このエントリーは前回3月に書きましたが、その後も睡眠専門外来には、日中の眠気で訪れて、注意欠如障害の症状を呈する患者さんが多く訪問しています。このようなケースに関して、推察される神経メカニズムと治療について、最近考えるところがあるのでまとめてみようと思います。
注意欠如障害は、ノルアドレナリンおよびドパミンという神経伝達物質(神経細胞同士の信号を伝達するための物質)の低下が背景に想定されます。これは、注意欠如障害治療薬の作用機序から推測されるものですが、ご存知のようにストラテラはノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、ノルアドレナリン機能を高めます。また、メチルフェニデートは、主にはドパミンの再取り込みを阻害して、ドパミン機能を高めます。
これらの薬物が関与するノルアドレナリンやドパミンは、睡眠覚醒にも関与しています。
ノルアドレナリンを神経伝達物質とする神経細胞は、脳幹部にある青斑核という神経細胞群に多く含まれています。青斑核は、ですので、ノルアドレナリンの起始核とも呼ばれています。青斑核にあるノルアドレナリン神経細胞は、長く軸索(神経線維)を伸ばして、大脳皮質全体に投射するようにノルアドレナリンを送っています。ノルアドレナリンは軸索をとおって脳全体に送られ、そこで他の神経細胞に対して影響を与えるわけです。
日本財団のホームページに良い画像があったので、転載します。
注意欠如障害は、ノルアドレナリンおよびドパミンという神経伝達物質(神経細胞同士の信号を伝達するための物質)の低下が背景に想定されます。これは、注意欠如障害治療薬の作用機序から推測されるものですが、ご存知のようにストラテラはノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、ノルアドレナリン機能を高めます。また、メチルフェニデートは、主にはドパミンの再取り込みを阻害して、ドパミン機能を高めます。
これらの薬物が関与するノルアドレナリンやドパミンは、睡眠覚醒にも関与しています。
ノルアドレナリンを神経伝達物質とする神経細胞は、脳幹部にある青斑核という神経細胞群に多く含まれています。青斑核は、ですので、ノルアドレナリンの起始核とも呼ばれています。青斑核にあるノルアドレナリン神経細胞は、長く軸索(神経線維)を伸ばして、大脳皮質全体に投射するようにノルアドレナリンを送っています。ノルアドレナリンは軸索をとおって脳全体に送られ、そこで他の神経細胞に対して影響を与えるわけです。
日本財団のホームページに良い画像があったので、転載します。
この画像をみると、脳幹部の青斑核から大脳全体にノルアドレナリン神経が投射している様子が示されています。この図の上部に「覚醒・注意」と書いてありますが、このようにノルアドレナリン神経は、覚醒に関与している神経伝達物質です。
注意欠如障害の患者さんで、日中の眠気を主訴に訪れる方が多いのをみると、一つにはこのノルアドレナリン系の機能低下が関与しているのかとも思います。
ストラテラ(アトモキセチン)を投与して、ノルアドレナリン系の機能を高めると、これが解決する成人のケースはあります。また、割合に多くの患者さんが朝の寝起きがよくなる、睡眠が安定するというようなことを言われます。今後の研究課題として、ADHDの患者さんの睡眠について、投薬前後で終夜睡眠ポリグラフを記録して、比較してみると面白いのではないかとも思いました。
しかし、小児で経験したある症例では、ストラテラではほとんど効果がありませんでした。このように、必ずしもノルアドレナリン系だけが関与しているわけでもないのかもしれません。また、薬物の効果だけで、神経伝達物質を完全に同定することも不可能だとも思います。
いずれにしても、昼間の眠気と神経伝達物質の関係については興味深く感じていますので、いろいろと考えてみたいと思っています。
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