん中の3分の1の期間では、改善し、その後妊娠後期の3分の1の期間では再び悪化するという変化があるということでした。

特に、妊娠の前期は、悪阻のため、妊娠の後期では、お腹が大きくなってくるために、頻尿があり、腰や背中の痛み、そして胎児の動きによって睡眠が阻害されるということもあるようです。

その他、参加の先生方とのディスカッションでは、妊娠期間中の睡眠の質と、出産後の産褥期のうつ状態などとの関連も話し合われました。しかし、この分野はまだ十分な研究が行われているようではないようです。


もう一つは、妊娠期間中、授乳期間中に睡眠に関わる薬物投与がどうかということが有ります。

妊娠中の薬物投与は特に慎重にしたほうが良いと思いますが、妊娠継続のために薬物治療を続けたほうがければ相対的な重要性のために、続ける場合もあると思います。しかし、その場合の適応や、薬物の選択、投与量などは、主治医と慎重に相談する必要はあると思います。


2016年12月23日金曜日

女性と睡眠 (2) 月経周期と睡眠

女性の月経周期とホルモンの関係です
月経前の高温期には、プロゲステロンの
影響で、子宮内膜は肥厚し、体もむくんできます
月経周期と睡眠の関連については、多くの女性がそれを実感して生活していると思います。私は、男性ですので、これを実感することはできませんが、睡眠の話をきくときに、女性であれば月経周期との関連については見逃すことができません。

図は、女性の月経周期にともなう子宮内膜の肥厚や体温やホルモンの変化を表した図です。このような図は、たくさんの本に出ていますので、ご存じの方も多いと思います。

月経前の約2週間は高温期といって、体温が高くなります。図で言うと上から2番めの赤い線で書かれているのが体温です。矢印の眠い・だるいという時期に体温が高めなのがわかります。

また、その下に紫色でまるい山のように盛り上がっているのが、黄体ホルモンの量を示したものです。この時期は黄体ホルモンの量が多く、これによって子宮内膜は肥厚し、体もむくんでくるわけです。

そして、月経が始まると体温は下がり、黄体ホルモンも少ない状態に移行します。

体温が高く、黄体ホルモンが高く、子宮内膜が肥厚している時期に、なぜ眠気があったり、だるかったりするのかは、詳細なメカニズムはよく分かっていないと思います。月経前には体温が下がっていくので、これが眠気と関係あるということを書いているものもありましたが、推論であって正しいかどうかはわかりません。

しかし、現象としてこのようなことがあるのだということは、よく知っておく必要はあると思います。また、このような現象には個人差があり、この個人差が何からくるものかもよくわかりません。

女性ならではの、このような変化は、男性から見れば「神秘的」ともいえる現象ですね。

2016年12月18日日曜日

フィデル・カストロ議長の死を悼む (終)

キューバを訪問したのは、もう14年も前になりますが、そのころ考えたことはまだ良く覚えています。キューバは社会主義国ですが、ベルリンの壁崩壊後に訪れた旧社会主義国は、未だに人々のメンタリティーは、閉鎖的でシャイでやや暗い印象をもちました。ポーランド、チェコ、旧東ドイツのドレスデン、ジョージア(グルジア)などです。しかし、キューバの社会主義はヨーロッパの社会主義とは比べ物にならないほど明るい雰囲気でした。医療や教育は無料で、人々は幸せそうです。治安はよく、ハバナの街は夜の独り歩きも問題はありませんでした。

フィデル・カストロ国家評議会議長の名刺
しかし一方で、言論の統制はあり、人々がどのような議論も自由にできるかと言えば、必ずしもそうではないように思いました。しかし、主にはフロリダ州に住む、キューバ移民の人達は、キューバ革命の前に資本を持っていた人たちで、カストロに自分たちの財産を奪われたという思いで、現在のキューバ政権を受け入れることができないのだと思いますが、その時代の社会の仕組みが好ましいものであったのかどうかはわかりません。

実際に、現在のアメリカ合衆国もどのような方向に歩んでいくのかは非常に不透明です。

フィデル・カストロ国家評議会が亡くなったことで、キューバの体制は更に変わっていくのだと思いますが、一方で変化していくアメリカ合衆国やヨーロッパとの関係の中で、一体どのようにキューバが自身の位置づけをしていくのか。かつて訪問し貴重な経験をした国の行方に興味があります。

2016年12月16日金曜日

女性と睡眠 (1) 女性の睡眠時間

睡眠の外来を行っていると、女性の患者さんで睡眠の障害を訴える方も多く見えます。これから、しばらく、女性の睡眠についても取り上げてみたいと思っています。

表に示したのは、NHKが5年に一度行っている、国民生活時間調査の最も新しい、2015年調査の結果です。結果のポイントは、以下に示されていますが、これはNHKの報告サイトから引用したものです。これをみると、睡眠時間に男女差があるのがよくわかります。

男女ともに、最も睡眠時間が短いのは40代50代なのですが、その中でも最も短いのはこの調査では、50代の女性です。5年前は40代の女性だったので、5年前の調査のときに40代だった人たちが一部移行したという解釈もできるかもしれません。いずれにしても、この働き盛りの人達は、睡眠を多分「削って」仕事をしているように思います。

女性の方が睡眠が短いのは就床時刻(床につく時間)が遅いからのようです。この理由はハッキリとはわかりませんが、一つには生活のリズムとして男性の方が早く朝型になっていくということがあるようです。このデータは、以前日本大学医学部の内山真先生が出しておられました。これが、生物学的な男女差による要因か、それとも社会的な要因、つまり家庭内で寝る前におこなう仕事量が女性の方が大きいのかについては、更に調べる必要があるかと思います。日本においては、下記のサマリーにもあるように、家事を行う時間の男女差をみると女性の方が圧倒的に長く、更に女性の就労割合が増加していることを考えると、女性が睡眠時間を削って、家事と自分の仕事をしている様子が見ててくるようにも思います。家族の協力の中で、お母さんの睡眠時間を長くできるのであれば、協力していくことは大事なことですね。

また、これ以外の結果のポイントとしては、以下のものがあり、睡眠時間の減少が止まったというのは非常に良いニュースだと思います。
【2015年調査 結果のポイント】

  • 減少が止まった睡眠時間~一層進む『早起き』、そして『早寝』の増加~
  • テレビの視聴時間が高年層まで減少
  • 広がるビデオ・インターネットの利用
  • 続く長時間労働と働く時間の『早朝化』
  • 急速には縮まらない家事の男女差
  • 自由行動(レジャー活動・マスメディア接触など)の増加が止まり、必需行動(睡眠や食事など)が増加



2016年12月8日木曜日

フィデル・カストロ議長の死を悼む (3)


カストロ議長の両脇から、ほぼ交互にキューバ人
日本人が並んでいます。カストロ議長の向こう側に居る
日本人のご婦人は通訳の方で、先日もテレビに出ていた
ように思います。
私が発言しているところですが、
私の発言は失敗でした(本文参照)。
フィデル・カストロ国家評議会議長との会食会は、非常に壮大なスペースで行われました。体育館ほどではないかもしれませんが、その三分の二くらいはある部屋に、カタカナのロの字型に机が置かれ、そこに2-3名に一つづつマイクロフォンがあり、そのマイクロフォンを使って、食事を取りながらおしゃべりをするという趣向です。

席は、日本の代表団のメンバーとキューバ政府のメンバーがだいたい交互に座るような感じになっていたと思います。

会食は、夜の9時ころから始まって、多分終わったのは夜中の2時ころだったのではないでしょうか。キューバの美味しい食事、豚の丸焼きのようなものも出たと思います。

カストロ議長は、南米では良い外交をしているようで、チリの大統領とも仲が良くて、とても美味しいチリワインが手に入ったので、それを今日は皆さんに飲んでいただきましょうということで、頂いた覚えがあります。

マイクロフォンで食事をしながら、会話をするということなのですが、この9時から2時までの5時間のうち、多分8割がたはカストロ議長が話をしていたのではないでしょうか。話は、キューバ革命の時代の話から、現在の小学校教育に至るまで、様々な話がでました。私の印象では、カストロ議長は、キューバ人の父親であると行ってもよいほど、国の中の様々なことを把握しているように思いました。例えば、学校給食では、子どもたちの良い栄養状況のことを考えて、ヨーグルトを出すようにして、それもプレーンだと嫌いな子もいるので、ストロベリーやバナナの味をつけて出しているというようなことを話していました。また、学校には日本製のテレビを入れたのだけれども、日本製のテレビは全く壊れないので、とても素晴らしいとも話していたと思います。

キューバ革命のころの話をしているときに、私と同年代のキューバ政府のかたに、キューバ革命の頃のことを覚えているかと話したところ、まだ幼稚園、小学校低学年だったわけですから、なんとなく覚えているような気はするが、はっきりとした記憶はないと話していました。

キューバの国の政策や歴史に、責任をもってコメントできないのですが、当時のカストロ政権では、カストロと同年代の政治家はほぼ失脚し、若い世代が政治を担うようになっていたと聞いたように記憶しています。

このような話の中で、カストロ議長はそれなりにラディカルなことも話していました。ひとりひとりの日本人メンバーの自己紹介をするなかで、私の番が来て、精神科の医者で、睡眠の研究をしているというようなことを話しました。そうしたところ、カストロ議長は精神科に関連して、犯罪の話になりました。カストロ議長は犯罪者というのはどのような社会体制で、人々の暮らしを良くしても出てくる。これは、遺伝的な背景も絡んでいるということも考えられるので、研究が進めばこういった遺伝子を調べて犯罪をおかす前に隔離することも大切ではないかと言われました。私は、ここで、「遺伝的な背景がそうであっても、教育など環境的な要因によって、必ずしも誤った行動をするとは限らないので、その前に隔離をするといのは、人権上も、日本ではできないだろう。」と答えました。この、「人権」というところが、カストロ議長としては、聞き逃せなかったところであったようで、その後、約1時間近く、この点について、社会的正義との結びつきについて演説されました。私は、なにか、1時間近くカストロ議長に叱られているような感じでした。そのうえ、場の雰囲気を壊してしまったような気もしてあまり適当な話でなかったなと反省もしました。

そんなことも有りましたが、しかし、非常に価値のある経験だったと思います。今から考えると、本当に懐かしい思い出です。  (つづく)

