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2014年7月16日水曜日

第14回 日本外来精神医療学会 宇都宮 シンポジウム9 『外来精神科における睡眠医療』

7月13日日曜日に宇都宮の日本外来精神医療学会に行ってまいりました。今回の会長は、自治医科大学精神科の加藤敏先生です。今回は、シンポジウムの演者として呼んでいただき、総合睡眠ケアクリニック代々木の西田先生、久留米大学精神科医の内村先生と3人でシンポジウムを行いました。西田先生は、睡眠専門クリニックのお立場から、内村先生は大学病院のお立場からお話になりました。私は、現在行っている一般精神科外来での睡眠専門外来の特徴について話しました。

この講演の抄録を掲載します。加藤会長からは、ご著書をいただき、これは大変興味深いうつ病のレジリエンスに関連したものなので、また感想を書きたいと思っています。

帰りには、宇都宮餃子をたくさん買って帰りました。

<抄録>
一般精神科外来における睡眠医療

内田直(早稲田大学スポーツ科学学術院)
阿部哲夫(讃友会 あべクリニック(日暮里))

演者は、日本睡眠学会睡眠医療認定医として都内の精神科クリニックにおいて、一般精神科外来と同時に睡眠専門外来も行っている。ここでの経験についてまとめたい。

最初に、一般精神科外来における睡眠医療の工夫について述べる。一般精神科外来において睡眠医療を行う場合一番の障害となるのは、終夜睡眠ポリグラフ記録(PSG)の設備が無いことである。一般精神科外来においては、必ずしもPSGが必要なケースは多くはなく、設備投資に見合わない。演者の行っているクリニックでは、睡眠障害専門診療施設との連携により、この問題を解決している。すなわち、睡眠時無呼吸が疑われるケースについては、まずは簡易型PSGを自宅にて行い、この結果がCPAP適応になるレベルであれば、CPAPの導入を、施設における精密PSG検査が必要であれば、その後施設に紹介して検査を行う方法をとっている。また、ナルコレプシーなどの検査が必要な場合にも検査可能な施設との連携を行っている。検査により一旦診断がつけば、殆どのケースで一般精神科外来でのフォローアップが可能となる。

一般精神科外来において、睡眠専門外来を行う利点もある。これは、睡眠障害の多くが、背景に精神疾患をもっているからである。多くのうつ病などの患者さんが睡眠障害を主訴に来院する。一般精神科外来であればこういった患者さんの経験も豊富で、睡眠専門外来において睡眠障害だけでなく、精神疾患の治療も行うことができる。

また、この逆もある。うつ症状を主訴に来院された患者さんの中に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害を伴っているケースがある。うつ症状は典型的なうつ病と何ら変わりないため、多くの精神科クリニックではうつ病薬物療法や睡眠障害に対して睡眠薬投与を行ってしまう。しかしながら、簡易型PSGを行う設備を持っていれば、これに気づきSAS治療を導入する可能性が広がる。これにより、CPAPのみでうつ症状が寛解した症例も多くある。

最近多く見られるのは、成人のADHDにみられる昼間の眠気である。ある睡眠専門診療施設で、遅刻が多い、日中の眠気があるという症状から、睡眠相後退症候群と診断されたケースが来院したが、詳細に病歴を聴取するとADHDであった。小児のケースでも、日中の眠気が著しい症例を経験するが、睡眠障害だけにとらわれず一般精神科臨床の中で睡眠障害を取り扱う重要性を示唆しているものとも考えられた。

2014年5月13日火曜日

「あとはネルだけ!」になると、もったい無くて眠りたくない

どうも夜更かしになってしまう人が居ます。夜型か朝型かは、体内時計の固有の周期(体内時計の一日の長さ)が長ければ夜型、短ければ朝型になる傾向にあるということを前に書いたことがあると思います。しかし、臨床をみていると必ずしもそればかりではないようにも思っています。

患者さんの中には、あるいは、患者さんでなくても、夜寝る前になると、一日のいろいろなことは終わって、あとは自分の好きなことだけをやれば良いという時間になると、この時間が終わってしまうのがもったいないので、つい眠るのがもったいないと、眠りにつく時刻が遅くなってしまう人が居ます。じつは、私自身もそういうところがあるのです。私の妻はそうでなく、寝る時間になれば寝る、というタイプです。私が、なにかコチャコチャやっているのをみて、呆れていることもあります。

