2015年9月28日月曜日

中国訪問 2015 (2) 吉林省長春 満州国新京

吉林省の長春は、日本の満州時代の首都である新京であった街です。実は私の87歳の母親は、新京で女学校時代を過ごしました。父親が満州鉄道で働いていたからです。私は、この長春を訪れすのは今回が3回めですが、1回目に訪れた時に母の住んでいた家のあった場所に行ってみました。場所がわかったのは、私が最初に訪れるより前に、父と母が長春を訪れて、地図に印をつけていたからです。両親がその場所には行っていないようですが、その地図をもとに吉林大学の劉忠民教授が来るまで連れて行ってくれました。

吉林大学訪問時の記念写真
一番左の赤シャツが劉教授、私は右から3人目
満州時代のその家はなく、新しい家が立っていてロシア料理の店になっていました。母が通っていた、新京錦ヶ丘高等女学校は、富錦小学校という学校になっていました。満州国の時代の写真を見ると、今の様子とは随分違って、広々した感じがします。今は、発展して、長春の街には高層ビルが立ち並んでいます。

日本軍は、植民地として傀儡政権を立ち上げた満州国は、第2次世界大戦後には本来の中国の当地に帰るわけです。しかし、満州時代に満州政府の建物として使われていた国務院などは、今も吉林大学の医学部が使っているなど、健在です。

植民地支配のために、長春の人たち、特に高齢の人たちの日本に対する感情は必ずしも良くないのかもしれないのですが、吉林大学の先生方との交流からはそれは感じられません。早稲田大学スポーツ科学学術院にも、留学生が訪れるようになってきました。

今回の訪問は、吉林大学のホームページにも紹介されています。

2015年9月25日金曜日

中国訪問 2015 (1) 情報統制

9月20日から24日の5日間、中国を訪問しました。今回の訪問は、大学の仕事ですが、中国訪問は多分3-4年ぶりです。まずは、私が以前にも訪問した吉林省の長春を訪問し、その後北京を訪問しました。

ブログの更新が遅れたのは、中国のインターネット事情からです。中国は、以前訪問した時よりもインターネット規制が強くなりました。Google, Facebook, Twitter, LINEにはアクセスできません。話を聞くと、「時々できることもある」そうです。Googleが使えないので、Yahoo!を主に使いましたが、検索が普段通りの方法で出来無いというのは不便です。Googleが中国から撤退した当時のいきさつを読むと、Googleの潔さが現れているように思います。

このような一つの状況を見ても、中国での情報統制が相当強いものだということがわかります。中国に済む日本人や若い中国人と話しをしていても、例えばインターネット警察が問題のある文字列を検索し、内容が問題があれば削除するなど、強い言論統制がなされていることが分かります。

更に、テレビをみると抗日ドラマが毎日のように放映されています。

このような国では、特に人文科学の分野では、政府が好ましいと思うような研究しかできないという問題点があるように思いますが、しかし、一方で大学人はこれに対しては、思想の自由、言論の自由を確保できるような考え方を強く持っているということも感じます。

しかし、大学にしても中国では、大学の学部など各組織には、中国共産党に所属する教員が必ず居て、学問の府の自由をある程度許容するものの、中国共産党の方針に反する運営を行わないようにするという仕組みは作っているようです。

Sensational Triumphという
日本のラグビーチームを称える中国日報の記事
日本に留学している中国の学生たちと話しをすると、日本という環境の中では比較的自由に考えを話し、学問の自由が保証されることが重要だという考えを持っていることは、安心する材料です。中国は、国が発展するプロセスにあり、まだこれからいろいろな変化が起きてくるという好意的な捉え方もできるとは思いますが、しかし国自体は既に強力な軍事力を持っており、近隣諸国だけでなく世界中への影響をすでに持っているので、やはり注意深く観察を続けていく必要のある国だと思いました。

この中で、ほっとする良いニュースは、飛行機でもらった中国日報英語版に、日本のラグビーチームが南アフリカを負かすというアジアチームとして初めての快挙を成し遂げた、という記事が出ていたことです。スポーツのもつ、平和な良い力を感じさせる記事でした。