2016年12月3日土曜日

【緊急エントリー】 Jリーグ チャンピョンシップファイナル 優勝 鹿島アントラーズ

レッジサポとしては、なんとも言えない結果に終わりました。
年間勝点1位
年間順位2位
レッズサポには変わりないのですが、
優勝チームに山本脩斗くんが居たのは
とても嬉しい発見でした。
彼は、学生時代私の講義をよく取ってくれて
そして、真面目な良い学生でした。
しかし、最初からわかっていたルールですから、結果を受け入れるしかありません。
浦和はこういうことが多いというのもこれまで経験してきたこと。
また1年間の努力が必要となります。
浦和の人たちは、また一年いつものように働き、そしてレッズを応援することになるのだと思います。
レッズが居てくれることは、それでも、私が子供の頃から育ってきた街の人間としては嬉しいことです。



フィデル・カストロ議長の死を悼む (2)

フィデル・カストロ議長との握手
カストロの評価はいろいろと分かれますが、
彼と握手をしたという経験は
やはり記帳なものだと思っています。
到着した革命宮殿は、立派な建物でしたが一体どこにあったのかはよくわかりません。(革命宮殿という言葉は、正式なことがかどうかはよくわからないのですが、そのように日本人の間では呼んでいたと覚えているので、そう書いています。また、Google検索などで調べると、最近はオバマ米国大統領が革命宮殿でフィデル・カストロの弟であるラウル・カストロと面会したということが書かれているので、革命宮殿という名前もそういった建物もあるようですが、地図上ではっきり見つけられませんでした。)チェ・ゲバラの絵の付いた、革命広場の前を通った覚えはあるのですが、どのように通ったのか覚えていません。

革命宮殿のセキュリティーは非常に厳重でした。我々は日本からの公式の訪問団だったので、それでも比較的緩やかだったのだと思いますが、持ち物は全て出すように言われました。そして、持ち物は自分たちとは別の方向に運ばれ、我々はセキュリティーチェックを受けて、建物の中に入るという具合です。中で、持ち物は返してもらえます。

部屋に通され、そこで飲み物などを飲んでいると、いよいよカストロ議長が現れました。本当に胸の高鳴る瞬間でした。カストロ議長は、背の高いガッチリした老人でした。私がお会いしたときは、70代でしたが、現役で執務をこなしており、非常に健康そうでした。

一通りの挨拶が終わったあと、一人ひとりと握手をし、写真はキューバ政府の担当者が撮影いたしました。このときに頂いた写真がこれです。

このあと、少し歓談した後に、午後9時ころに着席の夕食をとりながら、訪問団とキューバ政府関係者との懇談が行われました。

(つづく)

2016年12月2日金曜日

【緊急エントリー】 Jリーグ チャンピョンシップファイナル - 浦和レッズ vs. 鹿島アントラーズ

浦和の街を歩いていたら、写真のようなカードを配っていました。久々に浦和の街が燃えている気がします。レッズについては、もちろんリーグ戦のさなかでも浦和の街が盛り上がりますが、私が本当に大きく盛り上がったなと経験したのは、J2に降格した翌年に、J1に復帰した夜のことです。これは、浦和の街が盛り上がるだろうと思って、スポーツ科学部の同僚と力に行きました。スポーツ科学部の同僚は、スポーツ史を先行している教員で、楽しみ半分、研究的興味少しという感じでしたが、現場では本当の盛り上がりに驚いていました。そこで、浦和ボーイズの相良さんと話をしたりもできて、本当に良い経験でした。

北浦和駅前で配られていたカード
見逃せない試合です。
チケットは、なかなか手にはいらないようですね。
また、アジアチャンピオンズリーグで優勝したときにも同じように街は盛り上がりました。これが、2006年のことだったわけですね。その時のステッカーはまだ大学の自分の部屋に貼ってあります。

あれから、10年。レッズは決して弱くはありませんでしたが、優勝できずに来ました。そして、明日、その優勝が決まる可能性が高いわけです。

絶対に負けられない試合が、そこにある。

レッズサポは、「鹿狩」と表現していますが、その鹿狩を是非達成してほしいものです。

うらーわレッズ!


2016年11月26日土曜日

フィデル・カストロ議長の死を悼む (1)

以前キューバ訪問のエントリーを書きました。2002年の12月にキューバに行った時の話です。その中ではまだ触れていませんでしたが、フィデル・カストロ議長に面会するチャンスを得ました。そのことをすこし書いてみたいと思います。

私は自分でこの面会をアレンジしたわけではないので、これはすべて聞き伝いの話ですが、安部総理のような訪問は別として、一般にはカストロ議長にアポイントメントを取ることはできないようです。私が、キューバに行ったのは、日本キューバ経済懇話会の科学技術部会担当者として行くように言われたのですが、これは以前のエントリーに書いたように、キューバ神経科学研究所のペドロ・バルデス所長との交流によるものからでした。

フィデル・カストロ議長との懇談の場で
2002年、もう14年前ですが、自分も若いですね
キューバについて、様々な施設を訪問し、他の訪問団の面々は経済面での交流を試みたわけですが、私は主にはキューバ神経科学研究所を訪問したり、私自身の調査対象である、ハバナ市内の精神科のディケア施設などを訪問したり、またスポーツ科学の研究施設を訪問したりしていました。

ある日、もしからしたらカストロ議長に会えるかもしれないという噂が訪問団に流れました。この噂は、一体どこから来たものかは不明なのですが、不確かだがそうらしいということでした。しかし、だからといって、いつどこに集まるということは特に指示はありませんでした。例によって、私が神経科学研究所を訪問していると、研究所の面々から、「お前はフィデルに会うんだろう。」と言われました。私は、「噂だろう。」と笑って話しましたが、彼らは、もしあったら神経科学の研究もよくやっていると言っておいてくれと話されました。

キューバはご存知のように社会主義国ですが、メンタリティーは明るいです。また、国家の施設のトップの人達は、ファミリーのように交流があるようにも思えました。ただ、所長のペドロ・バルデスは、長いことフィデルとは話をしていないなぁと言っていたので、そんなに頻繁に出会うわけでもなさそうでした。

そんな中で、急に電話があり、すぐホテルに戻るようにと言う招集がかかりました。目的は分かりませんが、すぐ帰れということです。帰ったところ、バスが何時にロビー前に来るからそれに間に合うように準備をするようにということでした。はっきりとした指示はないのですが、噂で、どうやら「革命宮殿」に行くようだということでした。私は、スーツに着替えて集合時刻に間に合うようにロビーに集合しました。

バスに乗り込み、そしてはっきりと革命宮殿に行くと情報が入りました。いよいよフィデル・カストロ議長に面会ができるようです。胸が高鳴るのを感じました(つづく)。

2016年11月21日月曜日

上尾シティーマラソン

上尾シティーマラソンに参加しました。参加した理由は、私も来年3月に早稲田大学を退職するので、その前に早稲田大学の駅伝選手たちと一緒に走ってみたかったからです。この上尾シティーマラソンは、ハーフマラソンと5kmのエントリーがありますが、私はハーフでなく、5kmにエントリーしました。

私のエントリーは12011です。
勿論、学生たちはハーフです。たくさんの大学が参加していますが、箱根駅伝へのコンディションチェックの位置づけにもなっているようです。この大会が、学生にとってはとても大事な大会であることは以前から知っていたのですが、参加しようと思ってなかなか参加できずにいました。

結果は、30分を切れたと思いますが、エントリーのナンバーと結果に出ている人の名前が違うなどで、チップによる自分の結果は分かりませんでした。多分28分くらいだと思います。

それよりも、早稲田大学の調子が良かったのがとても嬉しかったです。あと、1年少しで箱根駅伝です。2017年は、是非優勝してもらいたいものです。

2016年11月15日火曜日

仕事が睡眠確保の妨げに 厚労省調査 (朝日新聞記事)

朝日新聞の記事によれば、厚生労働省の国民健康・栄養調査によって、20代から50代の男性の3−4割の人たちが、仕事が忙しくて眠る時間が取れないということが明らかになったということです。一般の人達に対する調査なので、頭に入れておく必要があると思いました。

私が普段接している患者さんは、何らかの問題があってクリニックに来る人達なので、いわゆる一般人口とは違います。しかし、一般人口のなかで3−4割という高い割合の人達が仕事が原因で眠れないと思っているのは、非常に大きな問題だと思いました。

ある人の睡眠時間がどのくらいかということは、なかなか正確には図りにくい面があります。勿論、活動量計と呼ばれている、多くは腕時計型の装置を用いて24時間活動量を測定すると、その中で睡眠をとっている時間帯をある程度正確に特定することはできます。しかし、そういったものなしに、ただ何時間くらいの睡眠時間ですかと聞くと、多くは7時間くらいかなとか、6時間半くらいかなと答えますが、実際に測定してみると大抵はそれよりも短い時間になる場合が多いです。幾つかの理由が考えられますが、一つは普通に満足して眠る睡眠時間を平均的睡眠時間として、それを答えているということがあります。しかし、実際は、3日に一度くらいは飲み会があったり、遅くなったりして、平均するとそれよりも、30分からときには1時間位短い実測値となるということです。あるいは、布団に入ったあとに、スマホをやったりするのが習慣になっているけれども、その時間は入れていないという場合もあると思います。

私の患者さんの中には、睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP(持続式陽圧呼吸療法)をやっている人たちが大勢居ます。最初は、日中の眠気ということで来院され、無呼吸が発見されCPAPを開始するわけですが、これによってCPAPをつけている毎日の時間がわかります。その中には、睡眠時間がとても短い方もおられます。そうしますと、CPAPをやっても、絶対的な睡眠時間が短ければ、やはり日中は眠いわけです。そういった中で、忙しい仕事をしますから、当然ストレスはより大きくなり、結果としてはうつ状態になる人も居ます。

この記事は、仕事が睡眠確保の妨げになっているということですが、雇用者から見ると、「睡眠が、仕事時間確保の妨げになっている」というような意識があるのかもしれません。そうであれば、労働者が健康に仕事を続ける環境を阻害するという結果になっており、これは改善する必要があるとも思います。このような、勤務時間についてのデータは、今回の電通の例を考えても、正確でなく企業に都合の悪い部分は隠蔽されてしまっているかもしれません。

