2016年12月16日金曜日

女性と睡眠 (1) 女性の睡眠時間

睡眠の外来を行っていると、女性の患者さんで睡眠の障害を訴える方も多く見えます。これから、しばらく、女性の睡眠についても取り上げてみたいと思っています。

表に示したのは、NHKが5年に一度行っている、国民生活時間調査の最も新しい、2015年調査の結果です。結果のポイントは、以下に示されていますが、これはNHKの報告サイトから引用したものです。これをみると、睡眠時間に男女差があるのがよくわかります。

男女ともに、最も睡眠時間が短いのは40代50代なのですが、その中でも最も短いのはこの調査では、50代の女性です。5年前は40代の女性だったので、5年前の調査のときに40代だった人たちが一部移行したという解釈もできるかもしれません。いずれにしても、この働き盛りの人達は、睡眠を多分「削って」仕事をしているように思います。

女性の方が睡眠が短いのは就床時刻(床につく時間)が遅いからのようです。この理由はハッキリとはわかりませんが、一つには生活のリズムとして男性の方が早く朝型になっていくということがあるようです。このデータは、以前日本大学医学部の内山真先生が出しておられました。これが、生物学的な男女差による要因か、それとも社会的な要因、つまり家庭内で寝る前におこなう仕事量が女性の方が大きいのかについては、更に調べる必要があるかと思います。日本においては、下記のサマリーにもあるように、家事を行う時間の男女差をみると女性の方が圧倒的に長く、更に女性の就労割合が増加していることを考えると、女性が睡眠時間を削って、家事と自分の仕事をしている様子が見ててくるようにも思います。家族の協力の中で、お母さんの睡眠時間を長くできるのであれば、協力していくことは大事なことですね。

また、これ以外の結果のポイントとしては、以下のものがあり、睡眠時間の減少が止まったというのは非常に良いニュースだと思います。
【2015年調査 結果のポイント】

  • 減少が止まった睡眠時間~一層進む『早起き』、そして『早寝』の増加~
  • テレビの視聴時間が高年層まで減少
  • 広がるビデオ・インターネットの利用
  • 続く長時間労働と働く時間の『早朝化』
  • 急速には縮まらない家事の男女差
  • 自由行動(レジャー活動・マスメディア接触など)の増加が止まり、必需行動(睡眠や食事など)が増加



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