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2016年5月18日水曜日

第41回日本睡眠学会 シンポジウム 発達障害と睡眠障害



2016年7月7日8日の二日間、東京都新宿区の京王プラザホテルで、日本睡眠学会が開催されます。
http://www.c-linkage.co.jp/jssr41/

この学会で、私と中島先生(下記)がオーガナイザーとなって、発達障害と睡眠障害というシンポジウムを行います。

シンポジウムは、

私
中島亨先生 杏林大学
http://dr-guide.net/www/%E4%B8%AD%E5%B3%B6%E4%BA%A8/
神山潤先生 東京ベイ・浦安市川医療センター CEO
http://www.j-kohyama.jp/profile.cfm
本田秀夫先生 信州大学
http://www.shinshu-u.ac.jp/hp/bumon/kokoro/goaisatu.html

この4名で行います。

私自身は、成人の注意欠如多動性障害と日中の眠気についての話をする予定です。

この問題は、このブログでも何度も取り上げてきており、エントリーのヒット数もこれまで上位を維持してきています。また、ブログの記事を読んで来院される患者さんも大勢おられます。これまで睡眠障害専門外来では、睡眠に焦点をあてて診断治療を行ってきました。これは、いわば当たり前のことでは有りますが、しかし、その背景にある疾患に目を向けなければ、根本的な治療ができないのがこの、成人ADHDにみられる日中の眠気、だと思います。主訴が日中の眠気であるために、どうしても睡眠専門医は、無呼吸やナルコレプシー、午前中の眠気だと睡眠相遅延症候群となどに診断が傾いてしまって、その背景にある根本的な問題を見いだせない場合があるからです。

このシンポジウムが実り多いものになると良いと考えています。

2015年10月8日木曜日

注意欠如障害ADHD ADD にみられる日中の眠気 (5) 真性ナルコレプシーとのCo-morbidity 

以前にも同様の題名でエントリーをしましたが、その後もEDS(Excessive Daytime Sleepiness=
日中の過度の眠気)という主訴で来院される方の中に、ADHDの診断基準に当てはまる方が多く居ます。その中には、このブログを読んで見える方も居ます。勿論、日中の過度の眠気を主訴として来院される方の中には、ADHDの診断が可能な方もいればそうでない方も居ます。診断的には、いわゆる睡眠不足症候群や、睡眠時無呼吸症候群、ムズムズ脚症候群、ナルコレプシーなどの存在をきちんと確認しなくてはいけません。

この、睡眠とADHDの関係については、文献的な考察も行い、先日はヤンセンファーマ株式会社の講演会でもお話する機会を得ました。

さて、こういった患者さんの中には真性のナルコレプシー、つまり、日中の過度の眠気、睡眠発作、短時間睡眠ですっきりする、カタプレキシー(情動脱力発作=驚いたり、おかしいなど強い情動で力が抜ける)、入眠時幻覚、睡眠麻痺などの症状が揃っているナルコレプシーの方がいるということも少なからず経験しています。また、このような点については、論文も出されています。

例えばこちら。
http://www.journalsleep.org/ViewAbstract.aspx?pid=30124

しかし、この点については、まだ十分に自分自身も整理できていませんし、また文献的にもクリアにこの関係について説明するものはありません。今後、更に経験を重ねて、治療経過を見ながら、この関係については考えていきたいと思っていますが、現状の考えをまとめると以下のとおりです。

ナルコレプシーの病態は、オレキシン細胞の脱落ということが言われています。オレキシンの役割は何かというと、これは脳幹部(脳が脊髄に繋がるあたり)の、覚醒に関わる神経細胞に対してその活動を維持させるような働きをもっていることが知られています。ナルコレプシーの患者さんは、おきていることができないわけではありませんが、維持が難しく睡眠発作が出現してしまいます。

このような、脳幹部の覚醒に関わる神経核には、ノルアドレナリンやドパミンを産生する核も含まれます。これは、以前にも書いたようにADHDの病態に関わる神経伝達物質です。したがって、考えられる病態は、オレキシンが欠落していると、これらの細胞に対する持続的な活動の維持のための刺激がなくなり、ノルアドレナリンやドパミンの神経細胞の機能低下が起こり、その結果としてADHD様の症状が出現する可能性があるということです。

ADHD様の症状と書きましたが、そうすると、これはADHDではないということにもなりますが、もしこういった考え方が正しならば、ADHDではないが、ADHDに似ているということになります。しかしながら、ADHDそのものの原因も、均一な疾患であるのかどうかもよくわかっていない現在では、これは、ADHDとは別のものだとも言いがたいようにも思います。

ADHDの診断は、血液検査や脳波検査、MRI検査などによってなされるものではなく、病歴や現在の症状などによって、一定の診断基準を満たした場合になされます。このような中で、睡眠障害は除外診断には入っていませんので、ADHDの基準を満たせば診断は可能です。

私は、Co-mobidity(共存症=2つ以上の疾患が共存している)という捉え方を先ずはして、先にADHDの治療を行い、これによってナルコレプシーの症状がどこまで改善されるかという経過を診るようにしています。勿論、カタプレキシーなどの症状がひどければ、これを改善する薬物を先に投与することも有ります。

睡眠と発達障害の関連は、今後も更に研究の発展が見られる分野であると確信しています。

受診は すなおクリニック (大宮駅東口徒歩3分)へ

2014年12月18日木曜日

新しい睡眠薬 (6) ベルソムラ(スボレキサント) 若年者の日中の眠気

未だ、少数例の経験しかありませんが、日中の眠気について気づいた症例があったので、ごく簡単に報告したいと思います。いずれも若年者で、高校生から20代前半くらいの人たちです。あくまでも少数例なので一般化はできないと思いますが、朝だけでなく日中の眠気が強いので、服用を中止したというケースが有りました。

オレキシンの作用の度合いは勿論人によって違う可能性がありますが、年令によっても違うかもしれません。また、これらの症例に注意欠如多動性障害(ADHD)を疑われるものが入っていたので、もともとノルアドレナリン系の作用が弱めであるところに、ノルアドレナリンの促進因子であるオレキシンをブロックしてしまうと日中の眠気が一段と強くなるということも有るかもしれません。これは病態生理による作用の違いということになるかも知れません。

以前から思っていることですが、例えばメチルフェニデートはADHDの治療薬でもあり、ナルコレプシーという過眠症の治療薬でもあるので、これはたまたまそうであるのではなく、日中の眠気というキーワードで何らかのメカニズムが繋がる部分があるのではないかとも思います。つまりADHDは、睡眠について、病態を合わせて考えた方が良いかも知れないと言うことです。

いずれにしても、何度も言いますが、まだ少数例なので、確かなことは言えません。しかしこの点を頭に置きながら、常に慎重に患者さんへの説明を丁寧にしながら、用いていくべき薬物であると思います。