2015年5月29日金曜日

小児頭部外傷後の頭痛(新しい考え方) New Insights on Post-Traumatic Headache (Neurology Times)

Neurology Timesに上記の記事が出ていましたので、読んでみました。今年の、米国神経学会で脳振盪とその後の頭痛についての新しい知見が報告され、これが非常に興味深いものでしたので紹介したいと思います。

スポーツ外傷でおこる脳震盪は非常に多く見られるものです。しかしながら、これまでに脳振盪後に見られる頭痛などの症状がどのような経過をとるのかについての詳細な研究は無かったようです。

今回発表された、Karen Barlowの研究は670名の小児の脳震盪患者を対象としたものです。これらの患者全てを毎月、症状が消失するまで経過を追っていきました。この対象のうち、11%に受傷後2週間の時点で頭痛が認められました。また、7.8%では3ヶ月時点でも頭痛が認められました。12ヶ月の時点でも脳振盪後の何らかの症状を呈している患者全てで頭痛が認められました。脳震盪後の頭痛を認めた患者の54%は、偏頭痛の診断基準にも当てはまりました。薬物の過投与による頭痛や筋緊張性頭痛は認められなかったということです。脳震盪後の頭痛が認められた患者のうち、44%から61%には毎日頭痛が認められたということでした。

これらの頭痛への治療としては、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、フルナリジン、トピラマート、メラトニンなどが用いられていました。64%の頭痛を呈した子供がアミトリプチリン、フルナリジン、メラトニンに反応しています。アミトリプチリン(トリプタノール)は、抗うつ薬ですが、偏頭痛の治療にも用いられます。フルナリジン(フルナール)は、小児の偏頭痛の治療にも用いられる薬です。メラトニンは、日本では発売されていませんが、脳の松果体から分泌されるホルモンで、個人輸入が可能です。

この論文で非常に興味深かったのは、偏頭痛との関連です。患者自身のあるいは家族に偏頭痛の既往が82%の脳震盪後頭痛の患者に認められたということでした。偏頭痛に関連した体質が脳震盪後の頭痛と関連あるという興味深い結果です。

この結果は、偏頭痛の既往の問診などを含めて、脳震盪後の頭痛患者の治療を初期のうちから積極的に介入していくということが重要であることを示しています。これらは、これまでの脳震盪後の段階的な復帰と合わせて、行われるべき重要な知見であるように思います。

REFERENCES

1. Seifert TD. Sports concussion and associated post-traumatic headache. Headache. 2013;53:726-736.
2. Kuczynski A, Crawford S, Bodell L, et al. Characteristics of post-traumatic headaches in children following mild traumatic brain injury and their response to treatment: a prospective cohort. Dev Med Child Neurol. 2013;55:636-641.
- See more at: http://www.neurologytimes.com/aan-2015/new-insights-post-traumatic-headache?cid=em.nt.51415E&GUID=9758E1A8-E1C5-451C-8CC8-4BBA58554638&rememberme=1&ts=14052015#sthash.hZm3NWiO.dpuf

2015年5月27日水曜日

境界性パーソナリティ障害について

以前にも紹介しました、Depression Strategyの境界性パーソナリティ障害の特集号をMeiji Seikaファルマの方からいただきました。この小冊子は、先端医学社から発刊されているものです。以前紹介したうつ病の記事と同様に、今回も内容の深いものでした。

今回は、帝京大学の林直樹先生が境界性パーソナリティ障害のOverviewを書いています。林先生は現在帝京大学におられるようですが、私は東京都精神医学総合研究所に居た頃に、同じ研究員として同じ施設で仕事をしたことがあります。林先生は、パーソナリティ障害についてよく考えておられて、本も書いておられます。私も林先生の図に掲げた「パーソナリティ障害」という著書はよく参考にさせて頂いています。


