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2016年2月8日月曜日

日本人の糖質制限食のRCT (Medical Tribune記事)

Medical Tribuneという、医師向けの広報誌のメーリングリストにいつからか入っているらしく、時々メールが送られてきます。だいたいあまり目を通さずにいるのですが、下記の記載が目について読んでみました。

日本人の糖質制限食のRCT,エネルギー摂取量が400kcal抑制
学会レポート | 2016.01.19

Diabetes Daily より転載
順天堂大学の金澤昭雄先生(代謝内分泌内科学)が行ったランダム化比較試験(RCT)で、良い成績を上げたようです。記事を読むと、一日130gの糖質制限食とエネルギー制限食を比較したようですが、学会には出席していないので詳細は不明です。

良い成績というのは、
・ 一日の総エネルギーが約400kcal抑制できた
・ HbA1c(過去の血糖値を反映するマーカー)や、BMIが有意に低下した(エジェルギー制限食では低下せず)

ということでした。

糖質制限食に興味を持ったのは、私自身、変形性膝関節症の治療の一環として減量が必至の目標だったので、昨年10月より糖質制限食を実施して、この4ヶ月で5kg減量しました。これによって、先に書いたようにフットサルができるまでになったわけですが、糖質制限食について、専門家はどのように考えているのかも調べてみたところ、日本経済新聞に良い記事が出ていました。

ご飯・パン減らす「糖質制限食」、是非巡り論争続く
糖尿病を予防・安全に懸念…
2014/1/28

という記事ですが、日本糖尿病学会では、糖尿病患者さんが糖質制限をすることは注意が必要という立場をとっているようです。

まとめると、

1.健康な人のダイエットとしては、問題視する面は少なく、効果がある
2.一方、糖尿病患者さんや高齢者では代謝のバランスを崩して、時に重篤な状態も起こりうるので注意が必要

ということのようです。

私が実際に行ってみると、全く糖質を取らないようにするということよりも少なくするということで、栄養のバランスもある程度保たれるようになるのではないかという実感を持ちました。実際に、例えば、お寿司屋さんにいって、自分だけ全く握りを食べないとか、あるいはお弁当が出た時に、白米を全く食べないとかいうことはなかなか難しくて、ついそういう時は、私も食べていました。また、食事の後にでるデザートも一口二口食べたりもしました。

このような状態で続けた結果、私の場合は体重5kg減少し、いろいろと良い面がありました。実際に午後の眠くなる時間に眠気が少ないというのも大きな利点です。

私は、内分泌代謝の専門家でないので、専門的な視点からの推奨はできませんが、特に代謝疾患などのない人が、比較的効率的に半年程度の期間の中で減量するという意味では効果があるのではないかと思います。これは、運動と合わせればより効果があるでしょうし、適応のある人に対しては、進めていっても良いのではないかという感想を持ちました。

2015年6月22日月曜日

うつ病と肥満 (Psychiatric Times)

Psychiatric Timesにうつ病と肥満についての記事が出ていました。非常に興味深いポイントを指摘しているので、取り上げてみました。主には、APAにおける、Julio Licinio, 医師による発表を元にしているようです。

うつ病と糖尿病の関係についてのポイントは、

• 2つの疾患は頻繁に共存する。疫学研究は、これら2つの疾患は双方向に影響を与えているということを示唆しています。
• 抗うつ薬は、体重増加をもたらす。
• ストレスは、うつ病と肥満を引き起こす可能性がある。そして両方が、心血管障害の悪化因子である。
• 両疾患にかかる医療費が莫大なものである。


ということです。いくつかの関連のバックグラウンドとしては、

1.グルココルチコイドの上昇
この両者については、ストレスが両者の発症に関わっているということが共通しています。ストレスによって、グルココルチコイドが上昇することが、ひとつは海馬のCA3領域の神経末端の萎縮をおこさせるということ。もう一つは、糖尿病と関連してグルココルチコイドの持続的上昇が耐糖能低下を起こさせるということです。

2.レプチンの減少
レプチンは、脂肪細胞から賛成されるペプチドホルモンですが、これは視床下部に働いて満腹感を与える働きをもっています。うつ病やストレスに暴露した動物の実験で、レプチンの量が減少しているということも知られていて、うつ病の病態に関連しているとも考えられています。さらに、レプチン欠損マウスでは脳重量および皮質のボリュームが低下していることも示されています。

3.肥満した人でのレプチンの働き
レプチンは脂肪細胞からつくられるので、肥満した人ではレプチンが多く、満腹感をもって食欲が減少するように思われますが、肥満した人では、血液脳関門におけるレプチンの輸送がうまく行かず、脳内のレプチンの働きが低下しているということも実験的には示唆されています。

4.抗うつ薬による体重増加
抗うつ薬は、多分抹消におけるIGF-1の上昇を介して、体重増加をもたらす副作用があることが知られています。また、Licinio医師は、短期間抗うつ薬を服用しても、その後も体重増加の影響が残ることを指摘しています。


うつ病の患者さんは多く居ますが、抗うつ薬による肥満、そして糖尿病の発症、あるいは悪化などについても、臨床の中では常に頭において置かなければならない問題だろうと思います。

受診は すなおクリニック (大宮駅東口徒歩3分)へ

2015年4月22日水曜日

シフトワークの禁忌

シフトワークの睡眠障害についての原稿を依頼されましたので、これについてここのところずいぶんと調べました。私自身は、シフトワークのアドバイスを専門的にやっているわけではありませんが、これはリズム障害の一種であるので、アスリートに対する時差対策などの経験が生きる部分もあります。一方で、職場の状況特有の内容もあり、これについてはよく勉強をする意味がありました。

この中で、日本看護協会が出しているシフトワークの書物の中に、シフトワークの禁忌の項目があることを知りました。看護業務は、シフトワークを強いられる業務の中でも非常に大きな分野の一つであり、医療に関連した分野でもあることから、シフトワークの問題については最も進んでいるとも言えるのではないでしょうか。こちらがそのリストのPDFファイルへのリンクです。

その項目禁忌項目は以下のとおりです。
○過去 1 年間に薬物治療を要する癲癇発作があった
○冠状動脈の疾患、とくに不安定狭心症あるいは心筋梗塞の既往歴がある
○定期的な投薬を必要とする喘息、特にステロイド依存型喘息である
○インシュリン依存型の真性糖尿病(IDDM)
(ただし、IDDM の労働者であっても、仕事および非番の日を通じて定期的な食事、運動量、
投薬を維持できるならば、夜勤専従者が夜勤につくことも容認される)
○多量の投薬を必要とする高血圧
○薬物の大量使用によって 24 時間周期を変化させること ―特に輪番制スケジュールの場合
○再発性消化性胃潰瘍
○過敏性腸炎 ―症状が重篤な場合
○慢性うつ病、あるいは薬物治療を要する他の精神疾患
○シフトワークの不適応症候群の既往がある

シフトワークが、高血圧、心血管障害、糖尿病などの疾患に対して悪い影響があることがしっかり盛り込まれていますし、更にはうつ病についても項目があり、非常に大切なリストであると思いました。このようなことは、実際にシフトワークをしている人やその管理者にはしっかりと周知する必要のあることで、ぜひこういった知識が広まると良いと思いました。