2015年12月31日木曜日

2016年 第92回 箱根駅伝 (その1)

2016年の箱根駅伝には私のゼミから3名の学生が出場する予定です。発表されているエントリーシートを御覧ください。


この中で私のゼミ生は、主将の高田、山を降りる三浦、そして佐藤です。更には、2年前には睡眠の問題で悩んでいた柳(産経ニュース記事)もぜひ応援したいメンバーの一人です。その他、スポーツ科学部学生の中には私のスポーツカウンセリングや精神神経系のスポーツ医学の講義を受けている学生も多く、出来る限り沿道で応援しようと思っています。

ゼミ生応援用に、2年前に旗も作ってあります。1月2日3日は沿道からの応援の様子を、レポートします。




2015年12月29日火曜日

寝過ぎは早死にの原因となるか(同名のブログと睡眠時間について思うこと)

寝過ぎは早死にの原因となるか」というブログ(題名にリンクあり)にブックマークしてあったのを最近見つけて、そうだこの問題を一度論じてみようと思っていたのだと思い出し、読みなおしてみました。このブログは、まさに私がこの問題について考え始めた頃に思った疑問について取り上げてあり非常に興味深く読み、自分でも別の角度から論じても良いと思ったからです。
The Sleeping Gypsy
アンリ・ルソーの私の好きな絵です

そこで、ここにも取り上げられているDaniel Kripke先生の原典を読みなおしました。ごく簡単に説明しますと、この論文は平均睡眠時間が7時間位の人が最も寿命が長く、それより長く眠る人も、短く眠る人も寿命が短いということを示しています。ただ、有意差があるのは長く寝る方だけです。また、眠剤を使っている人も寿命に対して悪い影響があるという結果も出ています。

Mortality Associated With Sleep Duration and Insomnia
Daniel F. Kripke, MD; Lawrence Garfinkel, MA; Deborah L. Wingard, PhD; Melville R. Klauber, PhD; Matthew R. Marler, PhD
Arch Gen Psychiatry. 2002;59(2):131-136. doi:10.1001/archpsyc.59.2.131.

抄録の結論部分です
Conclusions  Patients can be reassured that short sleep and insomnia seem associated with little risk distinct from comorbidities. Slight risks associated with 8 or more hours of sleep and sleeping pill use need further study. Causality is unproven.

拙訳
短時間睡眠と不眠は、併存疾患とは区別して考えると、余り大きなリスクとはなっていないように思える。この点において、患者さんは安心して良いように思われる。8時間以上の睡眠と眠剤の使用に伴う僅かなリスクが観測されたが、これは、さらなる研究が必要であろう。これらの因果関係が証明はされていない。

Google Translation (参考)
患者は、短い睡眠と不眠が併存疾患と区別少しリスクと関連しているように見えることを安心することができます。睡眠と睡眠薬使用の8時間以上に関連する若干のリスクは、さらなる研究が必要です。因果関係は証明されていません。

このように、原典には睡眠時間と寿命については、大きな心配はいらないと書いてあります。したがって、この著者自身も睡眠時間と寿命との因果関係については更に詳細な検討が必要であり、早急な結論は誤った認識に繋がる可能性があるという立場だと思います。

さて、上記のブログの著者は、活性酸素など生物学的な立場から睡眠時間と寿命について論じています。これは、なかなか興味深い視点ですが、こういう視点もあるということで、では、どういう理由で長く寝ている人たちの寿命が僅かに短くなるのかについての、ほんとうの意味での「何が原因か」ということを示しているわけでもありませんし、このブログでも実際そうも述べています。こういった議論の中で上記ブログの著者は、日中の活動との関連について言及しており、共感するところです。

睡眠時間については、私はいつもスポーツと関連して2つの研究を示しています。
1.一つは、我々の大学院学生が行った研究で、長距離走選手の自発的に睡眠時間が、練習強度が強くなると一日9時間近くに長くなるということです。練習強度の低いオフ期は、むしろ昼寝をしたりする時間は多くあるのですが、選手は眠りません。

2.もう一つは、米国のCheri Mahが行った実験で、選手に長く睡眠を取らせたところ、一ヶ月半くらいに及ぶ期間、一日9時間近く眠るようになりました。その中で、スポーツパフォーマンスが向上したということが示されています。

これらは、寿命との関連ではありませんが、睡眠時間は日中の活動を支えるものであって、睡眠時間だけをコントロールすれば、寿命が伸びたり縮んだりするものではないのだという、基本的で、考えてみればごく当たり前の視点を再確認することが大切だということを意味しています。

健康についての考え方は、時に不安から短絡的な思考に走りがちです。そうではなく、本当に健康な生活をするためにはどうしたらよいかを、もっと巨視的な視点で考えることが大切であり、このような考えがほんとうの意味での良い健康教育、医療につながっていくというふうに考えています。

2015年12月25日金曜日

オンデマンド講義を作ってみました(screencast-o-maticの利用)

【今回の試みのまとめ】
1. オンデマンド講義作成ソフトとして、screencast-o-matic はとても便利なので、これを採用しようと思います。
2. 公開の仕方は、YouTubeにアップロードして貼り付けるのが良さそうです。
3. 注意(ビデオは音声つきですのでクリックすると声が出ます。)