2015年9月17日木曜日

Google Play Musicに入ってみました

3500万曲聴き放題の定額制音楽配信サービスのGoogle Play Musicに入ってみました。この手のサービスはいろいろ有りますが、私自身はほぼJazzしか聴かないので、国内のサービスよりは、アメリカに拠点をもったサービスのほうが自分の聴きたい音楽を聴くには良いと思います。また、10月18日までに入会すれば、月々780円というのも相当魅力です。

このサービスは、聴き放題ですがファイルを手元に置くことはできないので、インターネットに繋がっていなければ使えません。しかし、殆どの場合、自分はインターネットに繋がっているので、これを払い続ければ、もうCDを買う必要はないかなと思ったりもします。

CDを良いオーディオシステムで聴くことは、確かに音質の良い音楽を楽しむ上では良いのですが、そんな暇は殆ど無いというのが実際のところです。殆どの場合は、カーステレオか、移動中に電車の中で音楽を聞くくらいです。

カーステレオの場合は、Bluetooth接続をしているので、スマートフォンでGoogle Play Musicを再生すれば、まさに3500万曲を選び放題で聴けるというわけです。

もう一つ面白いサービスは、あるミュージシャンの音楽に似た音楽をシリーズで流してくれるラジオ機能です。私の好きなMichael Breckerのラジを試したところ、まさに私の好みの音楽がつづき、時に聴いたことの無いアルバムなども流れて、新しい情報を得ることもできました。

私はジャズが好きで、若い頃はLP盤のレコードを買いました。そのレコードも、学生時代はやはり高価なものなので、一枚を何度も聴くということをしたわけです。そういう意味では、その頃のアルバムを聞くと、ミュージシャンのソロがどう展開していくのかを今でも分かります。

一方、このような配信サービスの形になると、一枚を聴きこむということが少なくなってしまったような気がします。いつでも聴けるため、ついいろいろな音楽を聴くというふうになってしまいます。このような傾向は、良いのか悪いのかわかりませんが、変わってしまったということはあります。

ただ、楽器の練習ということになれば、気に入った一曲のソロをトランスクライブ(譜面に書き留めること)するなどという作業も楽しくしますので、そういう場合には一曲を相当聴きこむということもやはりありますね。

概して考えれば、どこに居ても、昔の好きな音楽も、最新の新譜ジャズも、その時の気分で聴けるこのサービスはありがたいものだと思います。

2015年9月10日木曜日

マリファナの医学的使用 (その後のTwitterでの反応)

先日、マリファナの医学的使用についてのブログを書き、これについてもTweetしたところ、いくつかの反応がありました。「日本でのマリファナ使用の状況が分かっていないね」というもの、また「解禁されるとね、事件事故が減る」という反応も同じTweetでありました。この他には、積極的に医学利用することについての臨床研究ができない状況があるということを教えていただいた、Tweetもありました。(下記画像)

Twitterでの反応


Twitterは、短い文章で書くので、気を使うのですが、いろいろな人達の意見が見えるので、自分の気づいていないことに気づける面があり、有効ですね。このTweetで紹介してもらった、日本臨床カンナビノイド学会の情報を下記に転送します。

実際、2003年のLancetの論文をみると、Cannabis(大麻成分)は、アルコールや多く用いられるベンゾジアゼピン睡眠薬・安定剤よりも有害性が低いとされています。この論文は、私は睡眠薬使用上の注意について話をするときに使いますが、今回改めて別の角度から認識しました。必要なときに、医療使用を行うことについては、今後日本でもデータを集める活動が出来る仕組みはあったほうが良いように思いました。

臨床で使われる薬物にしても、このような大麻の医学利用にしても、議論の途上には様々なバイアスのかかったデータが示されて、結局のところ、一応客観的なエビデンスをベースにした判断は難しいのだと思います。さらに言えば、最終的なところは、一応客観的と思われるデータをもとに、その時に、その地域に居合わせた人たちが、「価値判断」をして決めることなのだとも思います。現状の日本では、まだまだ現状の客観的と思われる知識が普及していないことなどもあって、使用禁の意見を持っている人が多くいるのではないかと思います。下記のような学会や、様々な場で、今後も議論が進むべきテーマなのだと分かりました。

