2014年5月15日木曜日

グリシン (グリナ 味の素)

睡眠を改善するサプリメントは多くありますが、日本で発見された物質は珍しいと思います。グリシンはその一つで、発見者は味の素の社員です。発見のエピソードは、ある物質の研究をしている最中に、その物質のプラセボ(偽の作用のない薬)としてグリシンを服用していたところ、いびきをかかず、睡眠が安定しているのを奥さんが気づいたという事でした。したがって、発見者は、社員というよりも奥様のほうかもしれません。その後の研究で、特に動物実験で多くの睡眠に対する効果が確認されています。

私はその中で特に、睡眠中の体温低下効果に注目しています。睡眠中は、体温が低下することは知られていますが、この体温低下は徐波睡眠(深いノンレム睡眠)の出現と関連あるという研究結果が出ています。したがって、体温を低下させる物質は、徐波睡眠の出現を促進させ、睡眠の質を改善させるという考え方も出てくるわけです。

我々の研究では、高強度の運動を夜間の時間帯にした場合に、いったん正常値に戻った体温が、睡眠の前半で高くなる結果を得ています。夜間高強度の運動をした場合、その後の睡眠が安定しないケースが、ナイトゲームの後のアスリートを含めて知られていますが、こういったケースにはグリシンが、特に効果がある可能性もあります。

味の素は、ナショナルトレーニングセンターにもスポンサーとなり、日本のスポーツをサポートしています。私も睡眠を通じて何らかのコラボレーションができると面白いと思っています。

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