2016年10月23日日曜日

習慣的運動は真の万能薬 (Exercise is the Real Polypill) Physiologyの論文

Physiologyという、生理学の国際学術誌に表記のような論文があります。この論文(リンク)は、心血管障害の治療薬として、Polypillと俗に呼ばれている合剤が非常に効果があるものだけど、実際には習慣的な運動が、これにまさるものだということを示しています。


論文の主な部分は、心血管系の障害に対する、習慣的運動の治療的効果について書かれています。

私も、うつ病の運動療法の文献を幾つも調べる中で、どうしても運動の身体疾患への治療予防的効果についての部分を何度も何度も繰り返し読むことになるので、生活習慣病についての専門的な知識もどうしても身についてしまう、(好ましい)結果になっています。

この論文の中には、非常にアトラクティブな図が挿入されています。転載していますが、身体運動が2つの効果を脳にもたらしているように書かれています。一つは左の図に示してある、BDNF⇒trkB CREB⇒Neuroplasticityというもの。もう一つは、右の図に示してあるFNDCS⇒Iriscin⇒?Neurogenesisというものです。

左の図には、?がついていないのでこれは確実にエビデンスが集積されているものであると考えて良いと思います。BDNFは脳由来神経栄養因子と呼ばれている物質で、その名前通り脳から分泌されて神経に栄養を与える物質です。栄養を与えることによって、神経の再生が促進されるものです。この働きによって、うつ病の回復が起こるとも考えられています。また、エビデンスにはやや乏しい面もありますが、認知症に対しても良い効果がある可能性があります。

習慣的な身体運動が心や体に及ぼす影響は計り知れないものがあります。古代から、人は体を動かして生きる糧を手にしてきました。しかし現代では、コンピューターの前に座って操作をすることで、生きる糧を得ることが可能になってきました。しかし、この変化による代償も大きなものであるように思います。そのために、生きるためにあえて体を動かすことが大事になってきたとも考えられます。

この背景にある様々な生物学的メカニズムにつて詳細について、この論文は、Free Paperですので、興味ある方は是非原文をご参照ください。

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