2014年6月5日木曜日

日米の精神科開業の違い (1)

精神科の医療が、全体を見れば日米で大きく違うとも思えません。私は、1990年にカリフォルニアに留学している時から、機会があるごとにアメリカの精神科の医療を見せてもらってきました。私が最初働いていた、Martinezの退役軍人病院の病棟も(職場だったので)見せてもらいましたが、入院は大学病院やその他の総合病院精神科とそんなに変わらない気がしました。勿論、アメリカなのでスペースは広かったです。外来に関しては、総合病院での精神科診療でも、それぞれの医者が自分の個室の仕事部屋に患者さんを招き入れて診療をしているところが、日本と違いました。日本では、多くの総合病院は医者は医局と呼ばれるタコ部屋で机をあてがわれ、その上で文献を読んだり書物をしたりします。そして診察は、診察室が外来にあって、そこは交代で精神科であれば精神科医が使うことになります。

ワインで有名なナパ・バレーにある、ナパ州立精神病院も見学させてもらったことがあります。ここも、日本との違いといえば、広大な敷地にあって、敷地内に教会があったりするところが違うとは思いましたが、基本的な機能がそれほど違うとも思いませんでした。更には、地域のハーフウェイハウスや、ディサービスセンターなども見たことがありますが、その時は比較的低所得者層が使っているのだと思ったくらいでした。

しかし、Rosenlicht先生の言う、「プライベート・プラクティス(開業)」は、日本とは全然違いました。彼からは、最近までは自宅から比較的近いバークレイの街なかにオフィスを構えて週に一度そこで診療をしているという話を聞いていました。それで、私は日本の医療モールのようなものかなと思っていたわけです。しかし、街を走っていても、医療モールのようなものは見たことは、ありませんでした。それでも、あまり不思議とは思わずに居ました。

ところがカリフォルニア滞在中に、今まで使っていたオフィスだよと連れて行ってもらったところは、下の写真のようなところだったのです。




両方にFeinberg先生が写っていますが、概観は普通の家となんら変わりがありませんでした。この中には、玄関近くに待合室があり、奥に数個の部屋があって、その一つが下の写真です。小さな暖炉がある普通の居室です。また、処置室などもありませんでした。それぞれの部屋も、この建物では数人の心理士や作業療法士がそれぞれここで開業をしているということでした。施設によっては、ほとんど全員が医者の施設もあるということでした。

Rosenlicht先生は、ここをずっと借りていて、週に1度だけ診療をしていたわけです。今週からは、自宅の半地下部分(あるいは、1階部分と言っても良いかもしれませんが)を改造して、やはり週1度の開業の場をそこに移すことにしたわけです。自宅と開業の場を同じにする精神科医は少ないとは思いますが、日本にも居ないわけではありません。アメリカは比較的多いということでした。この部屋も見せて貰いましたが、やはり同じような部屋でした。

そこで、いろいろと疑問が沸いてきたので質問してみました。例えば、「ローゼンリクトクリニック」というような看板はつけないのかとかです。あるいは、インターネットに宣伝は載せないのかとか、あるいは、そもそも患者さんはどうやって、この医院を見つけてやってくるのかなどです。これらに対する答えは大変興味深いものでした。(つづく)

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