大学の講義でも、睡眠薬という項目を設けて睡眠薬の話をしています。睡眠薬については、多くの学生が「怖い薬」というイメージを持っているようです。これは、一般のイメージとしても正しいのだと思います。患者さんたちも、最初は睡眠薬は飲みたくないという人も多くおられます。
そこで、講義では睡眠薬の開発の歴史に沿って、ハーブなどの睡眠を促進する薬草についてから話します。それから、バルビツール酸系睡眠薬について、そしてベンゾジアゼピン系睡眠薬(あるいは、ノンベンゾジアゼピン系睡眠薬を含めて、ベンゾジアゼピン受容体作動薬とする)について述べます。ここで、治療量と致死量の関係について話しますが、バルビツール酸系睡眠薬が治療に使われる量と致死量が近いことから、実際に注意すべき薬物であることも話します。それに比べると、ベンゾジアゼピンは、そのものが神経に作用するのではなく、すでに生体内にあるGABAの働きを促進させるという点で、生体内にあるGABAの量の範囲でしか効かないということから、安全性が高いということを話しています。
そして、最後に新しい睡眠薬についても説明します。新しい睡眠薬の一つは、メラトニン受容体作動薬であるラメルテオンです。これは、メラトニンと同じ働きをする人工的物質とでも言える薬です。もう一つは、この夏に発売される予定と聞いているスボレキサントという、オレキシン受容体の拮抗薬です。こちらはまだ発売されていませんので、使ったこともありません。
しかし、このような薬はこれまでのベンゾジアゼピン系睡眠薬とは全く違う機序で作用するので、期待が持たれています。またこれらについて、解説したいと思います。
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