【本文】
早稲田大学では、オンデマンド(インターネットを利用して、講義の配信を行う)授業も行っています。オンデマンドには、直接学生と顔をあわせず講義をするということなどから賛否ありますが、学びたい人にとっては何度も繰り返し見られるということもあり、一般的に評価は良いようです。

このようなオンデマンド講義の作成は、大学のスタジオを使って行われますが、教員が自分の研究室や自宅でパソコンを使ってオンデマンド講義を作るソフトウェアのサービスも早稲田大学は行っています。これを使った授業を見られるサイトがあるので興味がある方は御覧ください。

早稲田大学体験Webサイト
http://www.waseda.jp/taiken-waseda/

さて、このような方法でオンデマンド講義は作成できるわけですが、もう少し簡単にオンデマンド講義を作り、早稲田大学以外にも公開する方法がないかとも考えていました。製薬会社などは、独自に立派なソフトを用いてやっており、私も何度か出演したことがありますが、もっと簡単で、自分で作れる方法がないかと思ったわけです。
そんなものを探していたところ、非常にぴったりな無料ソフトを見つけました。

screencast-o-matic.com


このサイトです。ローカルにソフトをインストールして、オンラインで録音をするのですが、15分までの簡単な講義作成には、ほぼ十分な機能が備わっています。

これを使った、非常に簡単なオンデマンド講義を掲載してみました。試しに作ったので、コンテンツはあまり期待しないでください。


今後、このようなものを、一般の患者さんなど向けにも臨床情報提供として使えると良いと思っています。


【更に追記】⇒ YouTubeの画像の悪さは、通信速度などによって規定されるもので、解像度をあげるとかなり良い画像が見られました。YouTubeにアップロードしたほうが、共有度の高さなどから良い面が多いように思われます。現在は、YouTubeの限定公開としたものを埋め込みコードでブログに貼り付けています。もう少し試していきたいと思います。


【公開後Webで見ての追記】 このブログで公開すると、YouTube経由というようなことになり、かつ解像度も低いので見にくいですね。したがって、今後このような情報提供をする場合には別のサイトで立ち上げたほうが良さそうです。YouTubeを使うのがやはり一番一般的でしょうか。試しに、おなじビデオファイルをYouTubeにアップロードして貼り付けることもやってみましょう。
YouTubeへのリンク
上記をクリックしていただくとYouTubeで見られますが、これもあまり解像度は良くないですね。

これがベスト!
直接ビデオファイルへのリンク (YouTubeが良さそうなので、リンクを削除しました)
ビデオファイルをFTPでアップロードし、そこに直接リンクしたところ、非常に良い結果でした。この方法が、見やすくて一番良さそうです。

2015年12月21日月曜日

スマホの睡眠アプリ (3) 熟睡アラームを一部監修しています

熟睡アラームを、自分の標準の睡眠アプリとして使っています。以前のエントリーにも熟睡アラームを紹介しましたが、実はその後、アプリの会社と連絡を取り、このアプリの一部監修しました。臨床で使いやすいように、睡眠図のPDFファイルをメールで送れるようにしてもらいました。また、睡眠覚醒の判定アルゴリズムについても、研究などでも用いている標準的なコール博士の方法についてアドバイスをし、これをアルゴリズムに採用してもらいました。

これについては、アプリのサイトを御覧ください(図)。私の名前も、入っています。

これによって、熟睡アラームは非常因優れたアプリになったと思います。電子カルテにつなげるための方法については、まだ検討中です。と言うのは、私が使っている電子カルテはインターネットに繋がっていないので、睡眠図を受け取る方法としては、インターネットに繋がっているパソコンで熟睡アラームの結果を受け取り、これをUSBメモリーなどで、電子カルテのネットに取り込むというような方法を取る必要があるからです。

電子カルテのセキュリティーは、絶対が要求されるので、これはやむを得ないのかもしれませんが、もう少しスマートな方法が無いかなとも思っています。


2015年12月18日金曜日

1945年からの精神医学における10の最も重要な変化 (Psychiatric Times) ~ スポーツ精神医学へ

Psychiatric Timesに表題の興味深いコラムが掲載されていました。下記がURLですので、原典に興味ある方は読まれると良いと思います。
http://www.psychiatrictimes.com/blogs/history-psychiatry/10-most-important-changes-psychiatry-1945-invitation-readers

この中で、興味深い図があったので、その拙訳を載せておこうと思います。文章の訳は著作権もあると思うので控えますが、掲載された図をみると、この文章の概要はわかると思います。

1.1950年代の精神薬理 革命
2.脱施設化
3.精神分析学の衰退
4.精神療法は、精神科医から医学教育を受けていない人たちへシフトする
5.ビッグサイエンスの台頭
  * ビッグサイエンスに関してはこちら
    http://www.nikkeibp.co.jp/article/tk/20130703/356790/?rt=nocnt
6.1980年代からの、Mood-stabilizing, Mood-enhancing薬の開発と普及
7.製薬会社の影響力の増大
8.DSMの影響増大
9.精神科診断の急激な拡散
10.同性愛が病的と考えられなくなる