いずれにしても、このデータは深刻な事態で、早急に改善されるものだとも思いました。

2016年10月31日月曜日

尿酸値が冠動脈石灰化の進行に関与 (Medical Tribune記事)

尿酸値が冠動脈石灰化の進行に関与

第57回日本人間ドック学会学術大会



私は、尿酸値が高めです。これは家族性で父親も弟も高いのですが、実際の症状は、一度だけ腎結石と思われる痛みが出たことがありました。もう、10年以上前ですがその時はあまりに痛くて、夜中に病院に行き、痛みのために嘔吐しました。

先日、産業医の研修会で興味深い話を聞きました。
日本のビールはプリン体が少ないのだけれども、
外国のビールはプリン体が相変わらず高いので、
会議外駐在員がそういったビールを飲み続けると、
日本では大丈夫な人が高尿酸血症になり、
痛風発作を起こすケースが有るということでした。
これは、興味深いですね。
ということで、そういうことには二度となりたくないと思って、かなり節制して、現状では尿酸値は正常上限くらいになっています。ときに採血をすると、高めに出ることもありますが、発作はでていません。

しかし、尿酸値が高めだったときに、人間ドックでこれを指摘されるたびに、相談医に、痛風発作は起きないのだけれども、尿酸値が高いだけで問題があるのかということを聞きました。しかし、すべての主治医は、話を「痛風発作が起きる可能性が高いので気をつけろ」ということに回帰させて、私の質問である、発作が出なくても体にわるいことがあるのかということについて、まともに答えてくれた医者はいませんでした。

しかし、このMedical Tribuneの記事で、少しこの理解が進みました。やはり、尿酸値を高いままにしておくのは、あまり良くないようです。統計的には、冠動脈の石灰化に関与しているということでした。石灰化が進むと、心筋梗塞や狭心症などのリスクが高まると思われますが、このようなことはあまり知られていなかったので、人間ドックなどのビッグデータを使って、初めて明らかになることのようですね。

長年の疑問が、一つ解けたような気がします。

2016年10月23日日曜日

習慣的運動は真の万能薬 (Exercise is the Real Polypill) Physiologyの論文

Physiologyという、生理学の国際学術誌に表記のような論文があります。この論文(リンク)は、心血管障害の治療薬として、Polypillと俗に呼ばれている合剤が非常に効果があるものだけど、実際には習慣的な運動が、これにまさるものだということを示しています。


論文の主な部分は、心血管系の障害に対する、習慣的運動の治療的効果について書かれています。

私も、うつ病の運動療法の文献を幾つも調べる中で、どうしても運動の身体疾患への治療予防的効果についての部分を何度も何度も繰り返し読むことになるので、生活習慣病についての専門的な知識もどうしても身についてしまう、(好ましい)結果になっています。

この論文の中には、非常にアトラクティブな図が挿入されています。転載していますが、身体運動が2つの効果を脳にもたらしているように書かれています。一つは左の図に示してある、BDNF⇒trkB CREB⇒Neuroplasticityというもの。もう一つは、右の図に示してあるFNDCS⇒Iriscin⇒?Neurogenesisというものです。

左の図には、?がついていないのでこれは確実にエビデンスが集積されているものであると考えて良いと思います。BDNFは脳由来神経栄養因子と呼ばれている物質で、その名前通り脳から分泌されて神経に栄養を与える物質です。栄養を与えることによって、神経の再生が促進されるものです。この働きによって、うつ病の回復が起こるとも考えられています。また、エビデンスにはやや乏しい面もありますが、認知症に対しても良い効果がある可能性があります。

習慣的な身体運動が心や体に及ぼす影響は計り知れないものがあります。古代から、人は体を動かして生きる糧を手にしてきました。しかし現代では、コンピューターの前に座って操作をすることで、生きる糧を得ることが可能になってきました。しかし、この変化による代償も大きなものであるように思います。そのために、生きるためにあえて体を動かすことが大事になってきたとも考えられます。

この背景にある様々な生物学的メカニズムにつて詳細について、この論文は、Free Paperですので、興味ある方は是非原文をご参照ください。

2016年10月16日日曜日

AUDIT

AUDITというのは、アルコール依存症の自己評価に関する質問紙です。AUDITの文字に貼ったリンクは、国立病院機構久里浜医療センターへのものです。この久里浜は、依存症の専門医療機関で、アル中で困ったときには、久里浜へというようなイメージがあります。現在は、更に幅広く「インターネット依存」などについての専門的治療も行っています。

さて、AUDITは、産業医の講習会の中で、職場におけるアルコール依存症のところで紹介されていました。原典は、1992年に発表されたもののようです1)。

自分でもやってみましたが、7点でアルコール教育の必要なレベルだということでした。疲れたときなど、つい家でアルコールを飲みますが、だいたい1−2杯で食事を終えてそれ以上は飲まないことも多いです。また、週に3日位はアルコールを飲みません。これも、波があって、ほぼ飲まずに過ごす日が続くこともあれば、割りと飲んだりすることもあります。外で飲むことは、月に1−2度ですが、そういうときに多く飲んでしまうこともあります。

日本で行われた研究では12点以上が問題飲酒の、15点以上がアルコール依存症のcut-offポイントとなっているようです。まず、自分でやってみて自分の状況を知ってみるのが良いと思います。


1)  Babor TF, Fuente DL Jr, Saunders JB et al : AUDIT: The Alcohol Use Disorder Identification Test:
Guidance for Use in Primary Health Care. WHO, 1992

2016年10月10日月曜日

慶應医師会 産業医研修会

私は、日本医師会認定産業医なのですが、会社の嘱託産業医としての仕事はしていませんでした。前回この資格をとってから、何度か資格を維持するための講演会などには出ていますが、積極的に維持することをしていませんでした。5年経って、もう維持するのをやめようかとも考えたのですが、同僚の医師からは、ストレスチェックも始まり産業医としての仕事も増えると思うので、維持したほうが良いのではないかとアドバイスを受けました。

北里講堂もですが、この写真の予防医学教室の
建物には圧倒されました。いつまで使われるの
かはわかりませんが、道の反対側では、
平成30年竣工の新しい巨大な病棟が
建設中でした。
そこで、これから維持できる講習会を探したところ、慶應医師会産業医研修会がありました。場所は、慶應義塾大学医学部信濃町キャンパスです。このキャンパスは、明治時代から慶應義塾大学医学部があった場所ですが、私は、大昔に一度だけ医学部精神科に入局できるのかを問い合わせるために訪問したことがありました。しかし、そのときは、慶應に血縁者がいるのか、あるいは、推薦者がいるのかということを聞かれ、つながりのない人は受け入れられないというような答えをされた覚えがあります。(しかし、これは現在の慶応大学医学部精神科の体制とは全く異なっています。現在の慶応大学医学部精神科では、後期研修の医師を多く受け入れ、慶応大学卒業生だけでなく様々な大学の卒業生が一緒になって後期研修やその後の研究活動を行っているようです。)

さて、この慶應のキャンパスですが、その裏手にある北里講堂というところで講習会はありました。この建物が、歴史を感じさせる建造物です。そして更に歴史を感じさせるのが、講習会の一部が行われた写真にある予防医学教室建物で、古い時代の慶應義塾大学医学部信濃町キャンパスを彷彿とさせます。

産業医の研修会は、面白かったです。自分の専門外のところでは、肝疾患、腰痛などの対応の仕方、職場巡視、環境測定などの話が聞けました。最近は、精神科という専門分野の話も多く、職域におけるメンタルヘルスの話も多くありました。またストレスチェックの運用についても、講義がありました。

今後、私は産業医としての活動もしていこうと思っています。産業医は、実際の職場巡視も行い、患者さんとして見ていた人たちがどのような場所でどのような悩みをもっているのかを見ることもできると思います。それによって、精神科医としての幅も広がると確信しています。

講義の内容も興味深いものが色々あったので、トピックとしても取り上げてみようと思います。

2016年10月7日金曜日

Macへの回帰 (Return to Mac)

私は、ここのところ多分20年近くWindowsのユーザーでした。今も、Windowsのユーザーではあるのですが、実はそれ以前はMacユーザーでした。私が、最初に購入したのは、Mac IIxという機種です。多分、1989年のことだと思います。この機種は、日本では発売されていなかったと思います。カリフォルニアのComputer Atticという店で買ったのを覚えています。多分、このお店はもう無いんだろうと思います。Facebookにもしかしたらそうかもしれないというお店が出ていました。
https://www.facebook.com/pages/Computer-Attic/1414322708788703

Mac IIxです。本当にお世話になった良いコンピュータでした。


何れにしても、そこで多分60万円位する、Mac IIxを購入したわけです。その頃、私は睡眠脳波のコンピュータ分析の研究を一生懸命やっていたわけですが、分析のプログラムはその頃主流だった、NEC PC9801とC言語で作っていました。しかし、得られたデータをいろいろと分析するツールとしては、Appleのコンピュータに良いソフトウェアがたくさんあり、これが大変便利でしたのでそれを東京医科歯科大学の研究室でも使っていました。その頃、そういった自分のコンピュータも欲しいと思い、人の持っていない機種も良いと思った私は、アメリカへ学会で行くときに、スタンフォード大学のあるPalo Altoに滞在し、先に書いたComputer Atticに行き、そこでこのMac IIxを購入したわけです。その頃では、最高機種のMacでしたから、自分としてもとても満足でした。

実は、このアメリカへの学会旅行がきっかけで、アメリカへの留学が決まったのですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。32歳の時だったと思います。

その後、私はこのMacを持ってアメリカに行き、カリフォルニア大学での研究生活を送りました。その時には、なぜかカリフォルニアにもかかわらず、研究室の周りはMS-DOSユーザーばかりで、私がMacを持っていることは瞬く間に他の研究室にも広まり、ちょっと見せてくれないかと人が集まってくるようなことがありました。

カリフォルニアという、Apple Computerのお膝元でもあり、かつ私が仕事をしていたMartinezという町は、AppleのあるCupertinoまでも、せいぜい車で1時間くらいのところなのですが、そんなところでアメリカ人が、Macを見せてくれと集まってきたのは、本当に不思議なことでした。

