2014年4月22日火曜日

自殺数と経済の関係

先日4月19日の日本経済新聞のコラムに、自殺と経済の関連について紹介されています。経験則でみる ふしぎ経済学(宅森昭吉)というコラムにか書かれている記事です。

自殺者数は、1998年から急に増加し、3万人を超えるところで推移していましたが、2012年からは3万人を下回っており、ここのところ減少傾向です。自殺者の減少については、精神科医や地方自治体が自殺予防の運動をしており、これが功を奏したと思っていましたが、このコラムでは、経済が好転したのがその主な原因だと言っています。

色々と資料をみてみると、経済的な困窮での自殺者の数が一番減少しており、経済が好転したために自殺者が減ったと、内閣府も考えているようです。

こう考えると、精神医学的なキャンペーンをしたり、臨床の場で注意をしていくよりも、経済を好転させるほうが、自殺者減少には効果があるということになります。そして、このコラムを読んだり、これをきっかけに、資料をみてみると、本当にそうなのかもしれないなとも考えてしまいます。

一方で、臨床の場では、精神科医が最も注意しなければならない事柄であることは変わりません。精神疾患は、脳炎などのように、それを見逃すと命が失われてしまう疾患はありますが、臨床のケースの中ではむしろ少数で、疾患によって患者さんが亡くなるとすれば、自殺が最も多いのではないかと思います。したがって、少なくとも個別の臨床では、患者さんの状態に注意しながら、慎重に診療をしていくことの重要性はやはり変わらないのであろうと思います。

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