2016年7月30日土曜日

アイマスクで快適夏の睡眠

この季節になると、朝早く起きてしまって眠れないという人が時々居ます。もちろん、うつ病などの背景に他の精神疾患のある患者さんも居るのですが、ちょっとした落とし穴がある場合もあります。

ebayで購入したアイマスク
よく、カーテンを開けて眠って、朝日を浴びましょうということが言われています。私も、そんな話をすることも有りますが、朝日を浴びると、生体リズムの位相が前進して早寝早起きになるわけです。別の言い方をすると、時計がリセットされて、また新しい一日のリズムが始まるともいえます。ただ、夏の朝は4時ころから明るくなります。そうしますと、朝早く目が覚めすぎてしまうということもおきるわけです。

特に、45歳以降の方で、幾分睡眠が浅くなってきた年代については、朝の光で早く起きすぎてしまって眠れないという方が居ます。そういう方にはアイマスクをすすめています。写真は私がつかっているアイマスクですが、三次元立体式で、比較的大きめで快適です。

このアイマスクは、ebayで買いました。
http://www.ebay.com/itm/231985245621?_trksid=p2057872.m2749.l2649&ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT
非常に安くて、性能は良いので、もう少したくさん買って、臨床の場で患者さんにあげようかとも思っています。

アイマスクをして眠ると、朝部屋が明るくなってきてもわからないので、意外と冬場のように長眠をできるように思います。睡眠は、デリケートな面もあるので、アイマスクをしても変わらない人も居るかもしれませんが、しかし早朝の光の影響は回避できることは間違いありません。

早朝の光は良いと言われますが、しかし、これもこのような季節では早朝覚醒の原因になって、もう少しゆっくり眠る機会を奪ってしまうことにもなります。そこで、このような少しの工夫をするだけでも、よりよい睡眠が得られる様になるというわけです。


2016年7月24日日曜日

マシュマロ テスト

先日に行われた、日本睡眠学会のシンポジウムについては、神山潤先生がマシュマロテストのお話をされたということを紹介しましたが、そのテストについて、私は知識がありませんでした。そこで、少し調べてみましたが、非常に面白いので、紹介したいと思います。まず、YouTubeを御覧ください。これを見るだけでもとても面白いです。子どもたちがとても可愛いですよ。




このテストについては、ジェームス・クリアという人のサイトにその詳細な記述があるので、それを参考にしました。下記のURLです。
http://jamesclear.com/delayed-gratification

マシュマロテストというのは、Marshmallow Experimentとも呼ばれていて、1960年代にスタンフォード大学で行われた研究のようです。被験者は、4-5歳の子どもたちです。実験では、子どもたちを個室に招き入れて、一個のマシュマロが目の前に置いてある机に座らせます。そして、子どもに、今からちょっと部屋を離れるけれども、その間にマシュマロを食べてしまったら、もうそれじょうマシュマロはあげないけれども、もし我慢できたらもう一つマシュマロをあげて、2つ食べても良いよという風に説明します。

そして、検者は15分部屋を離れるわけです。そして帰ってきた時に、マシュマロを食べてしまっているのか、それとも待っていてもう一つマシュマロをもらえるのかを確かめます。この研究の非常に興味深いのは、その後、子どもたちが成人した後に、マシュマロを食べずに我慢できた子たちと、食べてしまった子たちがどうなったのかをフォローアップしたところです。

この結果、マシュマロを我慢できた子どもたちは、
1.大学の入学共通試験で良い成績を取る
2.物質乱用の傾向が低く
3.肥満の割合が低く
4.ストレスへの対応がよく
5.社会的スキルも高い
ということが分かりました。

そう考えると、人生はすでにこの子どもの時に備わっている抑制する力によって決まってしまうとも言えるようですが、じつは別の実験も紹介されています。ロチェスター大学の研究者による研究です。彼らは、このマシュマロテストを行う前に、被験者の子どもたちを2つの群に分けて、片方は約束してもそれを果たさない実験を何度も行い、もう一群は約束をしっかり守る実験を何度も行うということをしています。

その結果は、想像の通り、約束をまもらない実験を繰り返した群では、すぐにマシュマロを食べてしまう率が高くなったわけです。

結局、このような人生の成功は、生まれながらに備わっている抑制力によるだけでなく、環境、すなわち、教育、社会的規範などによっても培われるものだということを示しているようです。これは、結局のところ、精神的な問題を考えるときには常にそこにあるものです。

近年、発達障害が問題になっていますが、資質としていわゆる発達障害に相当するものを持っている子どもに対しても、丁寧で誠実な教育をしていくことによって、その行動は変わるということも示しているように思います。

考えてみれば、本当にあたりまえのことですが、いろいろな場でしっかりと認識されるべき事柄でもあるように思いました。

非常に、興味深いトピックでした。

2016年7月16日土曜日

オリンピック会場跡地がどうなっているか

宮武嶺さんという方の、衝撃的なブログを拝見したので紹介したいと思います。これまでに開かれたオリンピック会場の跡地がどのようになっているのかということを紹介したブログです。

ブログを改めてここで再掲して紹介する必要はないと思いますので、下記を読んでみてください。とても興味深いブログです。

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/3cf5b85398830a3d1e79705c133ece93