というところです。拙訳で申し訳ありませんが、一部わかりやすく意訳しました。

この中で、前半は精神分析から精神医学がより医学の一分野として、生物学的な基盤に則って治療を行う領域に変化してきたことが伺い知れます。これは、良い方向であると思いますが、その後、製薬会社の影響力が増大。更には、診断の拡大によって、必ずしも異常でない人たちが精神医学の診断を受け、治療の対象となる。そして、そこに多額の治療薬が導入され、製薬会社を潤す、という構図が描かれています。

これは、日本も他人事ではありません。

精神分析から生物学的精神医学への流れは、私は好ましい要素を持っていると思います。私は、スポーツ精神科医ですが、生物学は必ずしも薬理学を意味しないことを協調したいと思います。生活の改善…運動、食事、睡眠というごく当たり前のことが、精神的な健康度を上げるということをもっと精神科医は、知るべきです。次の重要な変化にこのことが加わると良いと思っています。



2015年12月15日火曜日

ベルソムラ(スボレキサント)の長期処方が可能になった

オレキシン受容体拮抗薬であるベルソムラ(スボレキサント)は、これまでにない全く新しい作用機序の睡眠薬です。昨年11月に発売されましたが、1年間は14日までの処方で、処方に苦労しました。今月、2015年12月からは、やっと長期処方が可能になりました。

この薬物は、依存性が無いことなどから向精神薬に指定されておらず、処方の日数制限がなくなりました。14日から一挙に長く処方できることになり、処方しやすくなりました。

発売当初は、単剤で初発例にということで慎重に使用するようメーカーからもアドバイスが有りましたが、その後、少しずつ併用するなかで、併用によっても睡眠を安定させる作用があることがわかってきました。

私は、双極性障害や統合失調症などの患者さんで、他の薬物を多く服用している人に併用することも多くなってきています。このようなケースでは、依存性のあるベンゾジアゼピン系の睡眠薬の投与量を減らしていけるという利点があることも経験の中でわかってきました。

現在主に用いられている睡眠薬は
・ ベンゾジアゼピン受容体作動薬(ベンゾジアゼピン、ノンベンゾジアゼピン)
・ メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)
・ オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント)
です。この中で、オレキシン受容体拮抗薬のみが、睡眠に直接作用する薬物ではなく、覚醒の維持のために必要と考えられているオレキシンの役割をブロックする、いわば覚醒阻害剤としての役割をもっているユニークな薬物であるわけです。

経験により安全性が確かめられてくれば、このような薬物は併用によっても、より効果的に安定した睡眠を維持できる可能性があると思います。


2015年12月12日土曜日

Google Play Musicを使ってみて

以前に、Google Play Musicに契約したことを書きましたが、その後これをかなり使っています。これまでは、CDをMp3化したりMp3をダウンロードしたものをUSBなどに入れて、カーオーディオで聞くというのが主な私自身のオーディオ生活でした。そのアルバムの数もかなり多くはなっていますが、9月にGoogle Play Musicに契約して、その後はほとんどこればかり聞くようになりました。3ヶ月あまり使ってみての感想です。

Google Play Music
1.曲数: 私はジャズばかり効きますが、まれにクラシックも効きます。ジャズに関しては、他のクラウド音楽サービスと比べて充実しているように思います。ただ、それでも、あああの名盤を聞きたいなと思った時に、かならずあるとは限らないということは何度か経験しました。それで、その周辺の曲を聞くという結果になるわけですが、なかなか「なんでもある」クラウド音楽サービスは無いものなのだと思いました。

2.思いつた時にすぐ聴ける: 一方で、思いついたものを気軽に聞けるということは、非常に便利です。例えば、先日はスティービー・ワンダーの曲を聴きたいと思って、すぐに聞けましたし、少しマニアックですが、ジェフ・ベックのWiredというアルバムを聴きたいと思った時にすぐに探せました。こういうアルバムは、私にとっては購入するほどのこともないというものなのですが、しかし、そういったものをいつでも聴けるのは便利です。

3.便利なラジオ機能: ラジオという機能があって、これはあるミュージシャンやアルバムを中心として、その周辺の類似した音楽を連続でエンドレスに流してくれる機能です。車で長い時間ドライブしたりするときには非常の重宝します。これによって、新しいミュージシャンや音楽を発見することも有ります。

4.ダウンロード機能: スマートフォンアプリには、ダウンロード機能があって、オフラインで後で聴けるようにファイルをダウンロードすることができます。これは、契約を解除したら聞けなくなってしまうものだと思いますが、それでも気に入ったアルバムを繰り返し聞くようなときには非常に便利です。

早めに入ったので、月額780円という格安で契約していますが、当分は続けてみようと思います。現在のところは、音楽をゆっくり聞くのは車の中という甚だ条件の悪いところでのオーディオライフなのですが、車のスピーカーをJBLとFassというものにしたりして、ある程度の音質は確保できているつもりです。しかし、自宅の静かな部屋で、ゆっくりとオーディオを聴けるような身分になりたいとも思いますね。