2014年12月18日木曜日

新しい睡眠薬 (6) ベルソムラ(スボレキサント) 若年者の日中の眠気

未だ、少数例の経験しかありませんが、日中の眠気について気づいた症例があったので、ごく簡単に報告したいと思います。いずれも若年者で、高校生から20代前半くらいの人たちです。あくまでも少数例なので一般化はできないと思いますが、朝だけでなく日中の眠気が強いので、服用を中止したというケースが有りました。

オレキシンの作用の度合いは勿論人によって違う可能性がありますが、年令によっても違うかもしれません。また、これらの症例に注意欠如多動性障害(ADHD)を疑われるものが入っていたので、もともとノルアドレナリン系の作用が弱めであるところに、ノルアドレナリンの促進因子であるオレキシンをブロックしてしまうと日中の眠気が一段と強くなるということも有るかもしれません。これは病態生理による作用の違いということになるかも知れません。

以前から思っていることですが、例えばメチルフェニデートはADHDの治療薬でもあり、ナルコレプシーという過眠症の治療薬でもあるので、これはたまたまそうであるのではなく、日中の眠気というキーワードで何らかのメカニズムが繋がる部分があるのではないかとも思います。つまりADHDは、睡眠について、病態を合わせて考えた方が良いかも知れないと言うことです。

いずれにしても、何度も言いますが、まだ少数例なので、確かなことは言えません。しかしこの点を頭に置きながら、常に慎重に患者さんへの説明を丁寧にしながら、用いていくべき薬物であると思います。

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