このDepression StrategyのOverviewには、境界性パーソナリティ障害の概念が簡潔にまとめられているのですが、この疾患の名前は、統合失調症に近縁だけれどもそこまで確定的に考えきれないケースを示すところから来ていると説明されています。私が精神科に入局した頃、この概念も盛んに議論されていしたが、私自身の理解では、精神病と神経症の境界にあると考えていました。実際、そう書いている著書もあります。一方、この一群の病態を呈する患者さんがが単一の疾患に属するのかというような『疾病論的位置づけ』については、未だに確定的な結論には至っていないようです。

境界例の患者さんは、下記の診断基準にもあるように不安定さの継続が特徴なのですが、林先生の著書などで学んだことは、治療的にアプローチされた患者さんの多くが、改善しているということです。ただ、同時に自殺率が高いのも特徴で、この点については注意が必要だということ指摘されておられます。

個人的には、根気強い支持的な精神療法が大切だと思います。しかし、一方で、治療の枠組み(診療時間の中だけ)で治療するのが時に困難になる場合もあり、入院施設の有る大きな治療施設が適しているケースも多く有るように思います。

生物学的背景もあるということですが、私はそれだけでなく養育環境などの環境因が大きいとも思います。ただ、同じ環境だったとしても社会的に安定した生活を送れる人もいることを考えると、他の精神疾患と同様に、境界性パーソナリティ障害も素因と環境因の双方が関連しているのでしょう。

薬物療法も有効だと思いますが、治療者が患者さんと注意深く距離を保ちながら継続的に治療ができる様配慮することも、もう一つの非常に重要なポイントだと思います。治療には、高い技量と忍耐のいる疾患だと思います。

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 【境界性パーソナリティ障害の診断基準】
 対人関係、自己像、情動などの不安定性および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる、以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
 
(1)現実に、または想像の中で、見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力(注:(5)は含めないこと)
(2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係の様式
(3)同一性の混乱:著明で持続的に不安定な自己像または自己意識
(4)自己を傷つける可能性のある衝動で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀運転、過食。注:(5)は含めないこと)
(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し
(6)顕著な気分反応性による感情の不安定性(通常は2-3時間持続し、2-3日以上持続することはまれな、挿話的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、不安)
(7)慢性的な空虚感
(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難
(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離症状

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2015年5月25日月曜日

エアウィーヴ: 寝返り研究の思い出

この5月24日の朝日新聞の第6面に、エアウィーヴ代表取締役会長の高岡本州(たかおかもとくに)さんの記事が出ていました。その中に、私の研究室との共同研究についても取り上げていただきました。この記事に書かれているように、私のところに初めてエアウィーヴの方が見えたのは確か2008年だったと思います。エアウィーヴの担当者は非常に熱心で、エアウィーヴを購入してくれた人の反応は非常に良いのだけれども、何が良いのかということを科学的根拠をもって示したいのだという、その頃社長だった高岡さんの希望を伝えられました。また担当者の方々も非常によく勉強してきており、私の書いた「好きになる睡眠医学」を本当に熟読して、エアウィーヴで睡眠をとると、深いノンレム睡眠である徐波睡眠が増加するのではないかという仮説まで持って、そのための実験をどうしたら良いのかという具体的な案を出されました。

企業からの話は、多くの場合は売れる結果を出してくれという意図が強すぎて、研究結果も都合が悪ければ出さないというものもありますが、エアウィーヴは非常に真摯な姿勢で良い印象を受けました。実際に、寝具を変えることで、初日からその日の睡眠の質が著しく異なるということは難しいと思います。特に大学生などを研究の対象とすると、若者はどのみちよく眠るので良い寝具でもソファーの上でも爆睡してしまい、差がないという結果になりがちです。

そこで我々は、この寝具の特徴が何かということを抽出できるような研究が何なのかという事を時間をかけて議論をいたしました。2009年のことです。その結果、「寝返りのしやすさ」というものを、客観的測定値を用いて示すという研究をするという結論に達しました。エアウィーヴと比較対象として、低反発ウレタンマットレスを用いました。また、更に全く沈み込まない硬いタイルの床に毛布を敷いた場所のデータも測定しました。その結果が、エアウィーヴのホームページ(←リンクあり)に出ているものです。このリンクの先にあるデータは、このような様々な試行錯誤の結果に出てきたものです。測定に用いる筋電図の位置などについては、その頃私の研究室の助教だった、運動生理学の専門家である現立命館大学准教授後藤一成先生や、助手であった現上武大学の関口浩文准教授などのアドバイスも受けました。
左側の赤い下線の部分に私との共同研究についても言及されています

