ラベル ジェットラグ症候群 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ジェットラグ症候群 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016年8月13日土曜日

J-WAVE JAM THE WORLDに出演します - 時差ぼけ対策

先日、J-WAVEから電話取材の依頼があり、本日取材に応じました。来週、8月15日から19日の20時から21時50分に放送されるJAM THE WORLDという番組に5日間出演するようです。内容としては、ジェットラグ症候群についてのお話をしましたが、現在リオデジャネイロで開催されているオリンピックに関連して、選手も時差ボケ=ジェットラグを少しでも克服するための工夫をしています。一般の人達にとっても、時差ボケの対策は役に立つ面があるのではないでしょうか。少しでも時差ボケを克服するためのヒントを幾つかお話しました。

是非お聞きください!

2014年5月8日木曜日

アスリートの時差対策 (6)

(5からの続き)成田空港で飛行機に乗る時の注意

ここで、飛行機に乗る際に、実際に竹澤選手に指示したことですが、東向きのカリフォルニア便は通常夕方便で、現地には午前中に到着します。その後、夜までずっと起きていることになるので、なるべく飛行機の中では眠るようにしたほうが良いので、そのように指示しました。また、このためには、搭乗前に食事をとってしまって、機内ではなるべく眠るほうが良いわけです。その他に飛行機に乗る前には、時計を現地時間に合わせる。時計を合わせることは、外的因子として、体内時計に 影響を与えることになるので、これも指示しました。機内では水分を多めにとる。アルコールやコーヒーは控えることも話しました。飛行機の中は乾燥しているので、水分を補給したほうが良いし、時差とは直接関係はありませんが静脈血栓などの発生を予防する効果もあります。

この指示は、出発の何日か前に話したのですが、彼はしっかりとそれを覚えていて、食事を予め取り、時計をしっかりとカリフォルニア時刻に合わせていました。このようなトップアスリートに接すると、伸びるアスリートの要件として、貪欲に情報を吸収し、自分で考えて、納得したことはしっかりと事項するという行動力が、ずば抜けて高いと感じます。トップアスリートには若くても尊敬できる人が多く居ます。

さて、無事カリフォルニアに到着し、翌日の朝の集合に私も参加したのですが、竹澤選手は、非常にスッキリした顔をしており、すごく良く眠れたと話していました。一方で、同行した別の選手は、寝付きが悪く夜中に何度も起きてしまったと話していました。その後、竹澤選手と一緒にしばらくジョギングもさせてもらいましたが、彼は体調も良い。日本で朝走るのと同じ感覚ととても嬉しそうでした。このような状態で、数日後に試合に参加し、良い結果を出したわけです。


競技の会場でトレーニングする竹澤選手


実際に選手に同行してみると、このような時差対策は、時差を克服するだけでなく、体調が良い状態で現地入りした時の安心感という、メンタルな側面も大きくあるように思いました。現地入りしたあと、体調の良い状態で、試合に向けてのコンディショニングができるようになると、現地での滞在時間が非常に有効に使えます。

私は、大学の講義などがあり試合は観戦できませんでしたが、彼は試合で当時の学生新記録を樹立したわけです。この時差対策は、私にとってもとても大きな経験になりました。

2014年5月5日月曜日

アスリートの時差対策 (5)

竹澤健介選手に行ったカリフォルニアへの時差対策の続きについて述べましょう。カリフォルニアへは、早寝早起き方向へ睡眠時間帯をずらして行くことがジェットラグ症候群(時差ボケ)を軽減させることにつながります。実際に体の中で起きている変化は、睡眠時間帯の移動に合わせて、体温リズムが早い時間にずれる、コルチゾールの分泌時間が早い時間にずれる、メラトニンの分泌時間が早い方向にずれるなど、体全体のハーモニーとして動いている24時間のリズムが早い時間帯にずれていくということを示しています。一日だけ早寝早起きしてもこのような変化は限られたものなので、より効果的な変化を起こさせるために、光療法とメラトニン療法を竹澤選手には用いました。メラトニンは禁止薬物ではありませんので、服用に問題はありません。また、メラトニンは服用後若干眠気が出るので、短期的には競技力は低下すると思います。

