2014年4月21日月曜日

うつ病を治療すると長生きする

うつ病の患者さんは、薬物を投与するし始める時に、薬の副作用を心配されます。これは、当然のことで、治療者は患者さんが安心して治療を受けられるように、副作用についても十分な説明をしなければなりません。また、患者さんは薬を早めにやめたいと思いがちですが、そうすると再発の危険もあります。また、できれば薬を飲まずに治したいと思うことも多くあると思います。しかし、抗うつ薬は効き目が非常にありますし、早く回復することは間違いないと思います。また、回復したあとに、当分の間少量の服用をすることで、再発が防げるということもあります。

このようなうつ病の治療は、うつ状態を改善するということだけではなく、結果として寿命をのばすことも明らかになっています。Whooleyら(2008)の論文では、うつ病の患者さんは、心疾患で亡くなる可能性が高くなる可能性を指定しています。これは、うつ状態が長引くと、運動をしなくなり、喫煙率も上がるのでこれがひとつの原因ではないかと述べています。

2012年に発表されたZivinらの論文は、アメリカの退役軍人病院の統計資料を調べ、亡くなった年齢が、うつ病の診断のある人とない人でどのくらい違うのかを調べています。その結果、うつ病のある人の平均死亡年齢が71.0歳であるのに対して、ない人では75.9歳で、4.9歳の違いがあります。

この著者は、うつ病で平均寿命が短縮する理由は、この疾患が、毎日の活動を低下させ、健康的なライフスタイルを送るための生活管理がしにくくなるのが大きな理由ではないかと述べています。そう考えると、寛解状態をきちんと維持しながら、良い生活を続けていくことは、うつ病の患者さんにとって非常に重要であるといえると思います。

我々の実際の臨床では、うつ病の患者さんにも運動療法を進めていますが、うつ病の治療をし、かつ運動や食事を含めた生活指導をすることで、結果的に患者さんが健康に長生きできるということもあるのだと思います。

うつ病での寛解の維持と、生活指導の重要性を考えさせる論文でした。
 
Early Mortality and Years of Potential Life Lost Among Veterans Affairs Patients With Depression

http://www.research.va.gov/news/features/depression.cfm



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