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私が、確かビジネス関連の雑誌へのインタービュー記事で喋ったことが名言データベースとなって掲載されています。このサイトからは、とくに連絡なく掲載されていました。あとから読んでみると、ああ、まあまあ良いこと言ってるなという感じがします。
名言データベース |
運動をすると、気分がスッキリする!頭が冴える!という経験をした人は非常に多いでしょう。私も、仕事で疲れたときにはジョギングをすると、とてもスッキリします。大学では仕事の合間に、学生たちとテニスをしたりフットサルをしたりすることもあります。このように、昔から経験的には運動が気分を改善させることはよく知られていました。うつ病の運動療法
では、気分の障害であるうつ病にこのような運動は役に立つのでしょうか。うつ病の患者さんは励まさないほうが良いと言われますが、運動などせずにゆっくりと寝ていたほうが良いのでしょうか。うつ病に運動療法が有効であるかについての研究はこれまでにも行われており、これらの研究の結果を見ると、うつ病には運動療法が効果的であるという報告がほとんどで、運動療法を行うことが非常に意味がありそうです。このようなうつ病の運動療法の現状について解説します。
これまで、運動をして気分がよくなるという研究は、海外では以前から行われていましたが、多くの研究は少数の人達を対象にした研究で必ずしも非常にしっかりとした研究とは言えませんでした。しかしながら、2000年代に入って、比較的多くのケース対象に運動した場合とそうでない場合を比較する研究がみられ、その効果あることがだんだんに分かってきています。この文章は、実はアメリカの学会の帰りに飛行機の中で書いていますが、この2011年6月のアメリカスポーツ医学会(ACSM)においても、うつ病を含む精神的な不調への運動療法に関するシンポジウムがありました。
発表した研究者はデューク大学のブルメンタール教授、コロラド大学のダン教授などです。また、ミシガン大学やテキサス大学などでも研究が行われています。また、早稲田大学スポーツ科学学術院の我々の研究室でも、こういった研究を始めました。ブルメンタール教授やダン教授の研究論文は最後に文献として掲げました。これまでの研究を簡単にまとめると次のようなことが分かっています。
1.運動療法は、実際にうつ病で症状の重い人に対して行っても効果がある。また、比較的軽症の人に行っても効果がある。
2.運動療法の種類や運動の強さ、頻度等については現在適切な量についての研究が行われている最中であるが、現時点では健康維持のための運動量(=生活習慣病予防・メタボ対策の為の運動量)とほぼ同等の運動で効果があると考えられている。
3.薬物療法とは併用しても、薬物療法の効果を阻害することはない。しかし、現在の知見では、薬物療法の効果がより良くなることは無いようである。また、運動療法だけでも薬物療法と同等の効果があるという報告もある。
4.うつ病の寛解期の維持療法(一旦良くなった後良い状態を維持する)については、経験的に良いという意見が多く見られるが、科学的知見はまだ十分ではない。
5.回復途上、あるいは復職前の人たちに対する運動療法は、症状回復への効果の他に、療養中に低下した体力を向上させ、仕事にスムーズに復帰するための効果がある。寛解期の運動
うつ病の運動療法に示しましたように、うつ病が一旦良くなった後に運動習慣をもって、ウォーキングなどを続けるということが、再発を防ぎ良い状態を保つ上で良い効果があるのかどうかについての、しっかりとした研究はまだ十分に行われていません。しかし経験的には、良い効果があるという印象をもっている臨床家が多いように思います。仕事に戻るためのリワークの効果
私自身が経験したケースでも、ウォーキングをはじめて良い状態がつづいて方は比較的多く居ます。そういった方は、運動に対する親和性があるというのと、運動するとやはり具合が良いので続けているというように見えます。具合が良いというのは、気分が良いということです。
このようなことを考えると、うつ病に罹患したあと症状の回復のためだけでなく、一旦良くなった後も運動習慣を続けることで、メンタルヘルスという視点で良い効果があると考えても良いように思っています。
うつ病のリワークプログラムが最近では行われています。うつ病のために休職した後に回復し、仕事に復帰するためのプログラムです。朝必ず9時までにやってきてプログラムに参加することのなどが求められています。この中に、運動療法を取り入れることはとても効果があるように思います。
うつ病が寛解期の維持療法として良い可能性があることはすでに述べましたが、もうひとつの運動の直接的な身体への効果として、体力が向上することがあります。これは調べるまでもなく確実な効果です。休職によって自宅療養あるいは入院治療している間は、多くあまり動くことが無いために体力が落ちてしまいます。精神的な症状がある程度回復しても、体力が十分でないために外出したりすると疲れてしまうということも起きてきます。このような、問題を解決する意味でもリワークプログラムへの運動療法の導入は、非常に大きな意味があると思います。