2014年6月6日金曜日

Kapur先生に学会でまた会う:精神科疾患と無呼吸

学会場を歩いていると、Sunaoと声をかけられました。誰かと思うと、4月に鎌倉をご案内したKapur先生でした。意気投合し、ひとしきり日本でのその後の話などをし、昼を一緒に食べようと言うことになりました。お昼に待ち合わせると、彼の医学部研修医時代の同級生も一緒に来て、一緒にご飯を食べることになりました。Kapur先生とは日本に見えたときのその後の話でもしようと思ったのですが、お友達も来たので、学会関連の話をする事になりました。

彼らは、呼吸器内科医なので、精神科のことは知りません。睡眠学会へは、睡眠時無呼吸症候群の発表を聞きに来て居ます。私は精神科医なので、精神疾患で睡眠時無呼吸症候群が多いことに話をふってみました。すると、その友達が興味深い話を聞かせてくれました。自分の患者さんで統合失調症の患者さんがいて、なぜその患者さんを診ることになったのか忘れましたが、無呼吸症候群が疑われたそうです。それで、検査をしたところ重度の睡眠時無呼吸症候群だったので、治療にCPAPをする事にしたそうです。しかし、主治医の精神科医はこれに理解がなく、必要無いのではないかという反応だったそうです。しかし重度だったので、必要だと説得してCPAP治療を始めたところ、精神症状も大幅に改善し、ある日母親もやってきて、本当にここのところ良くなった。ありがとうございましたと、御礼を言われたという事でした。こういう話を聞いても、国によらず、精神科医は、睡眠疾患の有無を頭において診療に臨む事の大切さを感じます。

この他にも、こうやってアメリカの呼吸器科の医者と話をしたりしていると、いろいろと雑多な情報を得ることができます。例えば、MediCareというアメリカの大きな医療保険会社の基準だと、CPAPの導入にはAHIは5以上あれば良いということは驚きでした。正確にはRDIで4%以上無呼吸で血中酸素濃度が下がった場合が一時間に5回以上ということですが、私はいぜんやった簡易検査ではRDI3%が9位だったので、アメリカではCPAP導入ケースになります。日本では、簡易型で40以上、通常の病院に宿泊してやるポリグラフ検査では20以上が基準です。

いろいろな解釈ができますが、軽症例でもCPAPはやったほうが良いという考え方をとっているということ。それから、基準を低くすれば、それだけCPAP会社が儲かるということ。両方あるのだと思います。アメリカは、よくも悪くも自由経済の国ということが、医療を通じても思い知らされます。

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