先日、フルボキサミンマレイン酸についてのコメントをアッヴィ社の方から求められました。フルボキサミンマレイン酸は、日本で初めて発売されたセロトニン再取り込み阻害剤です。現在は、Meiji Seikaファルマとアッヴィからそれぞれデプロメール、ルボックスという名称で発売されています。比較的副作用が少なく、副作用に対して過敏だと感じされる患者さんには、少量から少しずつ増量していく時には使いやすい薬物であるように思っています。また、社交不安障害にも適応があり、このような患者さんに対しても使える薬物です。
その話をしているうちに、この薬が日本で紹介される際の研究会で、クリスチャン・ギラン先生ご夫妻と過ごしたことを思い出しました。フルボキサミンマレイン酸を処方するときに、クリスチャン・ギラン先生のことが思い出されるというのは、興味深いものです。
クリスチャン・ギラン(Christian Gillin)先生は、アメリカの精神医学者で睡眠科学者です。私が、1990年から1992年にカリフォルニアに留学している際に、留学先のアーウィン・ファインバーグ先生とも親しかったことから、学会などでもお会いするようになり、親しくなりました。その頃、Neurospychopharamacologyという臨床精神薬理学の雑誌の編集長をしておられました。また、所属は、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部精神科でした。実際の仕事は、La Jollaというまさにビーチリゾートというような場所にある退役軍人病院の精神科で、臨床と研究をやっておられました。
http://ucsdnews.ucsd.edu/archive/newsrel/health/Gillin.htm
1992年に日本に帰ってきたあとも、いろいろな形で交流を持ったのですが、このフルボキサミンマレイン酸が日本に紹介される時の招待講演者として、箱根のカンファレンスに来られることになったのです。このカンファレンスはクローズドで行われたのですが、その頃東京医科歯科大学神経精神医学教室の教授だった融道男先生から一緒に行きましょうとご招待を受け、私も参加しました。その時に、ギラン先生からはメールをもらい、その後京都も観光で訪問したいのだが、旅館やどこを回ったらよいかなどのアドバイスをくれないかと書かれていました。デプロメールの発売は1999年なので、多分その年だったか前の年くらいだったのではないでしょうか。私は、旅館を探して紹介しました。その際に、旅館は、エアコンは効いているのか、トラディショナルな雰囲気は味わいたいけれども、エアコン無しでは厳しいからなどというやりとりをしたことを覚えています。
ギラン先生はとてもフレンドリーな人で、合うたびに楽しい思いをしました。時期をはっきり覚えていないのですが、カリフォルニア大学サンディエゴ校では、講演をさせていただいたこともあります。2000年にラスベガスでアメリカの睡眠学会があった時にも、ギラン先生にはお会いしました。その時に、私は5000mランに参加したのですが、ギラン先生に先生も参加しませんかなどとお話した覚えがあります。その時に、いやあ、という感じではっきりとした答えがなくて、少し元気が無いなと思いました。
その後、日本に帰って多分この年に、ギラン先生が食道がんにかかっていることがわかったのだと思います。その頃に、私の研究室にいた若い研究者をギラン先生の研究室に留学させたいと思っていたのですが、その話の時に食道がんのことをはっきり聞いて、もう留学生の研究員などは募集できないということを伺ったように思います。
その後は、上記の追悼サイトにも書いてありますが、ご家族ととても親密な日々を過ごされたようです。私の記憶違いかもしれませんが、スカイダイビングなどにも挑戦したと聞いた覚えもあります。上記の追悼サイトをみると2003年に亡くなっていますが、私は、ラスベガスでお会いしたのが最後でした。
会った人の心に残る、素晴らしい方です。フルボキサミンマレイン酸が、またギラン先生のことを思い出させてくれました。
その話をしているうちに、この薬が日本で紹介される際の研究会で、クリスチャン・ギラン先生ご夫妻と過ごしたことを思い出しました。フルボキサミンマレイン酸を処方するときに、クリスチャン・ギラン先生のことが思い出されるというのは、興味深いものです。
クリスチャン・ギラン(Christian Gillin)先生は、アメリカの精神医学者で睡眠科学者です。私が、1990年から1992年にカリフォルニアに留学している際に、留学先のアーウィン・ファインバーグ先生とも親しかったことから、学会などでもお会いするようになり、親しくなりました。その頃、Neurospychopharamacologyという臨床精神薬理学の雑誌の編集長をしておられました。また、所属は、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部精神科でした。実際の仕事は、La Jollaというまさにビーチリゾートというような場所にある退役軍人病院の精神科で、臨床と研究をやっておられました。
Christian Gillin先生 (UCSDの追悼サイトより) |
http://ucsdnews.ucsd.edu/archive/newsrel/health/Gillin.htm
1992年に日本に帰ってきたあとも、いろいろな形で交流を持ったのですが、このフルボキサミンマレイン酸が日本に紹介される時の招待講演者として、箱根のカンファレンスに来られることになったのです。このカンファレンスはクローズドで行われたのですが、その頃東京医科歯科大学神経精神医学教室の教授だった融道男先生から一緒に行きましょうとご招待を受け、私も参加しました。その時に、ギラン先生からはメールをもらい、その後京都も観光で訪問したいのだが、旅館やどこを回ったらよいかなどのアドバイスをくれないかと書かれていました。デプロメールの発売は1999年なので、多分その年だったか前の年くらいだったのではないでしょうか。私は、旅館を探して紹介しました。その際に、旅館は、エアコンは効いているのか、トラディショナルな雰囲気は味わいたいけれども、エアコン無しでは厳しいからなどというやりとりをしたことを覚えています。
ギラン先生はとてもフレンドリーな人で、合うたびに楽しい思いをしました。時期をはっきり覚えていないのですが、カリフォルニア大学サンディエゴ校では、講演をさせていただいたこともあります。2000年にラスベガスでアメリカの睡眠学会があった時にも、ギラン先生にはお会いしました。その時に、私は5000mランに参加したのですが、ギラン先生に先生も参加しませんかなどとお話した覚えがあります。その時に、いやあ、という感じではっきりとした答えがなくて、少し元気が無いなと思いました。
その後、日本に帰って多分この年に、ギラン先生が食道がんにかかっていることがわかったのだと思います。その頃に、私の研究室にいた若い研究者をギラン先生の研究室に留学させたいと思っていたのですが、その話の時に食道がんのことをはっきり聞いて、もう留学生の研究員などは募集できないということを伺ったように思います。
その後は、上記の追悼サイトにも書いてありますが、ご家族ととても親密な日々を過ごされたようです。私の記憶違いかもしれませんが、スカイダイビングなどにも挑戦したと聞いた覚えもあります。上記の追悼サイトをみると2003年に亡くなっていますが、私は、ラスベガスでお会いしたのが最後でした。
会った人の心に残る、素晴らしい方です。フルボキサミンマレイン酸が、またギラン先生のことを思い出させてくれました。
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