DSMについていろいろ勉強してみようと思って、本を購入しています。アレン・フランセスの書いたDSM-5精神疾患診断のエッセンス(講談社)を手に入れて、ざっとみてみましたが、これはなかなか興味深い本です。DSM-5そのものの日本語訳が出る前にこの本が出たのも、かなり迅速に翻訳したためと思いますが、非常に興味深い読み物です。
形式は、まるでDSM-5のマニュアルそのもののような体裁です。多分、アレン・フランセスは自分自身で考える次のDSMを書きたかったのではないかとさえ思ってしまいます。勿論、そのためにはもっと違った診断分類(Nosology)ができあがるのでしょうが、もっと現実的にDSM5がより有効に使われるために書いた本であろうと思います。
このような疾患分類が、そのまま日本で有効かどうかは非常に重要な問題ですが、アレン・フランセス自身も日本語版への序で、興味深いことを書いています。
うつ病も、たとえば米国では悲しみや興味の喪失、絶望感や無力感を主訴として受診するのに対して、日本では頭痛や食欲減退、不眠などの身体症状を主訴として受診んするといった違いがあるのではないだろうか。日本では、Schizophreniaの訳語を精神分裂病から統合失調症に変えたが、こうしたことも精神疾患に対する視点の違いを反映している可能性がある。
このように考えると、DSM5は日本で診断基準として用いるためには、きちんとした科学的検証をしないといけないということになります。そのような検証をせずに、アメリカで作った診断基準をそのまま盲目的に用いることは、疑問が生じてきます。このような修正は、全く違ったものをつくり上げる結果になるのか、それとも微調整の範囲にとどまるのかはわかりません。しかし、盲目的にDSM5を使うことは避けたほうが良さそうです。
最近、様々なところでうつ病の身体症状について語られています。私自身もこのテーマに関連して何度かお話をしたことがありますが、このような症状がアラン・フランセスの言うように日本人で多いのであれば、これらも診断基準に加えた日本独自の診断基準があって良いということになります。また、そういった診断基準ができることで、日本における臨床はより質の高いものになるでしょう。米国で見てきたように、精神科の開業医のあり方は日本とアメリカで大きく違います。その違いも含めて、診断基準というものを考えるべきではないかというふうに思うようになってきました。
このアラン・フランセスの書いた本は、そういった意味でも日本とアメリカの精神医学の違いについて考える材料にはなりそうです。
形式は、まるでDSM-5のマニュアルそのもののような体裁です。多分、アレン・フランセスは自分自身で考える次のDSMを書きたかったのではないかとさえ思ってしまいます。勿論、そのためにはもっと違った診断分類(Nosology)ができあがるのでしょうが、もっと現実的にDSM5がより有効に使われるために書いた本であろうと思います。
このような疾患分類が、そのまま日本で有効かどうかは非常に重要な問題ですが、アレン・フランセス自身も日本語版への序で、興味深いことを書いています。
うつ病も、たとえば米国では悲しみや興味の喪失、絶望感や無力感を主訴として受診するのに対して、日本では頭痛や食欲減退、不眠などの身体症状を主訴として受診んするといった違いがあるのではないだろうか。日本では、Schizophreniaの訳語を精神分裂病から統合失調症に変えたが、こうしたことも精神疾患に対する視点の違いを反映している可能性がある。
このように考えると、DSM5は日本で診断基準として用いるためには、きちんとした科学的検証をしないといけないということになります。そのような検証をせずに、アメリカで作った診断基準をそのまま盲目的に用いることは、疑問が生じてきます。このような修正は、全く違ったものをつくり上げる結果になるのか、それとも微調整の範囲にとどまるのかはわかりません。しかし、盲目的にDSM5を使うことは避けたほうが良さそうです。
最近、様々なところでうつ病の身体症状について語られています。私自身もこのテーマに関連して何度かお話をしたことがありますが、このような症状がアラン・フランセスの言うように日本人で多いのであれば、これらも診断基準に加えた日本独自の診断基準があって良いということになります。また、そういった診断基準ができることで、日本における臨床はより質の高いものになるでしょう。米国で見てきたように、精神科の開業医のあり方は日本とアメリカで大きく違います。その違いも含めて、診断基準というものを考えるべきではないかというふうに思うようになってきました。
このアラン・フランセスの書いた本は、そういった意味でも日本とアメリカの精神医学の違いについて考える材料にはなりそうです。
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