そんなことで、このMac IIxは私にとっては最初のMacであり、その後もCPUボードを入れ替えたりメモリーを増設したりして、性能アップを図り、日本に帰ってきてからもしばらくは使いました。

しかし、日本に帰ってきてからは、Windowsも機能が比較的よくなり、また日本に帰ってから勤め始めた、東京都精神医学総合研究所では、周りもWindowsを使う人たちが多くいたので、結局自分もWindowsを使い始めました。いつ頃だったんでしょうか。1996年くらいでしょうか。それ以来、私はずーっとWindowsを使い続けています。しかし、そう考えますと、このMac IIxは何と、7年間も使っていたということになります。この間は、私にとっては自分の睡眠障害の研究に没頭していた時期でもあり、今から考えると本当に懐かしく思います。

しかし、最近iPad Proを買ったことで、Apple Computerへの回帰志向が強まり、そしてとうとうMac Book Proを購入するに至りました。

20年ぶりに手にするMacの性能には驚かされるばかりです。私のMac IIxは、英語OSでしたが、「ことえり」を入れていたと思います。しかし、今の日本語フロントエンドプロセッサ−は全く違うものですね。「OS X El Capitan」というものですが、この変換機能についても驚きました。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20151014/1066979/?rt=nocnt

多分、これからさらに20年ぶりに再会したMacの良さを発見する日々が続くのだろうと思います。

2016年9月24日土曜日

抗NMDA受容体脳炎 読者の方のコメント

約2年前のエントリー、抗NMDA受容体脳炎について、読者の方からコメントが有りました。非常に貴重なコメントで、お嬢様がこの疾患に罹患されたようです。同じことが、この疾患に罹患した他の人におこらないようにとの、願いから書き込みをしていただきました。コメント欄ですと、人の目に触れにくいので、新しくエントリーを作って、掲載します。

このコメントをいただいた「みぃ」さんは、このエントリーをご覧になると思うので、もし何らかのメッセージのある方は、コメント欄に書き込んでいただいても良いと思います。

オリジナルのエントリーはこちらです。
抗NMDA受容体脳炎



<コメント>
私の8才の娘が2016年3月に発症しましたが、精神異常はなく、突然激しい頭痛を3/5に訴え、3/6夜間診療では、嘔吐下痢症と診断され(下痢も発熱も無かったが)、翌日小児科に受診し、紹介状を持って日赤に3/7昼には入院し3/13朝から意識不明となり経過観察され、3/14(月)に脳症確定し、原因が分からないままステロイドパルス療法等を直ぐに行い、そのまま寝たきりを5/7まで続け、5/8以降~意識が覚醒し、5/28に卵巣奇形腫がMRIで見つけられ(3/14と5/25のエコーでは発見できず)、6/15右側卵巣奇形を全摘出して、現在は普通学級に復学中。
意識が覚醒し出した頃から精神異常が出現し(主に暴力)、現在は少しずつ収まって来ています。

初期の精神異常が見られなかっただけで、他の症状は全てこの坑NMDA受容体脳炎の症状が出ていました。

最初に精神異常が無いものあると言う事も考慮する余地ありです。

当初からこの脳症を疑ったのに、坑NMDA受容体脳炎検査には、4/1以降静岡の大学に依頼し、結果が出たのは9/6頃でした。
何故、他は早い検査結果が得られたのか、何故、私の娘の結果は遅かったのかも疑問でした。

この病気を疑ったなら、何処に検査依頼をするのがベストなのか、エコー検査だけでは写らないケースがある事も明記して欲しい。
ちなみに、4/7にCT検査をお願いしたが、被爆すると請け合って貰えなかったのも残念でした。


みぃ様

お嬢様のケースについて、書き込みをしていただき、大変ありがとうございました。とても貴重なコメントだと思います。経験を共有させていただきます。

医師が知るべき情報として提案されている点は、

1.初期に精神症状を呈さず、突然の激しい頭痛で発症し、意識レベルの低下から昏睡となる経過があること。
2.腹部超音波検査では、奇形腫が描出されない場合がある。このケースでは、MRIにより発見できた。
3.抗NMDA受容体抗体検査に時間がかかる。(少なくともこのケースでは。)

さて、最も重要なところでは、この疾患を疑ったらどこに確定診断を依頼するのが良いかということですが、これは医者の仕事だとも思います。

例えば、インターネットで調べると、北里大学神経内科の先生が論文を書いています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/49/11/49_11_774/_pdf

金沢医科大学総合医学研究所の方も、研究されているようです。
https://www.cosmic-jpn.co.jp/lecture/?confirm=ok&mca=&ca=&id=1457482639-683123

また、私がブログに書いた、神林先生は、非常に優秀な臨床家でもあるので、適切に対応してくれる方だとも思います。

このような研究をされている先生は、この疾患についての知識は十分にあると思われるので、ケースについての問い合わせをすれば、適切な指示をしてくれるように思います。ただ、自宅の場所から遠いなどのこともあり、専門家が必ずしも近くにいないときには、家族だけではどうしたらよいかわからないということもあるかもしれません。また、医師も全く知らない先生に連絡をとることは躊躇される面もあるかもしれません。

他のエントリーにもある遠隔医療は、こういったときにも役に立つ方法ではないかと思います。国内にいいる専門家へのコンサルトが、遠隔医療相談という形で、簡単にできる仕組みがあれば、適切な対応がもっとはやくできていたかもしれません。

抗NMDA受容体脳炎にかぎらず、こういった診断の難しい疾患についての情報を早く得られるような仕組みは、今後取り組んでいかなくれはならない課題だとも思いました。


内田先生

親切なご回答をありがとうございます。

私の娘は、3/23には寝た切り宣告に近いコメントもされたのですが、幸ににも現在は性格が変貌し攻撃的にはなりましたが、元気に学校でやれてるのはありがたく幸せを強く感じます。

坑NMDA受容体脳炎と早期に診断されませんでしたが、(早く奇形腫を摘出して欲しかったが、それはそれ…。)ステロイドパルス療法と献血製剤の免疫療法以外の薬は、ほとんど使用しなかった事が幸運の様に思います。

追記して、後にこれが役に立つならと思いコメントさせて頂きます


娘は、他の友達と比べ小柄なタイプで、発達も遅いタイプでした。入院して2ヶ月で、体重の1/6減少(25➡19キロ)
してたのに、5月初旬から胸が膨らみ始め、毛深くなりました。私は医師や看護師さんにも、ホルモンバランスが
狂っているから、奇形腫がある、人の組織のあるやつと訴えていました。目で見える変化を個人差と処理せずに見逃さないで病気と結び付けて検討の余地ありです。


それから、4月下旬に、瞼を開け放しが数日間続いていました。目が充血してたのですが、(花粉症かと勝手に思っていました)5/10まで治療せずにいました。これが、後に乾燥による角膜が剥がれて、新しい角膜に貼り付いて居たことが判明しました。

目が開け放しが続くと、角膜が剥がれる事がある。目を開けないのではなくて、開けられない状態だった。

こんなケースもあると明記して欲しいです。


それから、娘は、双子家系なのです(母親である私が双子、親戚にも双子が多数いる)が、卵巣奇形腫は双子が母親の胎内で分裂をしている時に、片方が発達出来ずに娘に吸収されてできた可能性はあるのでしょうか?

それから、予防接種を受けると翌日以降に発熱をしたり、ヒキツケたりしたのも 関係があるのでしょうか?

双子家系や予防接種で副反応が出やすい子は、卵巣奇形腫の確率が高いのでしょうか?

こんな事がこの坑NMDA受容体脳炎に、少しでも関係があるのなら、娘と同じ育歴のある子どもは、この脳炎の可能性を知らせてあげる事が可能になるのであれば、発病した時の初動医療に手助けになるのなら、娘の症例を次に役立てるなら嬉しいです。脳炎を発病する前に、卵巣奇形腫を発見できるのなら、更に嬉しいです。

本当に残酷な迄に、娘や私たち家族をドン底に何度も陥れるこの脳炎が憎いです。命が助かった後も、精神異常やら、人格の変貌に苦しめられ、絶望を何度も味わっています。

それでも、今は、生きてくれる事に感謝しています。4/1から主治医になって下さった今の主治医には心から感謝しています。ひとつひとつの言葉が、温かくて闘病中も現在も救われています

沢山の病気の中から、診断し治療する事は、本当に大変な事だと実感しました。

少ない症例の病気なら、私は私にできる事を何かに役立てる事があるならしたいです。



2016年9月18日日曜日

日産リーフに乗り換えて

我が家は、一台の車を長く乗る傾向があります。今回、これまで乗っていたスバルフォレスターを買い替えました。15年以上乗ったと思います。買い替えたのは、友人の医師から譲り受けた、一年落ちの日産リーフです。先日、のり替えの儀を行いました。

日産リーフに乗り換えて、既に2週間位になりますが、電気自動車に魅せられました。日産リーフは、日産のパッケージに入ると、月々1000円ほどの支払いで、日産の営業所で充電し放題です。そういう目で、日産の営業所を見たことはありませんでしたが、通勤路にも結構あることがわかります。一回の充電で、私の運転だと150km弱走れると出てきます。ガソリン車に比べれば、一回の充電で走れる距離は少ないのですが、しかし、毎日充電しても月1000円ですから、文句は言えません。更には、充電中には、エアコンをかけ、音楽をならして、タブレット端末に充電しながら待つこともできます。一回の充電は30分ほどかかりますが、全く苦ではありません。営業所がやっていれば、中でフリードリンクでコーヒーも飲めるようです。逆に言えば、月1000円で、コーヒー飲み放題もついてくるという事です。また、意外と充電器は空いています。

同じ色の、フォレスターとリーフ。
さようなら、フォレスター。子どもたちが小さいときから、頑張ってくれたね。
こんにちわリーフ。これから、よろしく。
乗り心地は、電池が重いので、わりと高級車の風格があります。また、当たり前ですが、とても静かです。タイヤと地面との音以外は聞こえません。市内走行では、トルクが有り、ガソリン車よりもむしろ快適です。高速道路に入ると、高速からの加速はやや弱い感じがありますが、それでも苦になることはありません。

エンジンルームをあけると、モーターが見えますが、ガソリンもオイルも使っていないので、とてもキレイです。ベタベタしたものは何もついておらず、すごく清潔な感じです。そういう意味では、排気ガスも全く出ませんし、エキゾーストパイプもついていません。間違えて、ガソリンスタンドに入っても、ガソリンを入れる口もありません。

