2017年4月4日火曜日

東京医科歯科大学医学部附属病院での診療

本年4月から、それまで金曜日に行っていた東京医科歯科大学へ、月曜日に行くことになりました。主な業務は、研修医の指導と、睡眠医学のコンサルト、スポーツサイエンス機構の会議などです。

4月から自分のクリニックを開業し、東京医科歯科大学に行く意味はいろいろあります。一つは大学病院という場で、いろいろな情報を取り込むことです。開業をしていると、新しい情報から少しずつ遠ざかってしまうので、大学病院の先生方と交流することで、新しい情報を取り込むことができます。特に大学病院には若い優秀な医者がおおくいますので、彼らとの交流は大切です。また、研究的な刺激も大学病院にはあるように思います。

東京医科歯科大学附属病院の精神科は、私が研修をした病院で、自分自身も幾分かの貢献でもできれば良いと思っています。

また、4月から気持ちを新たに通いたいと思っています。

2017年4月1日土曜日

すなおクリニック 

私は、早稲田大学を退職し、臨床活動に専念するため、さいたま市大宮区に「すなおクリニック」を開業いたしました。すなおクリニックは、「スリープ・メンタルヘルス 総合ケア」をその診療方針として、精神疾患・睡眠疾患の全般について、総合的に治療いたします。

私自身は、日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会睡眠医療認定医師の資格をもって、スリープ・メンタルヘルスについて総合的で、専門性の高いケアを行っていきたいと考えています。

また、睡眠時無呼吸症候群や、ナルコレプシー、むずむず脚症候群などの睡眠疾患に対する専門的治療だけでなく、早稲田大学スポーツ科学学術院においての研究・教育の経験をもとに、

1.身体運動や栄養を含めた、生活習慣へのアドバイスを通じて、精神的にも身体的にもより健康な生活を手に入れること
2.高齢者においても、動かないことによる筋力の低下から、日中の活動が低下し、更に睡眠の質の低下を招くという悪循環を、身体運動によって筋力を増し、動けるようになる中で、気分の改善、睡眠の改善をはかる治療をおこなっていくこと
3.学生指導の経験をもとに、社会の中での人間関係などについての悩みについて、より具体的に解決できる方法についてのカウンセリングをおこなうこと
4.これまでの、発達障害についての臨床経験と大学での経験をもとに、成人発達障害についてより快適な生活を目指す治療をおこなうこと

などを行っていきたいと思っています。

精神科・心療内科の治療は、とかく薬物療法に頼りがちです。このクリニックでは、薬物療法も他の治療法の一部と位置づけて、患者さんの話に十分耳を傾けるとともに、その生活の状況も伺い、運動、睡眠、食事などを含めた生活の仕方を一緒に考えメンタルヘルスを改善する治療を行いたいと思っています。これは、うつ病、睡眠関連疾患、発達障害、認知症、などどの疾患についても言えることです。

どうぞ、おいでください。よろしくお願い致します。

2017年4月1日
すなおクリニック 院長
内田 直

2017年3月27日月曜日

2017 最後の卒業式

卒業式に送り出す最後のゼミ生たちと
私は今年度で、早稲田大学を早期定年退職します。そのため、昨日は最後の卒業式になりました。一緒に写っているのが最後のゼミ生たちです。私は、4月からは自分自身のクリニックでの臨床活動に専念します。この日は、卒業生を送り出す会をやって、とても楽しい時間を過ごすことができました。ゼミ生たちも、花束と素敵なプレゼントをくれました。まだまだ続く彼らの人生に栄光あれと思います。

早稲田大学スポーツ科学部では本当に多くを学びました。健康に生活するということの大切さ。そのために、体を動かすということの大事さ。更には、それを通じて人とのコミュニケーションをはかり、相手を尊敬するという気持ち。早稲田大学の前に勤務していた研究所の10年とは全く違った生活でした。

この中で、自分はほんとうの意味での、「健康」を目標として、精神科治療を行うということを学んだ気がします。臨床をやらせていただいていた、あべクリニックではこういったアイディアを様々な形で実践させていただきました。また、平沢記念病院では平澤秀人先生に、高齢者の臨床の多くを学びました。その後、平澤先生は平沢スリープ・メンタルクリニック所沢でオープンされています。

4月からは、自分自身の臨床の場で、今まで学んだことを実践していきたいと思います。そういう意味では、今日は私自身の卒業式でもあります。自分も、卒業生として写真に写っていると思うと、こんなにたくましい同級生と一緒に卒業できるということがとても励みになります。

