2015年1月7日水曜日

こころの科学 特別企画 不眠症 「不眠症とはどんなものか」

こころの科学の2015年1月号は、不眠症の特集です。「不眠症とはどんなものか」というタイトルで、私が書いていますので、よろしかったら読んでみてください。




「はじめに」の部分をご紹介します。

 
はじめに
 不眠症とは、「眠れない」ということを示してはいるが、「眠れない」というだけだと誤解が生じる。「仕事が忙しくて眠れない」ということでは、睡眠が取れないということで睡眠不足ということにはなろうが、不眠症という病名はつかない。不眠症と言うためには、眠る時間が十分にあるのに眠れない状態でなければならない。したがって、不眠症を定義するとすれば「睡眠をとるのに十分な時間があるにもかかわらず、十分な睡眠をとることができない状態」とすることができよう。しかしながら、このような場合でも、日中に夜間眠れなかった分の睡眠を昼寝としてとって、その影響でまた夜間眠れないという状態になり、結果としては本人が非常に悩むという状況もありうる。そのような場合は、睡眠の長さという意味ではほぼ十分な睡眠をとっていても、夜間に他の人達が眠っている時間帯に眠ることができないということで、本人が悩んでいるわけである。また、夜間不眠のせいで日中の意欲も出ず、活動性も低下してしまう、あるいは集中を要する作業が仕事となっている人では、それが十分できないということもある。もし、日中の問題がなければ不眠症とはならないかもしれないが、それでも睡眠にこだわり悩む人はいる。

 このように、実際の臨床場面で出会う不眠患者の問題は、単純に睡眠の問題だけでなく日中の生活を含めた24時間の生活の問題として捉えるほうが良いことも多い。したがって、不眠症治療もこのような枠組みの中で、本人の睡眠に関連した問題を、起床時刻や就床時刻、日中の活動性や仕事のないようなど生活全般の様子や、性格傾向などを含めた本人の特質、職場の人間関係や家族関係などを含めた日中のストレス要因などを総合的に詳細に問診する必要がある。その上で、医師の側からは問題点をリストアップしながら、これを解決していくという方向性で行われることが良い。そう考えると、これは一般の臨床における全人的医療という視点と一致するわけで、いわば臨床活動においては当然の考え方とも言えよう。本稿ではこういった不眠症の特質を考えながら、不眠症の臨床について概説してみたい。

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