このような心性は、
・ 他人のスケージュールに合わせながらやるのが苦手。一人でやるほうが楽。
・ 一つのことをやり始めると没頭してしまってやめられない。
ということにも繋がるところもあると思います。

これだけでは、そういうタイプの人は大勢居ますので、なんとも言えませんが、注意欠如障害の傾向のある患者さんにも多くこういったタイプは見られるように感じています。このような傾向があると、つい夜更かしになり、朝起きにくい。睡眠時間は短縮されますので、日中の眠気が出るということもあります。

注意欠如障害などの発達障害に関しては、これをいわゆる「疾患」と扱うのは、私自身抵抗もあります。しかし、投薬によって生活がずいぶん改善する患者さんも居ます。したがって、やはり「治療」の対象にはなると思いますが、たとえば、ここに挙げたような睡眠のとり方についての細かい点を問診でお聞きして、ご自身の傾向を指摘しながら、早寝の習慣を指導すると、これだけでずいぶんと日中の眠気がとれ、それにともなって注意力も向上する面もあります。

患者さんの生活の細かい面を知るには、ひとつの方法として睡眠日誌は非常に有効です。私は、睡眠日誌をしばしば患者さんにつけてもらいます。このような患者さんにもまずは、実験的に2週間ほど早寝をしてくださいとお話します。寝る前の楽しい時間を諦めるのは辛いことですが、まずは2週間ほどということになれば、やってくれる人は大勢います。そして、実際にやってみて、日中の眠気が取れることを経験すると、これらを秤にかけて、自分でも早寝しようという気持ちになります。その時に、睡眠日誌で確認する人がいるということも、この実験を行う上でとても助けになることでもあります。

このような診療は、薬物療法だけなく、患者さんの生活の様々な特徴を知って、それを指導するといういうことの重要性を示しているように思います。

寝る前のゆっくりした時間。大切な面もあると思います。眠りにつく時刻も考えながら、過ごせば、良いリラックスタイムになることも間違いないと思います。私も、それを実感して、やはり寝る前には少しゆっくりしてから眠ることが多いわけです。

2014年4月26日土曜日

睡眠専門外来をメンタルクリニックで行う意義

現在、日暮里のあべクリニックと、所沢市小手指の平沢記念病院で、睡眠専門外来を開いています。あべクリニックは、都会型のメンタルクリニックで、精神科ディケアもやっています。平沢記念病院は、入院病床もある精神科単科の病院ですが、老人病棟もあり思春期の患者さんから高齢者までが見えています。

そこで、睡眠専門外来をやると、訴えは睡眠に関連したものだけれども、実際のところは他の疾患の症状として睡眠を訴えて見える患者さんが多くいることに気づきます。最も普通にあるのが、うつ病です。うつ病はほとんどの患者さんで睡眠障害がありますが、うつ病の症状を訴えるよりも、睡眠障害のほうが訴えやすい面があるためか、睡眠障害で見える方も多く居ます。

また、最近多く見えるのが発達障害です。これは、すでに書き込みましたが多くいるので驚きます。私のところに見えるのは多くは、中学生、高校生以上です。成人の方も多く見えます。正直なところ、ストラテラやコンサータといった、発達障害の薬が使えるようになって、この疾患の診断が多くなったようにも思います。ここ2年位のことです。

また、まれですがてんかんの患者さんが見えることもあります。てんかんは、多くは痙攣を伴う疾患ですが、単純部分発作という病型は、意識の低下を主体とする病態で、日に何度かこのような状態になります。ある患者さんは、意識がなくなって、はっと気づいたら、時間が経っていて、その間の時間が抜けていたというようなことを言っておられました。このような場合は、てんかんの治療を行います。てんかんの治療で、この症状は収まりました。

睡眠専門外来は、このように誤診を防ぐためには、精神科一般の幅広い知識が必要だと思います。このようなことは、7月に行われる学会で発表をしようと思って現在準備をしているところです。