多分、ガソリン車と比べて劣っているところは2つだと思います。
1.充電に時間がかかる。
2.一回の走行距離が短い。

これは、今後の技術の進歩の中で徐々に改善されていくことでしょう。

私は、今度はリーフを相当長く乗ることになるのだと思います。

2016年9月13日火曜日

第14回 日本スポーツ精神医学会

第14回 日本スポーツ精神医学会が、北里大学精神科 宮岡等教授を会長として開催されました。9月2日から4日のの間、品川区にある北里大学白金キャンパスにて行われました。

メインは、3日土曜日の学術集会ですが、本年は、宮岡会長の講演、元プロレスラーの小橋健太氏の講演、そして、J-リーグ村井満チェアマンの講演がありました。また、シンポジウムは、精神障害と知的障害のスポーツについて話し合われました。昼の教育講演は、ギャンブル依存についての北里大学蒲生裕司先生の話がありました。

宮岡先生の講演は、我々の学会について、非常に示唆に富むもので、私はとてもためになったと思っています。また、今後も宮岡先生には学会運営にご協力いただきたいと心から思いました。

会長の北里大学精神科教授 宮岡等先生と一緒に
小橋氏の講演もとても感動的なもので、このような学会講演は日本スポーツ精神医学会ならではだと思います。小橋氏が、プロレスでチャンピョンになりその2ヶ月後に腎臓がんが見つかり、それから治療復帰へのプロセス、そして、ご自身の心境の変化などについて、とつとつと語られ会場の聴衆に多くの感動を与えました。涙をながし、聞いている人たちもいました。

村井チェアマンは、学会に講演の時間だけでなく、長期にわたって滞在され、スポーツ選手のメンタルヘルスの問題について耳を傾けておられました。J-リーグはサッカーを広めるだけでなく、サッカーを通じての社会貢献活動をするということを主眼においているということを何度も強調されましたが、組織運営については能力の高い人だという認識を新たにしました。個人的にもお話させていただきましたが、これについてはまた別に取り上げたいと思って います。

教育講演の蒲生先生のお話は、途中からの参加でしたが、依存症について科学的メカニズムについて、お話されました。このお話は、私自身の臨床活動については、非常に参考になるお話でした。

シンポジウムは、精神障害、知的障害の障害者スポーツについての、様々な方々との取り組みについてでしたが、この分野も更に発展し、我々の学会も是非協力していきたいと思っています。


学会に先立った、理事会で新理事が決定され、学会の体制も新しくなりました。私自身は、理事長に再任され、今後の3年の任期の中で、学会を更に発展させ、システムも変えていきたいと考えております。日本スポーツ精神医学会を是非よろしくお願い致します。

2016年8月31日水曜日

2016年 夏のゼミ合宿

BBQ たっぷり食べました
夏のゼミ合宿に行ってきました。当初は、8月28日から30日の予定でしたが、台風の影響を考えて、一泊二日に短縮しました。行き先は、いつも冬にスキーに行っている、苗場です。毎年冬に宿泊している、シュプールイン苗場に宿泊しました。シュプールイン苗場のオーナーは、私のゼミの卒業生のご両親です。いつも、とても親切にしていただきます。

今年は、初めて夏の合宿でしたが、夏の苗場があまりに気持ちが良いので、もっと早くから夏も苗場に来ればよかったと思いました。ついた日は、小雨がぱらついていたのですが、せっかく山に来たからということで、三国山に登りました。登山途中から、だんだん雨が強くなってきて皆ずぶ濡れになりましたが、流石にスポーツ科学部の学生はびくともせず、皆問題なく登頂し、無事に下山しました。

転帰は生憎だったのですが、夜はBBQをして楽しく過ごし、翌日も廃校になった小学校の体育館で卓球などして過ごしました。スポーツ三昧の合宿でしたが、私は来年3月に退職するので夏の合宿はこれが最後になります。学生も嬉しそうで、私も存分に楽しみました。

2016年8月21日日曜日

ミニマリスト

日本人の佐々木典士さんについての記事が、アジアタイムスというサイトに出ていました。ミニマリストという考え方(あるいは生き方)が、日本の若者の心を捉えているというものです。このミニマリストに関しては、非常に興味をもっています。私も現代はものが溢れすぎていると感じていて、自分自身もものを少しでも減らそうと思っています。減らすには捨てるわけですが、どこまで捨てられるかが、ミニマリストのレベルを決定することになるのだと思います。

佐々木さんの場合は、ほぼ極限にちかいミニマリストですが、少しでもものを減らすのだという姿勢は、いろいろな側面でものを捨てるときの決定がしやすくなります。

アジア タイムズ のサイトから
また、このような考え方はADHDの人たちの生活指導にも良いかもしれません。ADHDの人たちは、部屋を片付けるのが苦手でどうしてもものが溢れてしまい、「部屋が片付いていない」ということになりがちです。しかし、その場合も本当に必要なものが整理できずにあるというよりは、殆どのものは要らないものであることも多くあります。したがって、なるべく捨てる、あるいは手に入れないという姿勢をもてば、これを遂行すること自体は可能ではないかと思います。この部分にトレーニングが必要だとは思いますが、しかし、そのことに固執してやってみることはできるように思います。また、ものが少なければそれらを順序立てて整理することも容易になってきます。そうすれば、必要な物が何かも明らかになってくる可能性があります。

使わなくても持っていたいというものはやはりあると思うので、こういうことは誰でもができるということではないようにも思いますが、しかし、一つの選択肢としてミニマリストの生き方や、この概念をADHDの人たちの生活指導にうまく取り入れられないかもう少し考えてみようと思います。

2016年8月14日日曜日

大迫傑のこと (2016 リオオリンピック)

リオデジャネイロオリンピックは、日本のメダルラッシュで盛り上がっていますね。どの選手も、本当によく頑張って思います。競技によっては、必ずしも日本で良い環境で練習できない選手も居るのですが、それでも精一杯の試合をしている姿は、とても美しく思います。

その中でも、個人的にもよく知っている選手が活躍しているのは、本当に嬉しいことです。今朝のテレビでは、大迫傑君の走りを見ました。大迫君は、2014年に早稲田大学スポーツ科学部を卒業していますが、卒業までの2年半は私のゼミに所属していました。ゼミの同期は、比較的有名な選手としては、湘南ベルマーレの三竿雄斗などがいます。三竿君も私のゼミ生でした。

オリンピックで大迫君が走っている姿をみて、素晴らしいと思いました。彼は学生時代は優れた選手だったとおもいますが、一緒に走った日本人選手を周回遅れにするほどの力があったわけでもなかったと思います。実際に昨年の全日本選手権では優勝を逃して、地面を拳で叩くシーンをみました。しかし、今年の全日本選手権では、他の選手を全く寄せ付けない走りで優勝。オリンピックでは、流石に上位は難しかったのですが、日本人として良い走りをしたと思います。

このような変化は、多分オレゴンナイキプロジェクトでの科学的トレーニングによるものが大きいように思います。彼が、このようなプロジェクトに所属できたのは本当に幸運だったと思いますし、更には、スポーツ科学が記録の向上に非常に有用なのだということを示しているとも思います。

大学時代のことを含めた、競技への考え方に関する彼のブログがありました。アメリカに住んでの彼の感想は、私が1990年からカリフォルニア大学で研究生活を送った時の時の印象とほとんど重複しています。未だに、それはアメリカの特徴なのか、それとも自分が管理職でなく、会議にも何も出席せず、研究だけやれば良い身分だったからなのかは、よく分かりません。ただ、少なくとも日本にはこのようなポジションは少ないのは確かです。多分、競技においてもそうなのではないかと思います。彼が言うところの、目的に向かってシンプルに努力することの大切さは、とても参考になります。今は、この仕事をする。そして、次は次の仕事をするというシンプルさです。このような発想の転換を多くしていく必要のある分野は、スポーツのトレーニングにかぎらず多くあるのではないかと思います。何よりも嬉しく思ったのは、彼がそのようなことに気づき、更にはこれからの人生で、日本の競技の指導者になった時にそれを活かしていける人材に成長しつつあることです。

まだまだ、彼の競技人生は続きますが、多くを感じながら、頑張って欲しいと思います。




2016年8月13日土曜日

J-WAVE JAM THE WORLDに出演します - 時差ぼけ対策

先日、J-WAVEから電話取材の依頼があり、本日取材に応じました。来週、8月15日から19日の20時から21時50分に放送されるJAM THE WORLDという番組に5日間出演するようです。内容としては、ジェットラグ症候群についてのお話をしましたが、現在リオデジャネイロで開催されているオリンピックに関連して、選手も時差ボケ=ジェットラグを少しでも克服するための工夫をしています。一般の人達にとっても、時差ボケの対策は役に立つ面があるのではないでしょうか。少しでも時差ボケを克服するためのヒントを幾つかお話しました。

是非お聞きください!

