2015年2月23日月曜日

ADHDの流行は、まもなくおさまりそう Allan Francesのコメント (Neurology Times)

My Prediction: The ADHD Fad Is About to Fade
April 24, 2014     By Allen Frances, MD

時々、Psychiatric Times (Neurology Times) を読んでいますが、アメリカの精神科診療の知識が入り、また興味深い記事もたくさんあります。上記のは、アレン・フランセスのコメントで、ADHD(注意欠如多動性障害)の流行はまもなくおさまるだろうという、なんとも流行病のようなコメントで興味深く思いました。アレン・フランセスは、DSM-IVの編集者で、すでに引退していますが、精神科臨床に対しての様々な示唆に富むコメントをしています。Twitterでも多く発信し、@AllenFrancesMD 私も、フォローしています。

Allen FrancesのTwitterの画像

ADHDは、ストラテラ、コンサータという治療薬が発売され、成人にも治療的に使えるようになったために、製薬企業も精力的にキャンペーンをしています。こういった製薬企業のキャンペーンが、過剰な投与を生み出しているという指摘は、このADHDに限りません。私も、製薬企業の医師向けの講演をすることもありますが、こういうバイアスについては意識するように務めています。多分、アレン・フランセスは、もっと厳格にこれを実行しているのではないかと思います。尊敬できる人だと思います。

ADHDの診断はとても難しいと思います。ごく典型的な症例以外だと、ADHDと診断して良いかどうか迷う例は多くあります。一方で、診断のもとの投薬し、著しく生活が改善する人もいます。そういう意味では、常に頭においておくべき疾患であることは間違いありません。

いずれにしてもこのコメントには、精神科の歴史をみると、ある時期に急に診断が増え、そしてまた治まるということが繰り返されているとも指摘されています。確かにそのとおりだと思います。これには、功罪の両方があります。悪い点は、上記のように診断されすぎ、時に必要のない薬が使われることです。良い点は、その疾患に対する精神科医の理解が進むことです。

ストラテラ、コンサータの成人への使用がなされて、私の発達障害への理解は著しく進んだとも思います。かなりの文献も読みましたし、日中の眠気との関連についても、多く経験しました。これがなければ、多くの人が日中の仮眠をナルコレプシーと診断され、漫然とモディオダール(覚醒メカニズムを刺激する薬)を投与され続けていたのだと思います。

もちろん、誤診もあります。しかし多くの場合、誤診も患者さんに、ADHDの可能性もありその疾患の特徴はこのようなもので、自分でも自分に当てはまるかどうかを検討してほしいというような、相互の情報交換を多くする中で、明らかになってきます。薬物の投与開始についても、患者さんの意見を聞きながら決めていきます。治療の目的は、患者さんの生活を改善し、より幸せな人生を送れるようにすることです。そのための診断であって、診断が最終目的でもないのです。誤解を恐れずに言えば、誤診のままでも良くなる精神科の患者さんは多くいます。

アレン・フランセスの言うように、流行はおさまり、より適切な使われ方が浸透するように思います。彼は、エイブラハム・リンカーンの言葉を最後に引用しています。「ある時期すべての人をだますことはできる。また、一部の人をずっとだますこともできる。しかし、すべての人をずっとだますことはできない。」

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