このような結果のなかで、更に科学的データの蓄積をエアウィーヴが行っている様子は、私も非常に好感をもって見守っています。

最近、高岡さんから紹介されて拝見した「ガイアの夜明け」というテレビ番組では、米国のIMGでの研究が紹介されていましたが、これには世界的な睡眠学者であるスタンフォード大学の西野精治教授が関わっています。西野教授は、私がまだアメリカに留学する前にスタンフォード大学を訪れた時に、まだ米国に渡ったばっかりの西野先生とお会いしてからの交流がありますので、もう25年余りになります。寝具の評価は、一日だけの睡眠の変化でなく、長期間毎日使った場合にどのような変化が出るのかということが一番重要だと考えられますので、IMGにマットレスを導入し、そこでマットレスを使用した選手のパフォーマンスを丁寧に測定する研究手法は、2008年にエアウィーヴの方が我々を訪れた時に、私も寝具の評価として行うべき実験パラダイムと考えたものです。時を経て、しっかりと研究に対する姿勢を崩さないエアウィーヴの熱意は素晴らしいと思います。

先日競合会社の社員が、寝返りは20回程度するのが良いということをテレビで話しているのを聞いて、一体何を根拠にそのようなことが言えるのかと少し腹立たしく思いました。しっかりした科学的根拠に基づいたデータというのは長い年月の中での試行錯誤の結果出てくるものです。人の睡眠には非常に個人差があります。その個人差の中で、最大公約数としての快適な寝具を作るという作業は、長い年月の中での絶えまぬ努力の成果なのです。

高岡本州さんともこの中でいろいろな交流がありました。高岡本州のご実家はもともと日本高圧電気という高圧線の部品を作っている会社でした。高圧線の部品は、定期的に交換が必要ですし、必要な会社に部品を納入するルートができれば、そんなに競合会社が出てくるわけではないので、安定した経営ができます。しかし高岡さんは、お父様が作った会社を継ぐだけでは気がすまなかったのだと思います。もともとノーベル賞研究者を多く排出している名古屋大学の工学部で勉強された理系の方なのですが、経営でも自分自身のアイデンティティを得たいという強い気持ちがあったのだと思います。父親が築いたものだけでなく、自分自身の築いたものを世に出したいという気持ちが、まさにこのエアウィーヴの経営に生きていると思います。このような高岡さんの経営に対する姿勢は、私自身も、業種は違いますが、生き方として多く学ばせていただきました。

このようなことで、私自身は、これからもエアウィーヴを応援していきたいと思っているわけです。

受診は すなおクリニック (大宮駅東口徒歩3分)へ
当院は、エアウィーヴを採用しています。

2015年5月22日金曜日

知っていますか? 五月病とうつ病の違い (日経記事)

先日、日経の記事に表題のようなものがありました。結論から言うと、良い記事だなと思いました。第一印象では、五月病とうつ病の違いというのを読んで、それはいろいろ違うだろうなと思ったのですが、どういうことを書いてあるのかについて、興味がそそられました。

五月病と呼ばれるものは、4月に新しく学校に行き始めたり、仕事を始めたところ、5月ころに元気がなくなり無気力になってくるというのが大雑把な経過だと思います。このような状態の多くは、この記事にも書かれているように「適応障害」と呼ばれているものです。適応障害の診断は、大まかには


  • 明らかなストレス因子があり、それが生じた3カ月以内に症状が出現している
  • 症状が通常予測されるよりも強い苦痛を与え社会的・職業的機能に障害を与えている
  • 他の精神疾患の診断基準を満たしていない、そしてすでに存在している精神疾患の単なる悪化ではない
  • 死別反応ではない
  • 因子が消失した6カ月以内に症状が改善される

