最近、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)とアルツハイマー病に関連する興味深い疫学研究論文を読んだので紹介いたします。
簡単に言うと、アンギオテンシン変換酵素阻害薬という降圧剤を飲んでいる人は、アルツハイマー病になりにくいということです。この説明だと、ずいぶん誤解があると思うのでもう少し詳しく説明します。
アンギオテンシンIIは血管を収縮させて血圧を上げる作用がありますが、ACEはこのアンギオテンシンIIの生成を阻害することで、血圧を下げる作用があります。
一方、アルツハイマー病の一つの原因としてアミロイドβ蛋白の凝集(老人斑)がありますが、アポリポ蛋白の遺伝子型の一つである、アポリポ蛋白E4は神経細胞膜内のコレステロールを増加させ、アミロイドβ蛋白の凝集を増加させると考えられています。したがって、アポE4はアルツハイマー病になりやすいと考えられています。一方で、アポE4の遺伝子を持っていない人もアルツハイマー病になる可能性はあります。
この研究では、アポE4遺伝子型を持っている人とそうでない人で、ACEを服用している場合に、アルツハイマー病になる可能性が低くなるかどうかを検証しています。その結果、アポE4遺伝子を持っていない人では、ACEを飲んでいると有意にアルツハイマー病の発症が低下したという結果が得られました。しかし、アポE4遺伝子を持っている人では、ACEを服用していることがアルツハイマー病の発症を抑えることはありませんでした。
ACEがどのようなメカニズムで、アルツハイマー病の発症を抑えているのかは分かりませんが、今後の研究が興味深い結果だと思います。
簡単に言うと、アンギオテンシン変換酵素阻害薬という降圧剤を飲んでいる人は、アルツハイマー病になりにくいということです。この説明だと、ずいぶん誤解があると思うのでもう少し詳しく説明します。
アンギオテンシンIIは血管を収縮させて血圧を上げる作用がありますが、ACEはこのアンギオテンシンIIの生成を阻害することで、血圧を下げる作用があります。
一方、アルツハイマー病の一つの原因としてアミロイドβ蛋白の凝集(老人斑)がありますが、アポリポ蛋白の遺伝子型の一つである、アポリポ蛋白E4は神経細胞膜内のコレステロールを増加させ、アミロイドβ蛋白の凝集を増加させると考えられています。したがって、アポE4はアルツハイマー病になりやすいと考えられています。一方で、アポE4の遺伝子を持っていない人もアルツハイマー病になる可能性はあります。
この研究では、アポE4遺伝子型を持っている人とそうでない人で、ACEを服用している場合に、アルツハイマー病になる可能性が低くなるかどうかを検証しています。その結果、アポE4遺伝子を持っていない人では、ACEを飲んでいると有意にアルツハイマー病の発症が低下したという結果が得られました。しかし、アポE4遺伝子を持っている人では、ACEを服用していることがアルツハイマー病の発症を抑えることはありませんでした。
ACEがどのようなメカニズムで、アルツハイマー病の発症を抑えているのかは分かりませんが、今後の研究が興味深い結果だと思います。
Qiu WQ1, Mwamburi M, Besser LM, Zhu H, Li H, Wallack M, Phillips L, Qiao L, Budson AE, Stern R, Kowall N. Angiotensin converting enzyme inhibitors and the reduced risk of Alzheimer's disease in the absence of apolipoprotein E4 allele. J Alzheimers Dis. 2013;37(2):421-8. doi: 10.3233/JAD-130716.
Abstract
Our cross-sectional study showed that the interaction between apolipoprotein E4 (ApoE4) and angiotensin converting enzyme (ACE) inhibitors was associated with Alzheimer's disease (AD). The aim of this longitudinal study was to differentiate whether ACE inhibitors accelerate or reduce the risk of AD in the context of ApoE alleles. Using the longitudinal data from the National Alzheimer's Coordinating Center (NACC) with ApoE genotyping and documentation of ACE inhibitors use, we found that in the absence of ApoE4, subjects who had been taking central ACE inhibitor use (χ2 test: 21% versus 27%, p = 0.0002) or peripheral ACE inhibitor use (χ2 test: 13% versus 27%, p < 0.0001) had lower incidence of AD compared with those who had not been taking an ACE inhibitor. In contrast, in the presence of ApoE4, there was no such association between ACE inhibitor use and the risk of AD. After adjusting for the confounders, central ACE inhibitor use (OR = 0.68, 95% CI = 0.55, 0.83, p = 0.0002) or peripheral ACE inhibitor use (OR = 0.33, 95% CI = 0.33, 0.68, p < 0.0001) still remained inversely associated with a risk of developing AD in ApoE4 non-carriers. In conclusion, ACE inhibitors, especially peripherally acting ones, were associated with a reduced risk of AD in the absence of ApoE4, but had no such effect in those carrying the ApoE4 allele. A double-blind clinical trial should be considered to determine the effect of ACE inhibitors on prevention of AD in the context of ApoE genotype.
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