2014年5月22日木曜日

フルニトラゼパムは米国では持ち込み禁止薬物

先日、滋賀医科大学睡眠学講座の宮崎総一郎先生とお話をしていて、フルニトラゼパムがアメリカでは持ち込み禁止薬物になっているということを教えていただきました。うかつにも、このことを知らなかったので、少し調べてみました。

フルニトラゼパムは、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。商品名は、ロヒプノール、サイレース、あるいはジェネリックはフルニトラゼパムという名前で発売されています。消失半減期は文献によっても様々なのですが、7-20時間と書かれているものが多くあります。『投与後12時間目までの半減期は約7時間』としているものもあります。いずれにしても非常に短いものではないので、翌日へのハングオーバーについては注意しながら使ったほうが良いと思います。一方で、抗不安作用なども併せ持っており、不安の強い患者さんには用いることも良いかもしれません。高齢者には、フラつきなどの副作用に気をつけて、使う必要がある薬剤です。

睡眠感は非常に良くなるので(気持ちよく眠れるようになる)、容易に精神的な依存が形成される印象があります。高齢になると睡眠の質は低下するので、それが普通の睡眠なのですが、フルニトラゼパムを飲んで、気持よく眠れるようになると、どうしてもそれを飲みたくなってしまうということです。長期間、少量のベンゾジアゼピン系睡眠薬を飲み続けること自体に大きな問題はないようにも思います。しかし、できればこのような薬物の投与は、最小限に抑えて、治療目標としてはそのような薬物を使わなくても眠りに対して不満がない状態にすることを目標にしたいと考えています。

さて、このフルニトラゼパムについてですが、商品名のロヒプノール(Rohypnol)として、アメリカ合衆国司法省のホームページにその解説が出ています。

Is Rohypnol illegal in the United States?

Yes, Rohypnol is illegal in the United States. Rohypnol is a Schedule IV substance under the Controlled Substances Act. Schedule IV drugs are considered to have a lower potential for abuse but still can lead to limited physical or psychological dependence. In addition, in 1997 the U. S. Sentencing Commission increased the penalties associated with the possession, trafficking, and distribution of Rohypnol to those of a Schedule I substance. (Schedule I substances include heroin, marijuana, and MDMA.)

上記を見ると、アメリカ合衆国ではフルニトラゼパムは規制物質で、スケジュール IV(濫用の危険性は低い物質)にカテゴリー分類されているようです。しかし、1997年よりこの薬物の所持や転売などについては、スケジュール Iに分類されるヘロイン、マリファナ、MDMAなどの麻薬関連物質と同じような罰則が適用されるようです。

私が臨床的に用いている中には、依存の度合いが激しく非常に問題であると感じている人は、殆ど居ませんが、上記のようなことには充分に注意して、海外に行く際にどうしても必要であれば、英語の診断書をお渡ししたり、他の薬物に変えて処方するなどの配慮も必要になってくる薬物だと強く認識いたしました。

受診は すなおクリニック (大宮駅東口徒歩3分)へ

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