日経記事の写真(リンクしたものです)
というようなものです。4月に学校や新しい職場に入り、三ヶ月以内に症状が出現し、本人が苦痛に感じて、社会的機能や職業的機能に問題が生ずるということですので、まさに五月病にはピッタリと当てはまります。しかし、少しだけ注意が必要なのは、症状としては必ずしもうつ状態が出てくるとは限らないということです。適応障害の診断基準の中には、うつ状態になることが必須ではありません。抑うつや不安は多い症状ですが、その他の症状でも適応障害の診断はできます。また、因子を消失させれば症状が改善されるということも大切です。

先日書いた、古茶先生の文章を読んで思うのは、ここで他の精神疾患の診断基準として、うつ病の診断基準を満たしていれば、適応障害とはならないということです。両方の診断名を併記することは、ここではありえません。しかし、このあたりの診断は意外と曖昧になっている可能性もあります。

それからら、五月病でもう一つ思うのは、それまで学生だった人が、4月から新入社員として就職した場合に、発達障害などの問題が表面化して非常にストレスを感じるようになるという場合です。このような場合は、単に適応障害とだけ診断して治療したのでは、根本的な解決にはなりません。むしろ、今後の人生についてどのように社会に適応していくのかということについて、時間をかけながら共同作業で探していくような治療が必要になると思います。


2015年5月20日水曜日

筋トレアプリ

ここの所、膝を痛めたりしているのであまりジギングができません。そこで、筋トレを少ししてみようと思っています。筋トレと言っても、自重をつかってやる程度のものですが、ただやるだけでは続きにくいので、アプリを探してみました。

SIT UPS WORKOUT
PUSH UPS WORKOUT
SQUAT WORKOUT

というシリーズの NorthPark.Android という会社のものをダウンロードして使っています。このシリーズには、PULL UPS WORKOUTというのもありますが、懸垂は家ではできないので、まずは上記の3つです。

この手のソフトは、持っているだけでは意味が無くて、筋トレをしなければ意味が無いのですが、やはり音を出してカウントしてくれる、終わると褒めてくれるなどというのが幾分のやる気と継続に繋がる感じがします。

調べてみると、Runtasticという会社のものも良さそうです。ただ、基本的には、自分がやるかどうかで、意志の強い人は、こんなソフトも必要ないと思います。

この年令になると、有酸素系の運動を効率的にやるためにも筋力トレーニングは一緒にやったほうが良いと思います。

膝が痛い理由は、多分学生とフットサルをした際に、張り切りすぎたということが有るのだと思いますが、継続のために、筋力をつけながら、若者のパワーには十分に気をつけて運動したほうが良い年齢ということも考えたほうが良さそうですね。

2015年5月18日月曜日

不眠があったら時計を見ない!

先日、眠れない時はどうしたらよいですか、という質問に答えて、長く眠れずに布団の中にいるのは良くないので、一旦起きる、その時には明るいところではなく、薄暗い空間でしばらくゆっくりするなどと話しながら、時計を見ること(Clock Watch)についての研究を思い出しました。

オリジナルがどれかはわかりませんが、下記のものは関連論文です。

 2012 Sep;200(9):821-5. doi: 10.1097/NMD.0b013e318266bba3.Nocturnal time monitoring behavior ("clock-watching") in patients presenting to a sleep medical center withinsomnia and posttraumatic stress symptoms.Krakow B1Krakow JUlibarri VAKrakow J.

