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2015年5月29日金曜日

小児頭部外傷後の頭痛(新しい考え方) New Insights on Post-Traumatic Headache (Neurology Times)

Neurology Timesに上記の記事が出ていましたので、読んでみました。今年の、米国神経学会で脳振盪とその後の頭痛についての新しい知見が報告され、これが非常に興味深いものでしたので紹介したいと思います。

スポーツ外傷でおこる脳震盪は非常に多く見られるものです。しかしながら、これまでに脳振盪後に見られる頭痛などの症状がどのような経過をとるのかについての詳細な研究は無かったようです。

今回発表された、Karen Barlowの研究は670名の小児の脳震盪患者を対象としたものです。これらの患者全てを毎月、症状が消失するまで経過を追っていきました。この対象のうち、11%に受傷後2週間の時点で頭痛が認められました。また、7.8%では3ヶ月時点でも頭痛が認められました。12ヶ月の時点でも脳振盪後の何らかの症状を呈している患者全てで頭痛が認められました。脳震盪後の頭痛を認めた患者の54%は、偏頭痛の診断基準にも当てはまりました。薬物の過投与による頭痛や筋緊張性頭痛は認められなかったということです。脳震盪後の頭痛が認められた患者のうち、44%から61%には毎日頭痛が認められたということでした。

これらの頭痛への治療としては、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、フルナリジン、トピラマート、メラトニンなどが用いられていました。64%の頭痛を呈した子供がアミトリプチリン、フルナリジン、メラトニンに反応しています。アミトリプチリン(トリプタノール)は、抗うつ薬ですが、偏頭痛の治療にも用いられます。フルナリジン(フルナール)は、小児の偏頭痛の治療にも用いられる薬です。メラトニンは、日本では発売されていませんが、脳の松果体から分泌されるホルモンで、個人輸入が可能です。

この論文で非常に興味深かったのは、偏頭痛との関連です。患者自身のあるいは家族に偏頭痛の既往が82%の脳震盪後頭痛の患者に認められたということでした。偏頭痛に関連した体質が脳震盪後の頭痛と関連あるという興味深い結果です。

この結果は、偏頭痛の既往の問診などを含めて、脳震盪後の頭痛患者の治療を初期のうちから積極的に介入していくということが重要であることを示しています。これらは、これまでの脳震盪後の段階的な復帰と合わせて、行われるべき重要な知見であるように思います。

REFERENCES

1. Seifert TD. Sports concussion and associated post-traumatic headache. Headache. 2013;53:726-736.
2. Kuczynski A, Crawford S, Bodell L, et al. Characteristics of post-traumatic headaches in children following mild traumatic brain injury and their response to treatment: a prospective cohort. Dev Med Child Neurol. 2013;55:636-641.
- See more at: http://www.neurologytimes.com/aan-2015/new-insights-post-traumatic-headache?cid=em.nt.51415E&GUID=9758E1A8-E1C5-451C-8CC8-4BBA58554638&rememberme=1&ts=14052015#sthash.hZm3NWiO.dpuf

2015年2月23日月曜日

ADHDの流行は、まもなくおさまりそう Allan Francesのコメント (Neurology Times)

My Prediction: The ADHD Fad Is About to Fade
April 24, 2014     By Allen Frances, MD

時々、Psychiatric Times (Neurology Times) を読んでいますが、アメリカの精神科診療の知識が入り、また興味深い記事もたくさんあります。上記のは、アレン・フランセスのコメントで、ADHD(注意欠如多動性障害)の流行はまもなくおさまるだろうという、なんとも流行病のようなコメントで興味深く思いました。アレン・フランセスは、DSM-IVの編集者で、すでに引退していますが、精神科臨床に対しての様々な示唆に富むコメントをしています。Twitterでも多く発信し、@AllenFrancesMD 私も、フォローしています。

Allen FrancesのTwitterの画像

ADHDは、ストラテラ、コンサータという治療薬が発売され、成人にも治療的に使えるようになったために、製薬企業も精力的にキャンペーンをしています。こういった製薬企業のキャンペーンが、過剰な投与を生み出しているという指摘は、このADHDに限りません。私も、製薬企業の医師向けの講演をすることもありますが、こういうバイアスについては意識するように務めています。多分、アレン・フランセスは、もっと厳格にこれを実行しているのではないかと思います。尊敬できる人だと思います。

ADHDの診断はとても難しいと思います。ごく典型的な症例以外だと、ADHDと診断して良いかどうか迷う例は多くあります。一方で、診断のもとの投薬し、著しく生活が改善する人もいます。そういう意味では、常に頭においておくべき疾患であることは間違いありません。

いずれにしてもこのコメントには、精神科の歴史をみると、ある時期に急に診断が増え、そしてまた治まるということが繰り返されているとも指摘されています。確かにそのとおりだと思います。これには、功罪の両方があります。悪い点は、上記のように診断されすぎ、時に必要のない薬が使われることです。良い点は、その疾患に対する精神科医の理解が進むことです。

ストラテラ、コンサータの成人への使用がなされて、私の発達障害への理解は著しく進んだとも思います。かなりの文献も読みましたし、日中の眠気との関連についても、多く経験しました。これがなければ、多くの人が日中の仮眠をナルコレプシーと診断され、漫然とモディオダール(覚醒メカニズムを刺激する薬)を投与され続けていたのだと思います。

もちろん、誤診もあります。しかし多くの場合、誤診も患者さんに、ADHDの可能性もありその疾患の特徴はこのようなもので、自分でも自分に当てはまるかどうかを検討してほしいというような、相互の情報交換を多くする中で、明らかになってきます。薬物の投与開始についても、患者さんの意見を聞きながら決めていきます。治療の目的は、患者さんの生活を改善し、より幸せな人生を送れるようにすることです。そのための診断であって、診断が最終目的でもないのです。誤解を恐れずに言えば、誤診のままでも良くなる精神科の患者さんは多くいます。

アレン・フランセスの言うように、流行はおさまり、より適切な使われ方が浸透するように思います。彼は、エイブラハム・リンカーンの言葉を最後に引用しています。「ある時期すべての人をだますことはできる。また、一部の人をずっとだますこともできる。しかし、すべての人をずっとだますことはできない。」