2015年5月22日金曜日

知っていますか? 五月病とうつ病の違い (日経記事)

先日、日経の記事に表題のようなものがありました。結論から言うと、良い記事だなと思いました。第一印象では、五月病とうつ病の違いというのを読んで、それはいろいろ違うだろうなと思ったのですが、どういうことを書いてあるのかについて、興味がそそられました。

五月病と呼ばれるものは、4月に新しく学校に行き始めたり、仕事を始めたところ、5月ころに元気がなくなり無気力になってくるというのが大雑把な経過だと思います。このような状態の多くは、この記事にも書かれているように「適応障害」と呼ばれているものです。適応障害の診断は、大まかには


  • 明らかなストレス因子があり、それが生じた3カ月以内に症状が出現している
  • 症状が通常予測されるよりも強い苦痛を与え社会的・職業的機能に障害を与えている
  • 他の精神疾患の診断基準を満たしていない、そしてすでに存在している精神疾患の単なる悪化ではない
  • 死別反応ではない
  • 因子が消失した6カ月以内に症状が改善される

日経記事の写真(リンクしたものです)
というようなものです。4月に学校や新しい職場に入り、三ヶ月以内に症状が出現し、本人が苦痛に感じて、社会的機能や職業的機能に問題が生ずるということですので、まさに五月病にはピッタリと当てはまります。しかし、少しだけ注意が必要なのは、症状としては必ずしもうつ状態が出てくるとは限らないということです。適応障害の診断基準の中には、うつ状態になることが必須ではありません。抑うつや不安は多い症状ですが、その他の症状でも適応障害の診断はできます。また、因子を消失させれば症状が改善されるということも大切です。

先日書いた、古茶先生の文章を読んで思うのは、ここで他の精神疾患の診断基準として、うつ病の診断基準を満たしていれば、適応障害とはならないということです。両方の診断名を併記することは、ここではありえません。しかし、このあたりの診断は意外と曖昧になっている可能性もあります。

それからら、五月病でもう一つ思うのは、それまで学生だった人が、4月から新入社員として就職した場合に、発達障害などの問題が表面化して非常にストレスを感じるようになるという場合です。このような場合は、単に適応障害とだけ診断して治療したのでは、根本的な解決にはなりません。むしろ、今後の人生についてどのように社会に適応していくのかということについて、時間をかけながら共同作業で探していくような治療が必要になると思います。


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