2014年5月3日土曜日

アスリートの時差対策 (3)

(2)では、時差対策の概要を述べました。これは、出発の数日前から睡眠時間帯をずらしていく方法です。もう少し詳しくずらし方について述べましょう。

東向き飛行の場合
東向き飛行とは、日本から東に向かって飛行する場合で、例えばアメリカの西海岸に行く場合です。これは、(2)でも述べたように、早寝早起きにだんだんしていくことが良いわけです。この場合は、いきなり早寝早起きにするよりも無理の無い範囲で少しずつ早寝早起きにしていくほうが体に無理がかからず効果的です。だいたい3時間位早めれば良いと思いますので、例えば30分ずつ早寝にしていくとすれば6日間かけて3時間ずらすということです。どうしても日程が足りなければ1時間ずつずらして3日でやっても良いと思います。しかし、あまり急速にずらすと、早寝しようと思っても眠れなくなり、うまくずらせない可能性もあります。

このような場合に、生体リズムのシフトを促進させる方法を追加して使うことが推奨されます。
これらは、
1.高照度光への暴露
2.メラトニンの服用
の2つです。

高照度光は、以前にも説明した高照度光の治療装置で個人向けのものが発売されています。そういったものの前で、30分から1時間光を浴びるものです。光を浴びる時刻は、起床直後で良いと思います。現実的に、この時間帯に各選手が個別に光を浴びることが効率的でないこともあります。そこで、たとえば、起床後すぐにミーティングを行うなどの工夫も良いかもしれません。ミーティングの部屋をものすごく明るくするわけです。その中で1時間ほどの時間を過ごします。また朝食時間なども連動させて早めていったほうが良いと思います。

メラトニンは、夕方の時刻に服用します。通常睡眠の6時間くらい前に服用するのが良いとされています。また、服用量はごく少量が良いと言われており、私は多くの場合0.5mgで試しています。メラトニンは、日本では発売されていませんので、並行輸入で購入することになります。


上記は、Amazonへのリンクですが、Natrol社のものを使っている人が多いようです。

西向き飛行の場合

西向き飛行は、ヨーロッパなどに行く場合ですが、これは夜更かし朝寝坊の方向に睡眠時間帯をずらしていきます。これも30分位ずつずらして行くのが良いと思います。以前にも述べたように西向き飛行のほうが現地において適応しやすいということがあります。これは、早寝早起きにシフトさせるより、夜更かし朝寝坊にシフトするほうが、楽だということと関連しています。ヨーロッパに行くと極端に夜更かし朝寝坊が普通の生活になるので、合わせやすいわけです。

ここで、光を使うとすれば夜の遅い時間帯に強い光を浴びます。ミーティングを夜やって、その時に明るい部屋でやるとよいでしょう。また、メラトニンを飲むタイミングは朝になります。しかし、西向き飛行の場合は、先に述べたように適応はし易いので、光だけで充分ではないかとも思います。

(4)では、私が時差対策を行って非常にうまく言ったオリンピックアスリートのケースについて述べましょう。

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