2016年8月6日土曜日

菅平 野外活動実習 2016

2年前に書いた菅平野外活動実習のヒット数が上がっているのでちょっと驚きましたが、早稲田大学の学生や関係者の方が検索して読んでいただいているのだろうと思います。今年も、今、菅平に行ってきました。2004年から続いているこのプログラムについては、2004年からずっと菅平に来続けていますので、今年で13回めです。雨で根子岳に登れなかった年もありました。プログラム担当から外れた年もありましたが、その時は家族でやってきて根子岳に登りました。

菅平セミナーハウスに付属している芝の運動場です。ラグビー部の合宿で、
秋からのシーズンを控えて、早稲田大学ラグビー部が汗を流すグランドです。
以前は、ここで関東学院大学との練習試合も開かれていました。
その日は、村の祭りのように、ラグビー合宿できている人たちが大勢集まりました。
私は、来年4月に早稲田大学を退職する予定ですので、これがフレッシュマンと登る最後の根子岳登山となりました。

この日は、曇で登りやすい気候でした。ここのところの雨でやや足元が悪かったのですが、何とかけが人もなく往復できました。

この後のキャンプファイアーでは、大雨がふり、キャンプ場の屋根付きの屋外炊飯場でのキャンドルファイヤーでしたが、学生たちは例年通り大変楽しそうにしていました。これから、4年学生生活が更に充実したものになる良い経験ができたと思っています。

2016年7月30日土曜日

アイマスクで快適夏の睡眠

この季節になると、朝早く起きてしまって眠れないという人が時々居ます。もちろん、うつ病などの背景に他の精神疾患のある患者さんも居るのですが、ちょっとした落とし穴がある場合もあります。

ebayで購入したアイマスク
よく、カーテンを開けて眠って、朝日を浴びましょうということが言われています。私も、そんな話をすることも有りますが、朝日を浴びると、生体リズムの位相が前進して早寝早起きになるわけです。別の言い方をすると、時計がリセットされて、また新しい一日のリズムが始まるともいえます。ただ、夏の朝は4時ころから明るくなります。そうしますと、朝早く目が覚めすぎてしまうということもおきるわけです。

特に、45歳以降の方で、幾分睡眠が浅くなってきた年代については、朝の光で早く起きすぎてしまって眠れないという方が居ます。そういう方にはアイマスクをすすめています。写真は私がつかっているアイマスクですが、三次元立体式で、比較的大きめで快適です。

このアイマスクは、ebayで買いました。
http://www.ebay.com/itm/231985245621?_trksid=p2057872.m2749.l2649&ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT
非常に安くて、性能は良いので、もう少したくさん買って、臨床の場で患者さんにあげようかとも思っています。

アイマスクをして眠ると、朝部屋が明るくなってきてもわからないので、意外と冬場のように長眠をできるように思います。睡眠は、デリケートな面もあるので、アイマスクをしても変わらない人も居るかもしれませんが、しかし早朝の光の影響は回避できることは間違いありません。

早朝の光は良いと言われますが、しかし、これもこのような季節では早朝覚醒の原因になって、もう少しゆっくり眠る機会を奪ってしまうことにもなります。そこで、このような少しの工夫をするだけでも、よりよい睡眠が得られる様になるというわけです。


2016年7月24日日曜日

マシュマロ テスト

先日に行われた、日本睡眠学会のシンポジウムについては、神山潤先生がマシュマロテストのお話をされたということを紹介しましたが、そのテストについて、私は知識がありませんでした。そこで、少し調べてみましたが、非常に面白いので、紹介したいと思います。まず、YouTubeを御覧ください。これを見るだけでもとても面白いです。子どもたちがとても可愛いですよ。




このテストについては、ジェームス・クリアという人のサイトにその詳細な記述があるので、それを参考にしました。下記のURLです。
http://jamesclear.com/delayed-gratification

マシュマロテストというのは、Marshmallow Experimentとも呼ばれていて、1960年代にスタンフォード大学で行われた研究のようです。被験者は、4-5歳の子どもたちです。実験では、子どもたちを個室に招き入れて、一個のマシュマロが目の前に置いてある机に座らせます。そして、子どもに、今からちょっと部屋を離れるけれども、その間にマシュマロを食べてしまったら、もうそれじょうマシュマロはあげないけれども、もし我慢できたらもう一つマシュマロをあげて、2つ食べても良いよという風に説明します。

そして、検者は15分部屋を離れるわけです。そして帰ってきた時に、マシュマロを食べてしまっているのか、それとも待っていてもう一つマシュマロをもらえるのかを確かめます。この研究の非常に興味深いのは、その後、子どもたちが成人した後に、マシュマロを食べずに我慢できた子たちと、食べてしまった子たちがどうなったのかをフォローアップしたところです。

この結果、マシュマロを我慢できた子どもたちは、
1.大学の入学共通試験で良い成績を取る
2.物質乱用の傾向が低く
3.肥満の割合が低く
4.ストレスへの対応がよく
5.社会的スキルも高い
ということが分かりました。

そう考えると、人生はすでにこの子どもの時に備わっている抑制する力によって決まってしまうとも言えるようですが、じつは別の実験も紹介されています。ロチェスター大学の研究者による研究です。彼らは、このマシュマロテストを行う前に、被験者の子どもたちを2つの群に分けて、片方は約束してもそれを果たさない実験を何度も行い、もう一群は約束をしっかり守る実験を何度も行うということをしています。

その結果は、想像の通り、約束をまもらない実験を繰り返した群では、すぐにマシュマロを食べてしまう率が高くなったわけです。

結局、このような人生の成功は、生まれながらに備わっている抑制力によるだけでなく、環境、すなわち、教育、社会的規範などによっても培われるものだということを示しているようです。これは、結局のところ、精神的な問題を考えるときには常にそこにあるものです。

近年、発達障害が問題になっていますが、資質としていわゆる発達障害に相当するものを持っている子どもに対しても、丁寧で誠実な教育をしていくことによって、その行動は変わるということも示しているように思います。

考えてみれば、本当にあたりまえのことですが、いろいろな場でしっかりと認識されるべき事柄でもあるように思いました。

非常に、興味深いトピックでした。

2016年7月16日土曜日

オリンピック会場跡地がどうなっているか

宮武嶺さんという方の、衝撃的なブログを拝見したので紹介したいと思います。これまでに開かれたオリンピック会場の跡地がどのようになっているのかということを紹介したブログです。

ブログを改めてここで再掲して紹介する必要はないと思いますので、下記を読んでみてください。とても興味深いブログです。

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/3cf5b85398830a3d1e79705c133ece93

宮武さんのブログにリンクした画像
これを見ると、多くのオリンピック会場跡地が廃墟になっていることが分かります。アテネオリンピックについては、ギリシャの経済事情を考えればやむを得ないとも思いますが、北京オリンピック会場も、ソチオリンピック会場も、そのうちの幾つかは廃墟と化しているようです。

1964年の東京オリンピック会場は、そう考えると長い間よく使われてきたと思います。多分、詳細に検討するとそうでもない場所もあるのかもしれませんが、上記の状態ということは無いのでしょう。

2020年の東京オリンピック会場については、国立競技場の建て替えから、エンブレムまでいろいろな不祥事がありましたが、私はやはり世界が注目するオリンピックを国民が力を合わせて良い物にしていくという、玉虫色かもしれませんが、そういった考えはやはり大事だと思います。

今年のリオデジャネイロ五輪には、私の教え子も出場します。陸上競技では、ゼミ生だった大迫傑の活躍は目覚ましい物が有ります。また、400Hの野澤啓佑も、居酒屋で飲んだ仲ですし、是非メダルを取ってもらいたいと思っています。

4年に一度、世界が注目するオリンピックを是非日本で成功させるため、国民、東京都民が力を合わせられるように、リーダーたちも心を引き締めて頑張っていただきたいと思います。

私も、微力ながら応援しています。

2016年7月10日日曜日

発達障害と睡眠障害 第41回日本睡眠学会シンポジウム

2016年7月7日8日に、日本大学医学部の内山真先生を会長として、日本睡眠学会が京王プラザホテルで開催されました。私は、シンポジウム「発達障害と睡眠障害」を8日の午後行いました。シンポジウムでは、聴衆が部屋に入りきれず、廊下にまであふれだす状況で、非常に好評でした。

演者は
本田秀夫先生
信州大学医学部附属病院 子どものこころ診療部
初めてお会いしましたが、素晴らしい先生でした。
発達障害の概論を睡眠と結びつけて話していただきました。非常に分かりやすくユーモアに富んだお話でした。
http://www.shinshu-u.ac.jp/hp/bumon/kokoro/goaisatu.html

内田 直
早稲田大学スポーツ科学学術院
私です。
睡眠障害外来に来院する日中の過度の眠気を呈するケースを提示して、背景にある注意欠如多動性障害の可能性や考える背景の神経メカニズムについてお話しました。

中島亨先生
杏林大学医学部精神神経科学教室
このシンポジウムを一緒に協力して開催した先生です。
発達障害にみられる、起床困難例についてケースを上げてその背景に見られるメカニズムや、具体的な薬物療法(ノルアドレナリン再とり込み阻害剤の使用、ドパミンD2パーシャルアゴニストの使用など)についてお話し頂きました。
http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/faculty/medicine/education/staff/detail/?id=med19003

神山潤先生
東京ベイ・浦安市川医療センター
研究所の時代から交流を持たせていただいている、神経生理学にも詳しい小児科の先生です。
発達障害と睡眠障害に関連した、神経メカニズムについての仮説的なお話を提示していただきました。特に、報酬系が覚醒メカニズムとも大きな関わりがあるという桜井先生の仮説や、マシュマロスタディーに関わる脳内神経機構などとのお話が逸品でした。マシュマロスタディーは非常に興味深かったので、また取り上げます。)
http://www.j-kohyama.jp/


発表後の総合討論では、聴衆からも熱心な質問が出て、我々も非常に勉強になりました。とても良い、シンポジウムになったと自負しています。





2016年7月6日水曜日

バングラデシュ・ダッカのテロ事件

今回のテロ事件については、怒りを禁じえません。犠牲になった日本人の方々、ご家族に心から哀悼の意を表したいと思います。バングラデシュという国のために、意欲をもって渡航した人たちがテロの犠牲になるという構図は、本当に許せない思いがあります。

バングラデシュは、歴史的に見るとイギリス領インド⇒独立インド⇒東パキスタン⇒バングラデシュと、歴史の間で揉まれてきた国です。経済的にも裕とはいえず、ジョージ・ハリスンがバングラデシュを援助すべく、同名の曲を歌ったのを思い出します。

近年は、経済的にも発展してきているようで、2015年のGDPは、世界46位で、ポルトガルやギリシャと同レベルです。私はバングラデシュには行ったことがありません。インドには10回ほど行きましたが、インドと同様にバングラデシュも貧困層と富裕層の差は非常に大きいように思います。

このような、国と国との間の貧富の差や、国内での貧富差には、安全で裕な国日本はしっかりと目を向けなければいけないと思います。さらにそういった援助については、援助される側から見れば、先進国の勝手な思いが見える面もあるかもしれません。しかし、多くの海外援助に取り組む若い人た日は、純粋な思いを持ちながら、また日々の活動の中で葛藤しながら懸命により良い援助を目指して活動していることは間違いがありません。

私の教えた学生も、海外に出向いて夏休みにボランティアをするなどの活動をしていますが、非常に純粋な視点をもっています。また、誤解や間違いを通じて、多くを学んできます。