宮武さんのブログにリンクした画像
これを見ると、多くのオリンピック会場跡地が廃墟になっていることが分かります。アテネオリンピックについては、ギリシャの経済事情を考えればやむを得ないとも思いますが、北京オリンピック会場も、ソチオリンピック会場も、そのうちの幾つかは廃墟と化しているようです。

1964年の東京オリンピック会場は、そう考えると長い間よく使われてきたと思います。多分、詳細に検討するとそうでもない場所もあるのかもしれませんが、上記の状態ということは無いのでしょう。

2020年の東京オリンピック会場については、国立競技場の建て替えから、エンブレムまでいろいろな不祥事がありましたが、私はやはり世界が注目するオリンピックを国民が力を合わせて良い物にしていくという、玉虫色かもしれませんが、そういった考えはやはり大事だと思います。

今年のリオデジャネイロ五輪には、私の教え子も出場します。陸上競技では、ゼミ生だった大迫傑の活躍は目覚ましい物が有ります。また、400Hの野澤啓佑も、居酒屋で飲んだ仲ですし、是非メダルを取ってもらいたいと思っています。

4年に一度、世界が注目するオリンピックを是非日本で成功させるため、国民、東京都民が力を合わせられるように、リーダーたちも心を引き締めて頑張っていただきたいと思います。

私も、微力ながら応援しています。

2016年7月10日日曜日

発達障害と睡眠障害 第41回日本睡眠学会シンポジウム

2016年7月7日8日に、日本大学医学部の内山真先生を会長として、日本睡眠学会が京王プラザホテルで開催されました。私は、シンポジウム「発達障害と睡眠障害」を8日の午後行いました。シンポジウムでは、聴衆が部屋に入りきれず、廊下にまであふれだす状況で、非常に好評でした。

演者は
本田秀夫先生
信州大学医学部附属病院 子どものこころ診療部
初めてお会いしましたが、素晴らしい先生でした。
発達障害の概論を睡眠と結びつけて話していただきました。非常に分かりやすくユーモアに富んだお話でした。
http://www.shinshu-u.ac.jp/hp/bumon/kokoro/goaisatu.html

内田 直
早稲田大学スポーツ科学学術院
私です。
睡眠障害外来に来院する日中の過度の眠気を呈するケースを提示して、背景にある注意欠如多動性障害の可能性や考える背景の神経メカニズムについてお話しました。

中島亨先生
杏林大学医学部精神神経科学教室
このシンポジウムを一緒に協力して開催した先生です。
発達障害にみられる、起床困難例についてケースを上げてその背景に見られるメカニズムや、具体的な薬物療法(ノルアドレナリン再とり込み阻害剤の使用、ドパミンD2パーシャルアゴニストの使用など)についてお話し頂きました。
http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/faculty/medicine/education/staff/detail/?id=med19003

神山潤先生
東京ベイ・浦安市川医療センター
研究所の時代から交流を持たせていただいている、神経生理学にも詳しい小児科の先生です。
発達障害と睡眠障害に関連した、神経メカニズムについての仮説的なお話を提示していただきました。特に、報酬系が覚醒メカニズムとも大きな関わりがあるという桜井先生の仮説や、マシュマロスタディーに関わる脳内神経機構などとのお話が逸品でした。マシュマロスタディーは非常に興味深かったので、また取り上げます。)
http://www.j-kohyama.jp/


発表後の総合討論では、聴衆からも熱心な質問が出て、我々も非常に勉強になりました。とても良い、シンポジウムになったと自負しています。





2016年7月6日水曜日

バングラデシュ・ダッカのテロ事件

今回のテロ事件については、怒りを禁じえません。犠牲になった日本人の方々、ご家族に心から哀悼の意を表したいと思います。バングラデシュという国のために、意欲をもって渡航した人たちがテロの犠牲になるという構図は、本当に許せない思いがあります。

バングラデシュは、歴史的に見るとイギリス領インド⇒独立インド⇒東パキスタン⇒バングラデシュと、歴史の間で揉まれてきた国です。経済的にも裕とはいえず、ジョージ・ハリスンがバングラデシュを援助すべく、同名の曲を歌ったのを思い出します。

近年は、経済的にも発展してきているようで、2015年のGDPは、世界46位で、ポルトガルやギリシャと同レベルです。私はバングラデシュには行ったことがありません。インドには10回ほど行きましたが、インドと同様にバングラデシュも貧困層と富裕層の差は非常に大きいように思います。

このような、国と国との間の貧富の差や、国内での貧富差には、安全で裕な国日本はしっかりと目を向けなければいけないと思います。さらにそういった援助については、援助される側から見れば、先進国の勝手な思いが見える面もあるかもしれません。しかし、多くの海外援助に取り組む若い人た日は、純粋な思いを持ちながら、また日々の活動の中で葛藤しながら懸命により良い援助を目指して活動していることは間違いがありません。

私の教えた学生も、海外に出向いて夏休みにボランティアをするなどの活動をしていますが、非常に純粋な視点をもっています。また、誤解や間違いを通じて、多くを学んできます。

こういった、葛藤の中から相互の理解を育んでいく姿勢に対しての今回のテロは、現地の人達にとっても全く受け入れられないものではないかと思います。

多くの苦難のなかで国を作ってきたバングラデシュに対して、誤った宗教観からテロを行う一部の人達、またその指導者に対しては本当に怒りを禁じ得ない思いです。