睡眠時間帯は、毎日一時間ずつずらして行きました。したがって、3日間で3時間ずらすという計算になります。もともと早起きだったので、5時あるいは6時には起床する生活をしていました。そこで、6時から、5時、4時、3時という風に起きる時間を前進させ、起床直後に高照度光を浴びてもらいました。またメラトニンは17時、16時、15時というふうに夕方に0.5mgを服用してもらいました。この、毎日1時間ずつ前進させる方法は、やや無理があった気がします。

実際にやってみると、このような時差対策は、競技者や競技団体が時差対策に協力的でないと完全に行うことは難しい面があることも分かりました。例えば、竹澤選手はこの時には学生だったので、実習などもあり早い時間に眠ることが難しい日もありました。更に、メラトニンの即時効果としての眠気が0.5mgという微量でも意外に強く眠いと言っていました。そのようなことから、出発前は調子が悪いと言っていました。これを聞いて私は非常に心配になりました。オリンピックを目指している選手に対して、時差対策といえども、眠気というマイナスの要素を起こさせることが果たして良い結果に繋がるのかに、やや不安が起こったわけです。


パロアルトで滞在した宿舎前での竹澤選手


そこで、私もカリフォルニアについていくことにしました。競技会のあるパロアルトは、私が以前住んでいたサンフランシスコ・ベイエリアにあり、私も非常に良く知っている地域です。パロアルトに、留学時代の友人もいます。
(つづく)


2014年5月4日日曜日

アスリートの時差対策 (4)

(4)では、私が時差対策を行って非常にうまく言ったオリンピックアスリートのケースについて述べましょう。

アスリートの時差対策は、オリンピックやワールドカップなどの大きな試合の前は、あまり必要がない場合もあります。特にオリンピックの前などは、国がサポートをし前もって現地入りしますので、時差の調節には充分時間があるからです。しかし、それでも試合前の重要な時間を一部時差調節に使って、効率的な練習ができないとすれば、やはりそれでも時差調節をしたほうが良いとは思います。

必要となるのは、大きな大会の予選の国際試合です。個人競技選手であれば、様々な記録会やここの予選会に出場し、記録を伸ばしたりポイントを上げていく必要があるでしょう。しかし、同時にアマチュア競技者であれば、仕事や学業もしなくてはなりませんし、プロであれば他の試合もこなしながら予選会に出て行かなくてはなりません。このような時こそ、時差対策がほんとうの意味で生きてくるわけです。

私は、当時私の学生であった、北京オリンピック陸上5000m、10000mに出場した竹澤健介君の時差対策に協力したことがあります。彼は早稲田大学の競走部に所属をしていて、私のゼミに参加していました。真面目な学生で、指導者のアドバイスが納得できれば、そのとおりにトレーニングをするタイプのアスリートだと思います。彼のようなレベルになると、効果の上がらないトレーニング指導に従ってやるということは無いでしょう。例えば少しやったとしても、効果が上がらないと判断されれば、自分でトレーニングを始めると思います。

この頃、アスリートの時差対策については私自身も十分な経験は無かったので、彼のようなレベルの選手が、誤った時差対策によって、オリンピック出場機会を逃してはいけないと思い、彼へのアドバイスについて、私は非常に真剣でした。

彼に行った時差対策の試合は、カリフォルニア州パロアルト市にある、スタンフォード大学が行う招待試合、Cardinal Invitationalです。記録を見直すと、2007年4月30日のことでした。結果として、彼は学生記録を更新する自己ベストを出し、この記録が評価されて北京オリンピックに参加する結果となったのです。

http://www.runnerspace.com/eprofile.php?event_id=95&do=news&news_id=25329

Event 21 Men 10000 Meter Run Kim McDonald
================================================================
Meet Record: % 28:16.60 1998 Brad Hauser, Stanford Name Year School Finals
================================================================
1 Galen Rupp U Oregon 27:33.48%
2 Galvan David Mexico 27:33.96%
3 Simon Ndirangu New Balance 27:38.56%
4 Alistair Cragg adidas 27:39.55%
5 Jorge Torres Reebok 27:42.91%
6 Ed Moran Nike 27:43.13%
7 James Carney Unattached 27:43.64%
8 Suarez Alejandro Mexico 27:43.92%

