2014年4月17日木曜日

認知行動療法を行った反復性うつ病の再発についての6年間の経過

論文の解説

Six-Year Outcome of Cognitive Behavior Therapy for Prevention of Recurrent Depression
Giovanni A. Fava, M.D.; Chiara Ruini, Ph.D.; Chiara Rafanelli, M.D., Ph.D.; Livio Finos, Ph.D.; Sandra Conti, M.D.; Silvana Grandi, M.D.
Am J Psychiatry 2004;161:1872-1876. doi:10.1176/appi.ajp.161.10.1872

この論文は、「認知行動療法を行った反復性うつ病の再発についての6年間の経過」について述べた論文です。うつ病の患者さんは、普段の生活の中でも、自分自身を否定的に捉えたり、自分に対してよりストレスを掛けたりする行動を取りやすい傾向があります。このような傾向は、メランコリー親和型とも共通するものですが、このような行動パタンを修正するのが、認知行動療法の目的です。

この研究では、40名のうつ病の患者さんを、通常の医療の中での治療と、認知行動療法を行うという2群に分けて、双方に薬物療法は行い、寛解状態に至ったところで、薬物を減量していき、最終的には服薬をしない状態にしたあとで、その後の再発率がどのように違うかを6年間にわたってフォローした研究です。

結果は下記のグラフです。


グラフの最初のところを1.0として、良い状態を保っている人の割合を、横軸の72ヶ月=6年間にわたって示してあります。青の、認知行動療法を行ったグループにくらべて、赤の通常の医療だけのグループは、6年間の経過の中で良い状態を保っている人が、1割程度にまで減少してしまうことが示されています。

認知行動療法は、我々は通常の診療の中でも多く行うようにしています。患者さんが見えた時には、なるべく日常生活で困難と思われる事象や人間関係の問題、物事の捉え方などについて伺って、それについて、考え方の修正をしたり、アドバイスをしたりいたします。このような認知行動療法的なアプローチは、この結果をみると、うつ病の患者さんが寛解して良い状態を保つのに非常に重要な役割をしていることが分かります。

このように考えると、薬物療法を中止したあとも、認知行動療法的なカウンセリングに通院することも意味があるように思われます。

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