下記の論文を読みました。内容的には、ADHDの特徴および治療全般の説明と、ADHDの治療としての薬物療法がドーピングに関わる薬剤なので、予めの書類提出(TUE)が必要というようなことです。興味深い点としては、2つありました。
- 薬物療法を継続している中で、運動とSudden Cardiac Death (SCD)の関わりについて。メチルフェニデートなどの薬物は、心拍数と血圧を有意に上昇させるということから、チームドクターは常にこのことに留意していなければならない。このような薬物を服用している選手については、特に心電図などのモニターをしていく必要がある。心臓突然死の可能性もわずかながらあるので、特に小児では、何らかの心疾患の既往が有るケースには、薬物を投与することは控えたほうが良い。
しかし、そうでなければ、メチルフェニデートなどの薬物は、一般の心臓突然死の確立を著しく上昇させるわけではないので、この心配から薬物を中止したりするべきではない。 - ADHDに用いられる薬物が、禁止薬物リストに入っていることは、競技に対する集中力を高めて、競技力を向上させるドーピング薬としての役割があるわけで、これを、障害のない人が、競技力向上のために投与を希望することに対しては十分に注意しなければならない。この点に関しては、個人的にもADHDの診断が、客観的指標によって完全にできるわけでないので、今後このような処方が多くなった時に問題になる点であろうと思っています。
Clin J Sport Med. 2011 Sep;21(5):392-401. doi: 10.1097/JSM.0b013e3182262eb1.
Attention deficit hyperactivity disorder and the athlete: an American Medical Society for Sports Medicine position statement.
Abstract
- PMID:
- 21892014
- [PubMed - indexed for MEDLINE]
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