眠れない時に、布団に長く居るのが良くないのと同様に、「ああ、もう2時になってしまった。」「ああ、もう3時だ。あれから1時間寝てないということかぁ…。」という具合に、時計を見ることが余計に眠れない状況を悪化させるということです。

時計は、目覚ましをかけたら、ベッドから遠いところ、見えないところにおいてしまうのが良さそうです。もちろん、不眠のない人の場合にはそういう必要は無いかもしれません。しかし、不眠の傾向がある場合には、夜中には時計で時刻を確認しないようにするということも安眠のコツになると思います。

2015年5月15日金曜日

映画:プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命

私は、J:COMというケーブルテレビを自宅に引いています。もっとも安いプランに入っているので、見られるものはほぼ通常のテレビ放送なのですが、Movie Plusという映画チャンネルもついてくるので、これを時々見ています。最近はテレビでのプログラムだけでなく、オンデマンドで見たいときに見られるようになったのがありがたいです。更に良いのは、スマートフォンやタブレットでも、Movie Plusは追加料金無しで見ることができます。したがって、旅行に行った時などはとても便利です。ホテルで時間が有るときに、携帯で映画をみることができるわけです。携帯電話も最近はとても性能が良いので、さほど苦ではありません。

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ
これで表題の映画を見ました。ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、レイ・リオッタという有名ドコロが出演しているという他に、非常に内容の深い映画でした。最初は、サーカスのオートバイ曲芸の話かと思ったのですが、ストーリは3部構成で、テーマは人生の負の記憶です。

犯罪者というのは、実際には本当にふとしたことで犯罪に巻き込まれるということが有るのではないかと思います。しかし、自分がやったことが不当だとわかっていても、それがうまく正当化されてしまったら、それで良かったと表面的には思うかもしれません。しかし、本当の心はそうではないかもしれない。それは、何十年たってもこころの中には残っていて、決して忘れることのない記憶として、ふと顔を持ち上げる。そして、これが現実のものとなり自分の前に立ちはだかり、これに頭を下げた時に、本当のやすらぎの時が訪れる。

そんな映画です。なかなかおすすめの映画でした。

2015年5月13日水曜日

滋賀医科大学での睡眠学の講義2015

この時期に、毎年滋賀医科大学の睡眠学講座で講義を行います。昨年も同様のエントリーが有りましたが、やはり母校での講義は良いものです。毎年、母校を訪れられるようにはからって頂いている、滋賀医科大学睡眠学教室の宮崎総一郎教授に感謝しています。

私は、滋賀医科大学の3期生なので、上には先輩は2年分しか居ませんでした。また、滋賀医科大学の創設当時は、まだ校舎ができていなくて守山市の看護学校で授業をやっていました。私の代からは、すべて現在の滋賀医大の校舎で講義を行うようになったわけです。私が入学した頃は、まだ病院は工事中だったと思います。


今回は昨日の夜、瀬田駅につき、駅前のホテルに滞在し、早起きして3-4kmある滋賀医科大学まで歩きました。天気の良い日だったので、気持ちの良いウォークでした。大学について、西門(写真)をはいり、学生時代のとおりに駐車場横をあるいて校舎に入りました。とても30年あまりの月日が経ったとは思えないほど、学生時代の感覚が蘇ってきます。

講義でも最初に学生にこの私が学生時代の話をしました。みんな興味深げに話を聞いてくれたのは嬉しく思いました。6年経ったあと、関東の実家に帰りましたが、学生時代の6年間過ごした土地はやはり何物にも代えがたい価値があると、また今年も実感しました。

2015年5月11日月曜日

金沢能登旅行:加賀屋~エアウィーヴ~七尾市~のどぐろ

ゴールデンウィークに金沢~能登に旅行をしました。この時、今年はちょっと贅沢をして、和倉温泉の加賀屋に一泊しました。加賀屋は、プロが選ぶ日本のホテル総合日本一を35年連続でとっている旅館ということで、期待していましたが、確かによい「おもてなし」と、そして美味しいお料理、でした。

能登半島は、北陸新幹線開通で相当混んでいると思っていましたが、確かに金沢市内はすごい人出でしたが、和倉温泉までくるとゴールデンウィークでもさほどでもありませんでした。しかし、さすがに加賀屋は満室でした。