こういった、葛藤の中から相互の理解を育んでいく姿勢に対しての今回のテロは、現地の人達にとっても全く受け入れられないものではないかと思います。

多くの苦難のなかで国を作ってきたバングラデシュに対して、誤った宗教観からテロを行う一部の人達、またその指導者に対しては本当に怒りを禁じ得ない思いです。

2016年6月30日木曜日

自著「安眠の科学」の盗作サイト - その後

昨日、再び  睡眠.xyz  をみてみましたところ、すべて削除されていました。目的がよくわからないのですが、アフィリエート収入を得るのが目的かもしれません。





証拠保全は完璧にできているので、あとは、幾つかの選択肢があります。


1.弁護士を立てて、民事訴訟にて賠償を求める。
2.警察に、著作権法違反の申し立てをする。


調べたところ、地域の警察にまずは届ければ良いようです。

いずれにしても、興味深い経験をしました。また、著作権侵害については腹立たしい思いです。一方で、自分自身も文章を書く際に、他の人の文章を参考にするとすれば、著作権侵害には気をつけなければなりません。

学生の、レポートなどについても厳しい指導がなされています。最近は、インターネットから情報を集めることが多いので、自分自身も気をつけていかなければいけないとも思う出来事でした。


2016年6月27日月曜日

第31回 日本老年精神医学会

6月23日24日に金沢市で開催された、第31回日本老年精神医学会に参加しました。

私は、高齢者の治療に関しては、早稲田大学に来る前の東京都精神医学総合研究所の時代から、東京都多摩老人医療センターや板橋にあった東京都老人医療センターにて勤務をし、外来業務を担当していましたので、専門的なトレーニングを積んでいると思っています。また、2003年に早稲田大学に赴任してからは、近隣の啓仁会平沢記念病院にて診療を続けています。現在は名誉院長になられた平沢秀人先生は、東京都老人医療センターで長年高齢者の治療を続けてこられた方で、平沢記念病院でも高齢者の治療は多くしてきました。

しかしながら、日本老年精神医学会には所属していませんでしたが、高齢者の精神科治療に関連した再診の知識を得ながら、更に自分の知識を整理するために、日本老年精神医学会の専門医を取ろうと思い、昨年10月に入会いたしました。2015年の学会では、シンポジウムに招聘されたので、そのときに入会すべきだったと思います。

今回、学会員として聴講しましたが、非常に密度の高い学会で非常に勉強になりました。特に認知症の診断治療に関した最前線の知識を、この分野の専門家の先生方の講義を聴いてまとめて勉強できるのは本当に有意義でした。

また、この学会では、長年この分野で活躍しておられる松下正明先生をはじめ、私が早稲田大学の前に所属していた東京都精神医学総合研究所の時代に一緒に仕事をさせていただいた先生方も多くおられるので、懐かしい気持ちになりました。

新しいトピックスでは、アミロイドPETを用いて、まだ症状からは認知症と診断しにくい初期の患者さんのアミロイドの沈着の程度を判定し、今後の発症に関わる診断的情報とする技術の紹介もあり、この分野が大きく発展しているとも知りました。今後、定期的に学会に参加し、知識をアップデートするとともに、知識を普段の臨床に活かしていきたいと思っています。

2016年6月26日日曜日

毎日小学生新聞に私の監修記事が掲載されました

毎日小学生新聞に私の監修記事が掲載されました。ウェッブでもある程度読めるようなので、左記のリンクをご参照ください。

取材に見えた、小丸記者もお母様で、子育てに関連した睡眠の問題について随分と苦労されているようでした。子どもの睡眠や母親の睡眠はとても大事なことで、これらについては、一緒に生活する父親の強力も欠かせないところです。

見開きで楽しい記事が掲載されました
産休育休制度は次第に充実しつつあるというものの、一日中子育てに時間を費やしている母親の生活について、よく知ることも大事だと思います。そんな話で、小丸さんとは話が盛り上がりました。

勿論、その中で子どもの睡眠の話もたくさんいたしました。小丸さんには、そのエッセンスを子どもたちに分かりやすくまとめていただきました。ありがとうございました。



2016年6月20日月曜日

今年のル・マン24時間もポルシェが優勝

昨年も、ル・マン24時間についての記事を書きましたが、ことしもル・マンが終わりました。今年は、日本人としては非常に微妙な気分ですね。トヨタが、最後の最後まで首位をキープして、ゴール3分前に、トラブルでリタイア。首位をポルシェに譲ったということです。

こういう結果をみると、ただ24時間走り続けるというだけでなく、首位を維持しながら24時間走り続けることの困難さということ、そしてそれを達成するための自動車耐久性能、そして高速走行性能の確率が以下に大切かということを感じさせられます。

ル・マン24時間のトヨタチーム
motorsport.com  より
トヨタが負けたのは、日本人として非常に残念です。トヨタは2位にはなりましたが、2位では意味がありません。これで来年が非常に楽しみなってきました。

一年に一度くらいモータースポーツを取り上げるのも良いですね。

2016年6月14日火曜日

光遺伝学

先日、睡眠開始後のノンレム睡眠中の補足運動野から一次体性感覚野への神経回路が、視覚的パターン記憶に強く関与しているという理研の研究記事を読みました。
http://www.riken.jp/en/pr/press/2016/20160527_1/

睡眠と記憶の関係については、これまで多くの論文もありますし、我々の研究室も運動学習と睡眠について、現在は東京理科大学助教の守田優子先生を中心に研究していたことが有りますので、基礎研究で更に詳しいことがわかったのかな、と理研のサイトを見てみました。

その中で、Optogeneticsという単語が会ったので、迂闊にも不勉強だった私は、よく理解できませんでした。そこで、安易ですがインターネットで調べたところ、既にWikipediaにも項目がありました。しかし、脳科学辞典というサイトのほうが、より詳細な記載がありましたし、よく理解できたのでそちらを紹介したいと思いまます。<脳科学辞典光遺伝学へのリンク

要するに、遺伝子操作をしてある神経に光によってコントロールできる遺伝子を特異的に発現させ、時に光によってその神経を抑制(働かなくする)したり、活性化(より働くようにする)したりするテクニックのようです。

このような神経科学のテクニックが既に睡眠と記憶の分野にも応用されて、詳細な脳科学の仕組みがわかってきているというのは驚きでした。

また、自分が最近はこういった基礎研究の知識からは随分と離れているような気がして、少しさみしい思いもありました。

様々な荒波を乗り越えて存続している世界のRIKENですが、日本のトップ研究施設の一つであることは間違いないと思います。このような先進的な研究を積み重ねて日本の自然科学のプレゼンスに貢献して欲しいと思います。

2016年6月10日金曜日

自著「安眠の科学」の盗作サイト - 著作権違反をどう取り扱うか

私が、日刊工業新聞社から2013年に出版した、安眠の科学という書籍を丸写しした盗作サイトを発見したので、ご紹介したいと思います。

http://睡眠.xyz

というサイトです。
安眠の科学は、睡眠についてわかりやすく解説した科学解説本です。アマゾンでは、
5つ星のうち3.0これを読んだからといって不眠が解消するわけではありませんが、簡単な知識は身につきます
という評価を頂いていますが、まあ妥当なものだと思います。不眠を解消したい時には、私の外来にいらしてください(笑)。

さて、私が発見した http://睡眠.xyz  というサイトは、この本の殆ど丸写しなので驚いてしまいました。例えば写真で掲載した、「睡眠の基本的な仕組み」という部分を御覧ください。このページの文章はそのまま、掲載してあります。

盗作サイトのこの部分をコピーして掲載すると以下のとおりです。

http://xn--x1y7e.xyz/1.html

=====引用ここから

睡眠の基本的な仕組み

睡眠感の良し悪しは、あくまで本人次第というところもありますが、睡眠を客観的に測るということはとても難しいことでした。特に、19世紀まではあまり良い方法が無く、その頃の研究者は、夜間眠っている間に、所定の高さから硬い球を床に落とし、一定の大きさの音を発生させ、どのくらいの音で覚醒するのかを調べていました。このような研究では、たとえある音で覚醒しなかったとしても、睡眠を浅くしてしまう可能性が高く、ある時点での睡眠の状態を正確に測定することは非常に困難でした。

睡眠の状態を測定する

客観的に睡眠の状態を測定できるようになったのは、脳波が発見されてからです。脳波は、脳の神経細胞の電気的な活動を頭皮に装着した電極を使用して記録するものです。神経細胞の電気活動といっでも、頭皮から記録できるものは主には頭蓋骨に近い大脳皮質の活動です。大脳皮質は、さまざまな脳の高次機能をつかさとっています。睡眠をとると意識が低下し、大脳皮質の活動は低下していきます。睡眠中は、このような大脳皮質の活動の変化が起きるので、脳波によって睡眠の状態が測定できるわけです。

引用ここまで====

全く同じです。これは、私が自分で作ったものではないので、本当に驚きです。このようにこのサイト全般にわたって、私の本そのものの文章が書かれています。

このような場合に、どうした良いのか。弁護士にも相談してみました。そうしたところ、まずは証拠保全をする必要があるということでした。これは、すでに行いました。

次に、下記資料1に書かれているような手段を講じるのが良いということでした。この中で、まずはこのサイト管理者に削除を依頼したいのですが、サイトでは、


という風に、不当に著作権を主張しているにもかかわらず、サイト管理者の名前は公表していませんでした。そこで、IPアドレスをWHOISで調べたところ、ロリポップサイトを使っているようでした。そこで、ホスティング会社に削除を依頼し、さらにサイト管理者を調べてもらうことにしようと思っています。

私としては、自分が苦労して書いた本をこのように、簡単に横取りされてしまうことには、非常に腹立たしい思いがあります。しかし、これも非常に珍しい経験なので、すこしブログで取り上げながらこの問題について考えてみたいと思っています。


資料1
http://www.seotemplate.biz/blog/spam/570/ から引用

自分のサイトがコピーされた場合の対策

  1. サイト管理者に削除を依頼する
  2. ブログサービスに削除を依頼する
  3. ホスティング会社に削除を依頼する
  4. Googleにスパムサイト報告を行う
  5. DMCAの申し立てを行う
  6. 弁護士を立てて訴える




