最近、東京医科歯科大学で、産婦人科のグループと妊婦の睡眠についてディスカッションする機会がありました。睡眠専門外来に来るほどでない程度の妊婦の睡眠の問題は、我々にとってもとても勉強になるものです。また、不眠症やうつ病、その他の精神疾患で外来に受診されている患者様が、妊娠するということもありますので、このような問題について産婦人科の視点をよく知っておくということも大事だと思います。
妊婦に比較的よく見られる睡眠の障害についての研究は、東京医科歯科大学の精神科の阿部又一郎先生に教えていただいた下記のものを読んでみました。
S. Suxuki, L. Dennerstein, K. M. Greenwood, S. M. Armstrong and E. Satohisa. Sleeping patterns during pregnancy in Japanese women. J. Psychosom. Obstet. Cynecol. 15 (1994) 19-26
この論文は、札幌医大で行われた調査に基づいたものだということです。時期は、秋から冬で、睡眠日誌と質問紙による調査です。(睡眠日誌は、実際の患者さんにも私はよく用いますが、簡便でいろいろなことが分かる方法だと思っています。)
結果として、9割近い(88%)方々が妊娠して睡眠が変化したと答えているということです。また、妊娠期間を3つに分けた最初の3分の1の期間では、睡眠の質は悪化し、真ん中の3分の1の期間では、改善し、その後妊娠後期の3分の1の期間では再び悪化するという変化があるということでした。
特に、妊娠の前期は、悪阻のため、妊娠の後期では、お腹が大きくなってくるために、頻尿があり、腰や背中の痛み、そして胎児の動きによって睡眠が阻害されるということもあるようです。
その他、参加の先生方とのディスカッションでは、妊娠期間中の睡眠の質と、出産後の産褥期のうつ状態などとの関連も話し合われました。しかし、この分野はまだ十分な研究が行われているようではないようです。
もう一つは、妊娠期間中、授乳期間中に睡眠に関わる薬物投与がどうかということが有ります。
妊娠中の薬物投与は特に慎重にしたほうが良いと思いますが、妊娠継続のために薬物治療を続けたほうがければ相対的な重要性のために、続ける場合もあると思います。しかし、その場合の適応や、薬物の選択、投与量などは、主治医と慎重に相談する必要はあると思います。
女性は、10ヶ月もの長期にわたって、自分だけでなく 生まれてくる赤ちゃんを一日24時間感じながら 生活をするという時期をへて出産します。 男性には体験できない貴重な経験です。 |
S. Suxuki, L. Dennerstein, K. M. Greenwood, S. M. Armstrong and E. Satohisa. Sleeping patterns during pregnancy in Japanese women. J. Psychosom. Obstet. Cynecol. 15 (1994) 19-26
この論文は、札幌医大で行われた調査に基づいたものだということです。時期は、秋から冬で、睡眠日誌と質問紙による調査です。(睡眠日誌は、実際の患者さんにも私はよく用いますが、簡便でいろいろなことが分かる方法だと思っています。)
結果として、9割近い(88%)方々が妊娠して睡眠が変化したと答えているということです。また、妊娠期間を3つに分けた最初の3分の1の期間では、睡眠の質は悪化し、真ん中の3分の1の期間では、改善し、その後妊娠後期の3分の1の期間では再び悪化するという変化があるということでした。
特に、妊娠の前期は、悪阻のため、妊娠の後期では、お腹が大きくなってくるために、頻尿があり、腰や背中の痛み、そして胎児の動きによって睡眠が阻害されるということもあるようです。
その他、参加の先生方とのディスカッションでは、妊娠期間中の睡眠の質と、出産後の産褥期のうつ状態などとの関連も話し合われました。しかし、この分野はまだ十分な研究が行われているようではないようです。
もう一つは、妊娠期間中、授乳期間中に睡眠に関わる薬物投与がどうかということが有ります。
妊娠中の薬物投与は特に慎重にしたほうが良いと思いますが、妊娠継続のために薬物治療を続けたほうがければ相対的な重要性のために、続ける場合もあると思います。しかし、その場合の適応や、薬物の選択、投与量などは、主治医と慎重に相談する必要はあると思います。