9 Takezawa Kensuke Unattached 27:45.59%

10 Michael Aish Nike 27:46.37%
11 Josphat Boit Unattached 27:47.57%
12 Alan Culpepper Nike 27:50.05%
13 Simon Biaru Nike 27:50.71%
14 Josh Rohatinsky Unattached 27:55.86%
15 Reid Coolsaet Canada/Reebok 27:56.92%
16 Seth Summerside Unattached 28:02.51%
17 Ryan Shay Saucony 28:03.44%
18 Kenji Noguchi Shikoku Denr 28:03.83%
19 Tim Nelson Wisconsin 28:04.46%
20 Richard Kiplagat New Balance 28:06.43%
21 Romero JuanCarlos Mexico 28:10.14%
22 Dan Browne Nike 28:10.73%
23 Terukazu Omori Shikoku Denr 28:17.97
24 Martin Fagan Unattached 28:18.30
25 Josh McDougal Liberty Univ 28:27.65
26 Ed Torres Reebok 28:28.10
27 Rod Koborsi Reebok 28:30.03
28 Ryan Kirkpatrick Reebok 28:36.12
29 Mark Kenneally Ireland 28:55.49
30 Andrew Letherby Asics 29:04.97
31 Olmedo Pablo Mexico 29:36.89
32 Mario Macias Unattached 29:42.23 

2014年5月3日土曜日

アスリートの時差対策 (3)

(2)では、時差対策の概要を述べました。これは、出発の数日前から睡眠時間帯をずらしていく方法です。もう少し詳しくずらし方について述べましょう。

東向き飛行の場合
東向き飛行とは、日本から東に向かって飛行する場合で、例えばアメリカの西海岸に行く場合です。これは、(2)でも述べたように、早寝早起きにだんだんしていくことが良いわけです。この場合は、いきなり早寝早起きにするよりも無理の無い範囲で少しずつ早寝早起きにしていくほうが体に無理がかからず効果的です。だいたい3時間位早めれば良いと思いますので、例えば30分ずつ早寝にしていくとすれば6日間かけて3時間ずらすということです。どうしても日程が足りなければ1時間ずつずらして3日でやっても良いと思います。しかし、あまり急速にずらすと、早寝しようと思っても眠れなくなり、うまくずらせない可能性もあります。

このような場合に、生体リズムのシフトを促進させる方法を追加して使うことが推奨されます。
これらは、
1.高照度光への暴露
2.メラトニンの服用
の2つです。

高照度光は、以前にも説明した高照度光の治療装置で個人向けのものが発売されています。そういったものの前で、30分から1時間光を浴びるものです。光を浴びる時刻は、起床直後で良いと思います。現実的に、この時間帯に各選手が個別に光を浴びることが効率的でないこともあります。そこで、たとえば、起床後すぐにミーティングを行うなどの工夫も良いかもしれません。ミーティングの部屋をものすごく明るくするわけです。その中で1時間ほどの時間を過ごします。また朝食時間なども連動させて早めていったほうが良いと思います。

メラトニンは、夕方の時刻に服用します。通常睡眠の6時間くらい前に服用するのが良いとされています。また、服用量はごく少量が良いと言われており、私は多くの場合0.5mgで試しています。メラトニンは、日本では発売されていませんので、並行輸入で購入することになります。


上記は、Amazonへのリンクですが、Natrol社のものを使っている人が多いようです。

西向き飛行の場合

西向き飛行は、ヨーロッパなどに行く場合ですが、これは夜更かし朝寝坊の方向に睡眠時間帯をずらしていきます。これも30分位ずつずらして行くのが良いと思います。以前にも述べたように西向き飛行のほうが現地において適応しやすいということがあります。これは、早寝早起きにシフトさせるより、夜更かし朝寝坊にシフトするほうが、楽だということと関連しています。ヨーロッパに行くと極端に夜更かし朝寝坊が普通の生活になるので、合わせやすいわけです。

ここで、光を使うとすれば夜の遅い時間帯に強い光を浴びます。ミーティングを夜やって、その時に明るい部屋でやるとよいでしょう。また、メラトニンを飲むタイミングは朝になります。しかし、西向き飛行の場合は、先に述べたように適応はし易いので、光だけで充分ではないかとも思います。

(4)では、私が時差対策を行って非常にうまく言ったオリンピックアスリートのケースについて述べましょう。

2014年4月30日水曜日

アスリートの時差対策 (2)

アスリートの時差対策について、概要を(1)に書きましたが、実際に時差対策を行う場合には、これから行く行き先が、東の方向なのか、西の方向なのかによって違ってきます。東の方向とすれば、アメリカ西海岸、西の方向とすればヨーロッパが代表的です。ちなみに、オーストラリアなど時差が2-3時間程度のところでは、旅の疲れはありますが時差による障害(ジェットラグ症候群)はおきないので、この対策は全く必要ありません。