入力情報

対象ドメイン または IPアドレス
睡眠.xyz
(xn--x1y7e.xyz)
入力の逆引き または 正引き
210.172.144.22
利用者情報
IPアドレス : 124.140.182.126
ご利用時間 : 2016/06/07 06:54:01

2016年6月5日日曜日

早稲田大学ア式蹴球部リーグ戦観戦

5日日曜日に、早稲田大学のサッカー部、ア式蹴球部のリーグ戦を観戦しました。早稲田大学は、伝統的にサッカー部をアソシエーション式フットボールを省略したア式蹴球部と呼んでいます。サッカー部をア式蹴球部と呼ぶ大学は、この他に東京大学があります。ちなみに、慶応義塾大学はソッカー部と呼んでいます。

この日は、さいたま市浦和区の駒場スタジアムで、明治大学を対戦相手として行われました。私のゼミ生であるキーパーの後藤君が出場するのを楽しみに妻と二人で出かけたのですが、残念ながら後藤君はこの日は出場機会に恵まれませんでした。

残念ながら負けてしまいましたが、
次を目指してまた頑張ろうね。
試合をみると、明治大学のパスワークが早稲田大学をやや上回っているように思えました。しかしながら、早稲田大学の守備陣もなかなか堅固な守りで前半は0-0。贔屓目に見てなかなか良い得点に絡むシーンも有ったので、後半に期待をかけましたが、残念ながら後半、明治大学に得点を決められ、その後点を返せずに0-1で負けてしまいました。

ア式蹴球部は、私は早稲田大学に勤務はじめた頃に、賛助会員とさせていただき、その後も機会あるごとにサポートしています。一時期は、ア式蹴球部からたくさん来て、スターティングメンバーの半分以上が私のゼミ生ということもありました。その頃は、自分が監督席に座りたい勢いでした。

こういった試合を見て思うのは、大学スポーツが次第にプロ化しているということです。しかし、これに対して早稲田大学は、勉学との両立を強く全面に出し、体育会にあたる競技スポーツセンターが中心になって、WASEDA ATHLETE PROGRAMを発足させています。私は、このような方法が、やはりカレッジスポーツの魅力を保っていくうえでとても大切だと思っています。

チームを強くするには、お金をつぎ込めば良いと思います。良い選手を高校から探してきて、特待生待遇で入学させる。そして、授業料を免除し宿舎をあたえ、またトレーニングにもお金をかける。そうすれば、強いチームが育つことは間違いありません。しかし、これではプロスポーツとあまり変わらなくなってきます。カレッジスポーツの良い点は、やはり学生としての本分を忘れずにスポーツに励むということなのだと思っています。早稲田大学は、他大学よりもこれを実践しているように思います。

学生や、大学スポーツの関係者の間でこのような議論が更に深まると良いと思っています。

2016年6月3日金曜日

都市部における精神科遠隔医療の可能性 (3) 日本精神神経学会のシンポジウム

現在、幕張メッセを中心にした会場で、日本精神神経学会が開催されています。私も教育講演の座長で、昨日参加しましたが、その中に遠隔医療のセッションが有りました。精神科における遠隔医療の可能性について、精神科の中心的学会でもある日本精神神経学会で取り上げられるようになったというのは、非常に驚きした。プログラムの赤丸の、大西先生の精神障碍者スポーツに関する教育講演の座長を務めたのですが、同時進行でシンポジウム19に遠隔医療のセッションが有りました。

都市部における遠隔医療については、私は非常に興味をもっており、自分自身でも実践していきたいと考えています。これについて、群馬大学医学部の長谷川高志先生のお話は、非常に有用な情報を沢山含んでいました。遠隔医療についての基本的な考え方を十分に理解したうえで実践していくことが重要と思われますが、法的な問題や、診療報酬制度との整合性についても十分に検討することが必須だと思います。

このような中で、ビデオ会話(テレビ電話)を用いて行う精神療法についての有効性や、これを診察とみなすかどうかということ、更にはこれにともなって発行する処方箋、あるいは薬物療法をどのような形で行うのかということが具体的な課題になるのではないかと思います。

既に自費診療を主体として行っているクリニックは存在するようですが、この点についても慎重により良い形での実践ができるよう、更に情報を集めていきたいと思っています。

2016年5月30日月曜日

フィッシングメールが届きました

明らかにフィッシングメールと分かる、メールが届きました。

同じメールが届いた人が、検索できるように、ブログに掲載しておきます。




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5月29日
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le cabri sur

2016年5月23日月曜日

東京医科歯科大学医学部附属病院での診療 その2 御茶ノ水界隈

東京医科歯科大学で診療を開始して、2ヶ月ほどになりますが、まだ院内のコンサルテーション程度の仕事です。しかし、時々御茶ノ水に行くのはとても楽しみです。

御茶ノ水というのは、私が浪人生活を送った街でも有ります。浪人時代に、駿台予備校に通って、午前の講義が終わると昼ごはんを食べて、家に帰るのですが、浪人生の頃は少し都内を歩いて、上野駅まで歩いたりした覚えも有ります。

今回、御茶ノ水で診療するようになって、御茶ノ水駅から駿河台下まで歩き、その後すずらん通り
http://www.kanda-suzuran.com/access/index.html
にも入ってみました。高校生の頃から、私はジャズが好きでしたので、浪人時代も午前の授業が終わると少し楽器屋によったり、Disc Unionなどに行ったりした覚えも有ります。

御茶ノ水に、楽器屋が集まっているのは今も昔も同じですが、昔に比べなお一層楽器屋の数は多くなっているようにも思います。

ジャズ喫茶NARUは健在でした。ここには、数年前にもライブを聞きに行ったことがあったように思います。

右に明治大学、左に主婦の友社を見ながら駿河台下までおり、それからすずらん通りに入ってみました。

すずらん通りは、図にあるような場所なのですが、昔はここに古本屋が並び、更には中古楽器屋や、古道具屋などもあったように思います。今も、その面影は一部あるのですが、それよりもチェーン店の飲食店のほうが多く並んでいて、ちょっと残念な気持ちです。書泉ブックマートはなくなって、ABC-Martがありました。ちょっと調べてみると、そんな記事も見つかります。
http://www.excite.co.jp/News/anime_hobby/20151119/Otapol_201511_abc.html

変わったところも多くありますが、同じ所もある。しかし、浪人生時代、研修医時代を過ごした御茶ノ水は、やはり今も若いころを思い起こさせる、思い出深い界隈ですね。

2016年5月18日水曜日

第41回日本睡眠学会 シンポジウム 発達障害と睡眠障害



2016年7月7日8日の二日間、東京都新宿区の京王プラザホテルで、日本睡眠学会が開催されます。
http://www.c-linkage.co.jp/jssr41/

この学会で、私と中島先生(下記)がオーガナイザーとなって、発達障害と睡眠障害というシンポジウムを行います。

シンポジウムは、


中島亨先生 杏林大学
http://dr-guide.net/www/%E4%B8%AD%E5%B3%B6%E4%BA%A8/
神山潤先生 東京ベイ・浦安市川医療センター CEO
http://www.j-kohyama.jp/profile.cfm
本田秀夫先生 信州大学
http://www.shinshu-u.ac.jp/hp/bumon/kokoro/goaisatu.html

この4名で行います。

私自身は、成人の注意欠如多動性障害と日中の眠気についての話をする予定です。

この問題は、このブログでも何度も取り上げてきており、エントリーのヒット数もこれまで上位を維持してきています。また、ブログの記事を読んで来院される患者さんも大勢おられます。これまで睡眠障害専門外来では、睡眠に焦点をあてて診断治療を行ってきました。これは、いわば当たり前のことでは有りますが、しかし、その背景にある疾患に目を向けなければ、根本的な治療ができないのがこの、成人ADHDにみられる日中の眠気、だと思います。主訴が日中の眠気であるために、どうしても睡眠専門医は、無呼吸やナルコレプシー、午前中の眠気だと睡眠相遅延症候群となどに診断が傾いてしまって、その背景にある根本的な問題を見いだせない場合があるからです。

このシンポジウムが実り多いものになると良いと考えています。

2016年5月14日土曜日

稲門医師会の設立 (Waseda Weeklyの記事)

今年の1月末に、稲門医師会(早稲田大学卒業生で医師になった人たちの同窓会)が設立されたことを書きました。これに関する記事が、Waseda Weeklyという大学の広報誌に出ていますので、取り上げます。

これは、稲門医師会幹部の二人の先生(羽鳥先生、中山先生)と、若い医師(福田先生)、若い研究者(築根先生)の4名での対談の記事です。

稲門医師会の設立記念写真です
私も写っています
個々に取り上げた理由は2つあります。一つは、私も会員で、早稲田大学の教員かつ医師であること。もう一つは、対談をしている福田さんは私の初めての大学院生で、大学院修士課程で、スポーツ精神医学を学ぶ中で、医師を志し、驚くべき努力をして、修士卒業年に山口大学医学部の学士入学に合格して医師になった人だということです。

向かって左から二人目が福田さんです。
数ある優秀な私の大学院・ゼミ卒業生の
一人です。
稲門医師会の目的は、親睦ですが、世間で騒がれているのは、早稲田大学に医学部を作る布石にの一つではないかということです。私は、これについては全く何の情報も持っていません。ただ、もしそうであれば、非常に好ましいことです。

私は今、スポーツ科学部の国際担当副学術院長をしていますが、大学ランキングを上げるためには多くの論文を排出する必要があり、そしてインパクトの高い論文を排出し、多くの予算を勝ち取るにはやはり医学部の存在はとても大きいからです。

慶応大学は、薬科大学を統合し薬学部をつくりましたが、すでに非常にレベルの高い薬学部となっています。早稲田大学がどのような形であれ、医学部をつくれば、最初から普通の医学部ではないものになることは疑う余地が無いと思います。どのような普通でない医学部を作るのか。これまである、理工学部、スポーツ科学部だけでなく、文系の学部も含めた学術的リソースと統合して、様々な基礎分野応用分野にこれらの蓄積を生かしていくことが最初からできるということであるように思います。

写真に写っている羽鳥先生は、初めて設立の会でお会いしましたが、非常にアクティブな方で、日本医師会においても理事職にあって、日本の医療の推進に尽力されておられます。

私も、微力ながら、早稲田大学の医学面での発展には協力していきたいと思っています。