いろいろと、勉強になりました。


http://cannabis.umin.jp/index.html
9月27日(日)9:30(受付開始) 10:00 ~17:00  懇談会17:30~19:00
第1回 日本臨床カンナビノイド学会 設立記念講演会
場所:昭和大学旗の台キャンパス 上條講堂(懇親会は入院棟 17 階 タワーレストラン昭和)
<見所>
カンナビノイドの医療利用研究の世界的権威 メラメード博士が来日
スタンフォード大学フーバー研究所教授 西 鋭夫博士が来日
日本臨床カンナビノイド学会編「カンナビノイドの科学」が刊行 学会当日に購入可

2015年9月7日月曜日

第13回 日本スポーツ精神医学会

9月4日から6日、札幌市において第13回日本スポーツ精神医学会が開催されました。会長の井上誠士郎先生始め、石金病院のスタッフの方々、大変ご苦労様でした。今回は、北海道らしくウィンタースポーツのモーグル競技から、伊藤さつきさんの、怪我を乗り越えての講演がありました。また、フットボーラーの井上先生らしく、障害者フットボールについてのシンポジウムが開催されました。

壇上で開会の挨拶をする井上会長
(フットボーラー精神科医)
日本スポーツ精神医学会は、様々な形で発展しています。その幾つかをご紹介したいと思います。

1.会員数の増加
未だに、小さい学会ではありますが、現在は会員数が300名を超えました。

2.メンタルヘルス運動指導士制度
学会では、精神医学の知識を持ちながら、精神科の患者さんに運動指導をするメンタルヘルス運動指導士制度を制定しています。今年度からは、これに加えて更に資格を取りやすい、メンタルヘルス運動指導員の制度を制定しました。指導士は、基本的には医療資格をもって、より臨床に近い場で行う制度ですが、指導員は、スポーツジムなどやヨガ教室で、指導をおこなう人たちが、精神医学の知識ももちながら、また、学会で他の学会員と交流しながら活動することを目的とした制度です。

4.精神障害者スポーツへのサポート
障害者スポーツ大会や、精神障がい者ソーシャルフットボール大会などの活動にたいして、サポートをしています。また、理事がこれらの活動に携わっています。

5.スポーツ心理学との連携
アスリートのメンタルヘルスの問題に対して、日本スポーツ心理学会と連携してサポート体制を構築しようとしています。


このような、活動に興味のある方はぜひ入会をおねがいいたします。
入会は、日本スポーツ精神医学会のホームページより、入会申込書をダウンロードしてお送りください。http://sportspsychiatry.jp/

ぜひよろしくお願いいたします!

2015年9月3日木曜日

東京五輪エンブレム使用中止 組織委方針 佐野氏が制作 (朝日新聞記事)

国立競技場の設計変更に続いて、一度は大々的に公開された東京五輪の正式エンブレムが使用中止になりました(朝日新聞記事)。ほんとうに残念であるとともに、このような選定に関わった組織に猛省を促したいと思います。このような、ことが続いた背景にはなにか共通の要素があるように思います。国立競技場にしても、エンブレムにしても何か、華やかな権威に頼って選ばれたような印象を受けます。そして、一度決めてしまったことについて、真摯にその問題に取り組まず、防衛的に対応する結果になっているように思います。


没になった2つのデザイン
また、審査委員会についても、国立競技場もエンブレムも審査委員が会見をするという事態にもなりましたが、これも少なくともある時期は、責任逃れ的な発言が目立ったようにも思います。

一部のネット情報を鵜呑みにするのは良くないかもしれませんが、審査委員も相互に知り合いが多いという情報なども目にすると、中立性が十分に保たれていたのかについて疑いたくなります。

一つ、思うのは、こういう時にこれみよがしに個人攻撃が行われることです。これは、慎まなければならないと思います。このような自体は、問題点を明らかにし、改善の方向をきちんと見出すことが最も重要な事で、個人バッシングのためのバッシングがあってはなりません。

今、国民の総意をきちんと反映した、また多くの人達がこれは良い、我々の代表がしっかりと考えてつくってくれた、そう思えるものを国民が願っていることは間違いありません。是非、そういうものを作り上げる真摯な取り組みをお願いしたいとおもいます。そして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、是非とも良いものにして、多くの外国からのお客様に満足して帰ってもらいたいものだと思います。