東向きに飛行の場合に出発地と目的地を比較すると、目的地はいつも早めに時間が訪れるようになっています。アメリカ西海岸のサンフランシスコであれば、サンフランシスコに日の出が見えるその8時間後に東京で日の出が見えるというような具合です。ですので、逆にサンフランシスコで通常寝る時刻の午後11時は、東京では午後3時です。したがってその時間に東京で合わせるとすれば、相当早寝になってしまいます。我々が行った実験では、通常の昼間の明かりの中で生活をしている場合でも、4-5時間程度であれば、体のリズムをずらすことができることが分かりました。しかし、サンフランシスコとの時差の8時間までずらすことは難しいので、無理の無い範囲で3時間程度リズムをずらすのが妥当だと思われます。

この場合に、睡眠時間帯をずらす方向は早寝早起きです。極端に8時間早寝早起きにすれば、つまり3時に寝て午後10時に起きるような生活にすれば、ぴったりサンフランシスコの時間帯に合うわけですが、これでは社会生活もできませんし、アスリートはトレーニングも出来ません。そう考えると可能な範囲は、せいぜい3時間位、つまり、8時に寝て午前3時に起きるような生活だと思います。一方で、西向き飛行の場合は、逆に3時間程度夜更かし朝寝坊にします。夜中の2時ころまで起きていて、9時ころまで朝寝坊をします。

アスリートはトレーニング時間を早めたり遅らせたりすれば、このような生活は比較的できます。以前に、女子サッカーワールドカップの際に、なでしこジャパンのフィジカルトレーナーの広瀬統一氏(早稲田大学の同僚でもあります)から質問を受けてアドバイスしましたときも3時間程度でやってみました。この時の経験では、選手の生活をこの様にすることはできるのですが、本当は食事の時間などもずらしたほうが良いわけです。しかし、合宿中にそのようにすると、食事をつくる近所のパートの人達の帰宅時間が遅くなったりして、なかなか難しい状況もあったと聞きました。

このような時差対策は、せいぜい3時間程度ですが、8時間の時差のあるところに行く場合に、3時間の時差対策をすると、実質5時間の時差を克服すれば良いことになります。これは、8時間に比べれば相当適応しやすいと思います。人によっては、ほぼ解消されたと思うこともあるかもしれません。

(3)では、このような時差対策を促進する方法と、実際のスケジュールについて解説します。

2014年4月28日月曜日

アスリートの時差対策 (1)

さて、もう少しするとサッカーワールドカップの話題が沸騰してくる時期になってきました。今年は、ブラジルにて開幕されます。私も、早稲田大学スポーツ科学部の教員ですので、視察に行ってまいります。日本とブラジルは、時差は13時間あるいは11時間。このような時差は地球のどちら周りで数えるかによって決まってきますが、多くの場合は短い方を数えます。例えば、今カリフォルニア都の時差は8時間です。同じ日で数えると、カリフォルニアは16時間遅れていますが、これは8時間の時差があると考えるほうが適当でしょう。ブラジルの場合は、そうすると、11時間と数えるのが良さそうですが、12時間前後になると、どちらでも同じようなものです。

このような時差のある地域への移動は、スポーツに関連しても多くの困難を伴います。スポーツの技能は通常は体温が高い午前10時ころから午後10時ころまでに良いパフォーマンスを行うことができます。ところが、ブラジルのような時差の反対の地域に行くと、昼ころは日本は真夜中です。また、午後の試合であれば、日本は午前2時あるいは3時などという時刻なので、良いパフォーマンスはできません。

こういった場合は、現地に合わせたリズムを出発前に作っていくことが大事です。しかし、アメリカ西海岸やヨーロッパであれば、せいぜい8時間位の時差なので、対策が比較的楽ですが、アメリカ東海岸や、ブラジルとなると、昼夜が全く逆になってしまうので、時差対策は非常に困難になります。

このような時差対策の場合は、少しずつ現地に近づいていくのがよいでしょう。したがって、まずは、アメリカ西海岸の時刻に合わせて日本で早寝早起きにする。そして、西海岸にしばらく滞在し、更に早寝早起きにしてブラジル入りするというような具合です。

このような時差対策は、非常に大切なのですが、まだ充分にアスリートの間に普及しているとも言えません。具体的な方法について何回かに分けて説明してみたいと思います。