加賀屋は、全室にエアウィーヴのマットレスが入っていることでも有名です。私は、エアウィーヴとはすでに10年近いおつきあいになります。最初に、エアウィーヴの製品の睡眠に対する効果を調べてほしいと、担当の方が見えたことを覚えています。睡眠については、自分で勉強して、ノンレム睡眠、レム睡眠など非常に睡眠の生理学についての知識を持っておられたのが印象的でした。いろいろと議論し寝具の特徴についての研究として寝返りに関連した研究をしようということになり、このデータを出したことをきっかけに、エアウィーヴの社長の高岡さん(現在はホールディングス会長)とも親しくさせて頂いています。我々の研究室で行ったデータもエアウィーヴのホームページに紹介されています。我が家も家族全員が、エアウィーヴを使っていますが、非常に寝心地が良いです。

さて、加賀屋の有る和倉温泉は七尾市にあります。七尾市は、私は、ナナオというコンピュータモニターの会社でよく知っていました。このあと、ナナオは、EIZO株式会社となって現在はEIZOというブランドで、コンピュータモニターを販売しているようです。現在は、石川県の白山市に本社があるようですね。

七尾市は、自然も豊かで、海の幸にも恵まれています。今回の旅行では、ホタルイカはもちろん楽しみましたが、何と言っても「のどぐろ」が絶品でした。お寿司でも、煮魚でも食べましたが、本当に油の乗った美味しいお魚です。のどぐろというのは、アカムツなんですね。

アカムツ のどぐろ


家族全員で宿泊し、のんびりと能登半島の温泉と食事を満喫したゴールデンウィークでした。

2015年5月8日金曜日

FOOT x BRAIN 5月9日出演 (その2) ドーハの悲劇

出演者の、福田正博選手のことは、もちろん私はレッズサポなのでよく知っていますが、都並さんについては、必ずしも十分に知識があるわけではないので、いろいろとネットを調べてみました。そうすると、非常に興味深いコラムがありました。
都並敏史が語るドーハの悲劇。「オフトは僕とだけ握手をしなかった」
というものです。ドーハの悲劇は、アメリカワールドカップに出場できる権利がもうすぐそこにあった、イラク戦でロスタイムに同点ゴールをイラクに決められ、ワールドカップが消え去ってしまった、あの語りぐさです。都並選手は、この時は怪我で代表で試合に参加ができなかったということのようです。このことを私はちゃんと理解していなかったのですが、このコラムを読むと、都並氏の悔やむ気持ちがひしひしと感じられます。

また、ドーハの悲劇についてもYouTubeで、試合最後のロスタイムに入れられる様子から、中継番組終了までの様子が見られますので、御覧ください。柱谷氏の悔し涙もグッと来ます。試合のフル中継もリンクしました。

この時代から20年。その頃、私は、アメリカから帰ってきて、子供が生まれて、Jリーグ各チームのマスコットのシールなどが配られていたことを思い出します。この20年で日本のサッカーも本当に大きく躍進しました。このように、システムを作り物事を進めるという実例は、自分の仕事にも役立ちます。10年20年先を見据えて積み上げていく。日本のサッカーにはそれがあるように思います。

明日、5月9日出演です!


2015年5月6日水曜日

FOOT x BRAIN (その1) 5月9日出演予定です。

再び告知ですが、テレビ東京の番組、FOOT x BRAIN に5月9日に出演することになりました。私は、あまりテレビを見ないので、この番組のことはよく知らなかったのですが、非常に面白い番組のです。土曜日の夜の放送にもかかわらず、その日のJ-リーグの結果などは一切取り上げず、ただひたすら、日本のサッカーが強くなるためにはどうすれば良いのかだけを取り上げています。

先日、ディレクターの守山龍之介さんという方が訪問されて、いろいろお話させていただいたのですが、本当に専門的な内容にも耳を傾けて、熱心に番組の内容を考えておられました。

番組収録では、サッカーと睡眠という話題について、お話しました。出演者は、レギュラーの勝村政信さんと、皆藤愛子さんのほか、都並敏史、福田正博(ともに元日本代表)のお二人が解説者として参加されました。

