2014年4月30日水曜日

アスリートの時差対策 (2)

アスリートの時差対策について、概要を(1)に書きましたが、実際に時差対策を行う場合には、これから行く行き先が、東の方向なのか、西の方向なのかによって違ってきます。東の方向とすれば、アメリカ西海岸、西の方向とすればヨーロッパが代表的です。ちなみに、オーストラリアなど時差が2-3時間程度のところでは、旅の疲れはありますが時差による障害(ジェットラグ症候群)はおきないので、この対策は全く必要ありません。

東向きに飛行の場合に出発地と目的地を比較すると、目的地はいつも早めに時間が訪れるようになっています。アメリカ西海岸のサンフランシスコであれば、サンフランシスコに日の出が見えるその8時間後に東京で日の出が見えるというような具合です。ですので、逆にサンフランシスコで通常寝る時刻の午後11時は、東京では午後3時です。したがってその時間に東京で合わせるとすれば、相当早寝になってしまいます。我々が行った実験では、通常の昼間の明かりの中で生活をしている場合でも、4-5時間程度であれば、体のリズムをずらすことができることが分かりました。しかし、サンフランシスコとの時差の8時間までずらすことは難しいので、無理の無い範囲で3時間程度リズムをずらすのが妥当だと思われます。

この場合に、睡眠時間帯をずらす方向は早寝早起きです。極端に8時間早寝早起きにすれば、つまり3時に寝て午後10時に起きるような生活にすれば、ぴったりサンフランシスコの時間帯に合うわけですが、これでは社会生活もできませんし、アスリートはトレーニングも出来ません。そう考えると可能な範囲は、せいぜい3時間位、つまり、8時に寝て午前3時に起きるような生活だと思います。一方で、西向き飛行の場合は、逆に3時間程度夜更かし朝寝坊にします。夜中の2時ころまで起きていて、9時ころまで朝寝坊をします。

アスリートはトレーニング時間を早めたり遅らせたりすれば、このような生活は比較的できます。以前に、女子サッカーワールドカップの際に、なでしこジャパンのフィジカルトレーナーの広瀬統一氏(早稲田大学の同僚でもあります)から質問を受けてアドバイスしましたときも3時間程度でやってみました。この時の経験では、選手の生活をこの様にすることはできるのですが、本当は食事の時間などもずらしたほうが良いわけです。しかし、合宿中にそのようにすると、食事をつくる近所のパートの人達の帰宅時間が遅くなったりして、なかなか難しい状況もあったと聞きました。

このような時差対策は、せいぜい3時間程度ですが、8時間の時差のあるところに行く場合に、3時間の時差対策をすると、実質5時間の時差を克服すれば良いことになります。これは、8時間に比べれば相当適応しやすいと思います。人によっては、ほぼ解消されたと思うこともあるかもしれません。

(3)では、このような時差対策を促進する方法と、実際のスケジュールについて解説します。

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