リオデジャネイロオリンピックは、日本のメダルラッシュで盛り上がっていますね。どの選手も、本当によく頑張って思います。競技によっては、必ずしも日本で良い環境で練習できない選手も居るのですが、それでも精一杯の試合をしている姿は、とても美しく思います。
その中でも、個人的にもよく知っている選手が活躍しているのは、本当に嬉しいことです。今朝のテレビでは、大迫傑君の走りを見ました。大迫君は、2014年に早稲田大学スポーツ科学部を卒業していますが、卒業までの2年半は私のゼミに所属していました。ゼミの同期は、比較的有名な選手としては、湘南ベルマーレの三竿雄斗などがいます。三竿君も私のゼミ生でした。
オリンピックで大迫君が走っている姿をみて、素晴らしいと思いました。彼は学生時代は優れた選手だったとおもいますが、一緒に走った日本人選手を周回遅れにするほどの力があったわけでもなかったと思います。実際に昨年の全日本選手権では優勝を逃して、地面を拳で叩くシーンをみました。しかし、今年の全日本選手権では、他の選手を全く寄せ付けない走りで優勝。オリンピックでは、流石に上位は難しかったのですが、日本人として良い走りをしたと思います。
このような変化は、多分オレゴンナイキプロジェクトでの科学的トレーニングによるものが大きいように思います。彼が、このようなプロジェクトに所属できたのは本当に幸運だったと思いますし、更には、スポーツ科学が記録の向上に非常に有用なのだということを示しているとも思います。
大学時代のことを含めた、
競技への考え方に関する彼のブログがありました。アメリカに住んでの彼の感想は、私が1990年からカリフォルニア大学で研究生活を送った時の時の印象とほとんど重複しています。未だに、それはアメリカの特徴なのか、それとも自分が管理職でなく、会議にも何も出席せず、研究だけやれば良い身分だったからなのかは、よく分かりません。ただ、少なくとも日本にはこのようなポジションは少ないのは確かです。多分、競技においてもそうなのではないかと思います。彼が言うところの、目的に向かってシンプルに努力することの大切さは、とても参考になります。今は、この仕事をする。そして、次は次の仕事をするというシンプルさです。このような発想の転換を多くしていく必要のある分野は、スポーツのトレーニングにかぎらず多くあるのではないかと思います。何よりも嬉しく思ったのは、彼がそのようなことに気づき、更にはこれからの人生で、日本の競技の指導者になった時にそれを活かしていける人材に成長しつつあることです。
まだまだ、彼の競技人生は続きますが、多くを感じながら、頑張って欲しいと思います。