最近、スポーツと睡眠について取り上げられることが多くなったのは本当に嬉しい事です。番組がどのような形で放映されるかも非常に楽しみです。

2015年5月5日火曜日

FOOT x BRAIN (その0) 石井昌幸先生

実は私は、5月9日午後11時30分のテレビ東京FOOTxBRAINに出演します!よろしくお願い致します。

この番組はこういった意味で、サッカーを通じてではありますが、スポーツ科学を学べる良い番組であり、ぜひ多くの人に見ていただきたいと思います。

実は先日も私の同僚の石井昌幸先生が出演していました。彼から、出演するという話は聞いていたのですが、内容についてはあまり詳しい話はしていませんでした。FOOT x BRAINという番組は、土曜日の夜11時半という時間帯にもかかわらず、Jリーグの結果などは一切報道しない番組で、ただひたすら日本のサッカーを強くするためにどうしたら良いのかということを考える番組ということで、非常に興味がありました。私が石井先生の回を視聴しても、非常に良い番組だと思いました。勝村政信さんと皆藤愛子さんの視界で、バラエティー番組的な要素もあるのですが、石井先生はひたすらまじめにスタジアムについて論じていました。

早稲田大学スポーツ科学学術院の石井昌幸准教授は、スポーツ史の専門家です。スポーツ史の中でもブリティッシュスポーツの専門家で、毎年英国に滞在し、長い時間を英国の図書館で過ごしているようです。一年間、産業革命によってスポーツという活動にどのような社会的意義の変化が生まれたかなどという質問をすれば、彼は延々と語り始めます。私の大好きな先生の一人です。

今回の石井先生の話の中でも幾つか、興味深いポイントはあったのですが、一番私が印象に残ったのは、スタジアムが共通記憶の場になっている、という話でした。確かに、街全体の人がその街のチームを愛しているヨーロッパでは、スタジアムで起こった感動や悲しみがその土地の共通の記憶の場となってスタジアムに染み付いているのだと言ってもよいでしょう。




2015年5月1日金曜日

家で死ぬのが良い死に方 Dying Well Means Dying at Home (Psychiatric Times)

Psychiatric Timesに、タイトルのような記事が出ていました。病院の無味乾燥な空間で死ぬよりも、自宅で死ぬ選択をすることが幸せなことであり、これに備えることは人生にとって非常に大事なことであるという事が書かれていました。

最近は、高齢者の施設がたくさん出来ています。私の両親もディサービスに通っていますが、このような施設やプログラムは以前はありませんでした。したがって、以前はある程度以上高齢になると、自宅でこたつで昼もうとうと、夜もあまり寝付きが良くないというような生活になりがちで、また体力も落ちてしまうということもありました。もちろん昔でも人によっては、自主的に運動をし、良い生活をしている人も居ました。しかし、多くの人にとってディサービスは生活習慣のリズムをあたえ、人とのつながりを保つよいプログラムです。

一方、介護老人保健施設などもでき、家族の負担が減少しているということは良いことでも有ります。現実に起きていることを見れば、介護の疲れなどから高齢者に暴言を吐いたりするということが起きたりもしています。そういう意味では、施設に入所して毎日の生活に不安がなくなるんは良いかもしれません。

しかしそうは言っても、誰しも自宅で暮らし、その中で人生最後の時を迎えたいという気持ちはあるでしょう。記事の中には、自分がどのような選択をしたいのかを予め書き込むという書式の紹介などもあります。私は、二世帯住宅で高齢者の両親と一緒に住んでいますが、しかし、死ぬときにどうしたいのかを直接聞くということはやはり憚られます。そんな時に、意思の表示をしても良い人は、自主的に医師の表示をし、それを家族が確認できるというようなやや直接性を回避する意思確認システムがあると良いかもしれません。

この記事を読んで、アメリカ人も日本人も、自宅で死にたいということについては、さほど変わりはないのだなと思いました。高齢者と一緒に生活していると、いろいろと考えることも多くありますね。