ラミクタール(ラモトリギン)は、グラクソ・スミスクライン社から発売されている抗てんかん薬です。新しい抗てんかん薬で、難治性のてんかんにも有効であると言われています。また、この薬は双極性障害の治療にも使われます(病相予防に効果がある)。
このようなラモトリギンですが、副作用として重篤な皮膚障害が出現する可能性があるため、先日「安全性速報」が配布されました。ラモトリギンの皮膚障害は、よく知られていることで、私自身もかなり慎重に投与するようにしていますが、問題になるケースが有るために、更に使用に注意を喚起させるために配布されたものと思います。
この機会に、ラモトリギンの作用機序と、副作用を最小限に抑えるための投与方法についてまとめてみました。
なお、なぜ皮膚障害が起きるかについては、明確な機序はわかっていないようです。これについては、グラクソ・スミスクライン社のホームページに解説が出ています。
http://lamictal.jp/bp/product_summary/qa_03.html
ラモトリギンの薬理作用
まず、薬理作用ですが、完全にはよくわかっていないようです。使用されている薬の作用がよくわかっていないというのは不思議なことですが、こういうことはよくあります。薬は、1.効果が確実にある。2.害になる副作用よりも効果が大いに優っている。この2つがあれば、使用できるということになるわけです。どうして効くかは、その後の研究で明らかになってくる場合もあります。したがって、使用しているうちに他の疾患にも効くことが見つかる薬は多くあります。
最近の話題では、緑内障の治療薬の副作用でまつげが伸びることが知られたので、これが主作用として保険外で使うことが可能になったことなどがあります。美容のためですね。
さて、ラモトリギンは、グルタミン酸の分泌を抑制する(遊離抑制)が主な作用なようです。この、グルタミン酸というのは代表的な興奮性神経伝達物質で、神経活動を興奮させ活動性を高める作用があります。てんかん発作というのは、脳のかなり広範囲の神経が、制御されずにどんどん興奮状態になってしまうために、運動系の神経細胞が活性化されて体が痙攣するというのが典型的な発作になるわけです。違って、ラモトリギンはこの活動を抑制するという意味で、理にかなった作用があります。
もう少し詳細なメカニズムとしては、ナトリウムイオンチャンネルと、部分的にはカルシウムイオンチャンネルの働きを阻害して、これらのイオンが細胞外から細胞内に流れこむのを防ぎます。こういう働きは、神経細胞の働きを抑制する働きになります。
細胞の内外のイオン濃度は、著しい差があります。下記は、イオン濃度の値を示した表ですが、細胞外には、ナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)が多くあるのがわかると思います。この覚え方は、もともと生物は太古の昔海の中で単細胞生物として発生した。この時は海の中は、食塩(NaCl)が多くあり(海水はしょっぱい)、そのような中で生物の仕組みが作られたので、細胞の外には食塩のイオンがたくさんある、つまりNa+とCl-が多くあるのだと学生には話しています。
さて、これらの濃度勾配があると、イオンチャンネルが開くと、イオンは濃度の高い方から低い方へどっと流れ込みます。したがって、ナトリウムイオンチャンネルが開くと、細胞内にプラスに帯電したナトリウムが流れ込み、そして細胞の膜電位はプラス方向に傾きます。その結果、神経細胞が興奮するわけです。ラモトリギンは、これを抑制する、つまり開かないようにするというのがその主な作用です。
ところで、同じてんかんの治療薬であるベンゾジアゼピンは、これとは逆に、塩素イオンチャンネルを開くようにします。そうすると、マイナスに帯電した塩素イオンが細胞内にどっと流れ込み、膜電位が下がって細胞の興奮性が低下します。ラモトリギンと基本的には、同じ方向への変化です。そして、どちらも抗てんかん薬としての働きがあるわけです。
このようなラモトリギンですが、副作用として重篤な皮膚障害が出現する可能性があるため、先日「安全性速報」が配布されました。ラモトリギンの皮膚障害は、よく知られていることで、私自身もかなり慎重に投与するようにしていますが、問題になるケースが有るために、更に使用に注意を喚起させるために配布されたものと思います。
この機会に、ラモトリギンの作用機序と、副作用を最小限に抑えるための投与方法についてまとめてみました。
なお、なぜ皮膚障害が起きるかについては、明確な機序はわかっていないようです。これについては、グラクソ・スミスクライン社のホームページに解説が出ています。
http://lamictal.jp/bp/product_summary/qa_03.html
ラモトリギンの薬理作用
まず、薬理作用ですが、完全にはよくわかっていないようです。使用されている薬の作用がよくわかっていないというのは不思議なことですが、こういうことはよくあります。薬は、1.効果が確実にある。2.害になる副作用よりも効果が大いに優っている。この2つがあれば、使用できるということになるわけです。どうして効くかは、その後の研究で明らかになってくる場合もあります。したがって、使用しているうちに他の疾患にも効くことが見つかる薬は多くあります。
最近の話題では、緑内障の治療薬の副作用でまつげが伸びることが知られたので、これが主作用として保険外で使うことが可能になったことなどがあります。美容のためですね。
さて、ラモトリギンは、グルタミン酸の分泌を抑制する(遊離抑制)が主な作用なようです。この、グルタミン酸というのは代表的な興奮性神経伝達物質で、神経活動を興奮させ活動性を高める作用があります。てんかん発作というのは、脳のかなり広範囲の神経が、制御されずにどんどん興奮状態になってしまうために、運動系の神経細胞が活性化されて体が痙攣するというのが典型的な発作になるわけです。違って、ラモトリギンはこの活動を抑制するという意味で、理にかなった作用があります。
もう少し詳細なメカニズムとしては、ナトリウムイオンチャンネルと、部分的にはカルシウムイオンチャンネルの働きを阻害して、これらのイオンが細胞外から細胞内に流れこむのを防ぎます。こういう働きは、神経細胞の働きを抑制する働きになります。
細胞の内外のイオン濃度は、著しい差があります。下記は、イオン濃度の値を示した表ですが、細胞外には、ナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)が多くあるのがわかると思います。この覚え方は、もともと生物は太古の昔海の中で単細胞生物として発生した。この時は海の中は、食塩(NaCl)が多くあり(海水はしょっぱい)、そのような中で生物の仕組みが作られたので、細胞の外には食塩のイオンがたくさんある、つまりNa+とCl-が多くあるのだと学生には話しています。
細胞内外のイオン濃度 |
これも、細胞内外のイオン濃度をまとめた表です。 面白いのは、この表を持ってきた先のURLはみんカラ(自家用車の趣味のサイト)だということです。 |
ところで、同じてんかんの治療薬であるベンゾジアゼピンは、これとは逆に、塩素イオンチャンネルを開くようにします。そうすると、マイナスに帯電した塩素イオンが細胞内にどっと流れ込み、膜電位が下がって細胞の興奮性が低下します。ラモトリギンと基本的には、同じ方向への変化です。そして、どちらも抗てんかん薬としての働きがあるわけです。
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