ここのところ、忙しさもありブログの更新を怠っていましたが、4月からはまたしっかりと更新していきたいと思っています。

2017年2月10日金曜日

サッカー経験者は長く目を向けたユニフォームを好きになる 視線を効果的に誘導する方法に活用

ながく、宮崎真教授(静岡大学)と続けてきた共同研究の結果が論文発表され、早稲田大学からプレスリリースもされました。

https://www.waseda.jp/top/news/48167

この研究は、以前私の研究室に在籍していた宮崎先生(認知脳科学/認知行動科学)に、私の大学院に入り、マーケティングに興味がある学生を紹介し、そこから、スポーツ、脳科学、マーケティングに関連したテーマを考えていった末にできた研究です。

研究の内容は、上記のURLをご覧になると詳しく書いてありますが、サッカーの経験者である場合に、長く視線を誘導したユニフォームを好きになったということが、非常に興味深い点です。ただ単に、ものを長くみるというだけでなく、その中に様々な意味付けができる資質が関係している可能性があると思います。サッカー競技を続けることによって、単に色の違うシャツと言うだけでなく、様々な意味付けがそこに出てくるのではないかとも考えられます。

このような研究は、狭い意味での私の専門ではありませんが、このような認知行動科学の知見や、この研究のように実際に研究にある程度自分が関わるということが、人の心の動きを探るという視点に、非常に参考になります。

普段の臨床においても、このような研究の経験をバックグラウンドに持っていると、診察場面での気付きにも繋がるように感じました。


2017年1月20日金曜日

睡眠時間の短縮が肥満リスクを増加させるメカニズムを解明 - 花王との共同研究

株式会社花王と、以前から行っていた短時間睡眠と代謝に関連した研究が、論文として発表されました。これにともなって、早稲田大学と花王の両方からプレスリリースが出されました。

論文は以下のものです。
http://www.nature.com/articles/srep39640

英国Nature Publishing Groupの電子ジャーナルScientific Reportsに2017年1月10日にオンラインで掲載されました。

この研究の詳細は、早稲田大学のプレスリリースをお読みください。
https://www.waseda.jp/top/news/47804

この研究は、花王の研究所が所有している、メタボリックチャンバーの使用なしにはできない研究でした。我々の睡眠の生理学測定についての技術と、花王の代謝に関連した研究の技術の両者の協力で、非常に興味深い研究ができたと思います。

睡眠時間が十分でない生活をすると、食欲が増し、肥満のリスクが増加する。十分な睡眠をとることが、健康な体を維持する上でも重要な事が明らかになりました。


2017年1月4日水曜日

おだわらっ子の約束

お正月はいかがお過ごしだったでしょうか。私は、例年通り(今年は家内と)、箱根駅伝の応援に行きました。残念ながら、今年は早稲田大学の選手としては、私のゼミ生は出場しなかったのですが、応援の場所としては、7区の小田原を選びました。過去2年は、6区を走る選手を応援していたので、小田原まで行くのは経験がありましたが、小田原で応援したことはありませんでした。

小田原は、非常によいところでした。まだ朝早かったので、応援までの時間もあり、小田原城址公園に入りました。人も少なかったのですが、広々として美しい公園でした。更に、公園内には、報徳二宮神社があり、二宮金次郎の像のオリジナルが見られます。境内には、きんじろうカフェなどがあって、とても良い雰囲気です。

隣には、児童図書館があるのですが、そこで面白いものを見つけました。「おだわらっ子の約束」という掲示なのですが、これが、非常に理にかなった約束なので、写真に撮ってきました。

ここに書かれていること、特に、「早寝早起きをして、朝ご飯を食べます。」というのは、いろいろな形で私が患者様にもお話していることで、これも、人生訓というような上から目線ではなく、自然にそういうことができるようになってくると、生活も安定してきますよ、というような意味で大事なことだと思っています。また、そういう努力の方向を頭に置いておくことも大事だと思います。

大きなシュロの木の横にあるこの看板は、気候の温暖な小田原らしさもかもしだして、お正月から良い発見をしたという気分になりました。

早稲田大学は、3位でしたがよく皆頑張ったと思います。上尾のハーフマラソンのあたりからは、密着して応援していましたが、それぞれの選手がそれぞれの思いをもって走る姿は、やはり大学スポーツならではだと思いました。

観戦のあとは、海辺に行き、家内と海を眺めて、帰りには家内の実家によって新年のご挨拶をして夜に帰宅しました。

良いお正月の一日が過ごせました。

2016年12月29日木曜日

女性と睡眠 (3) 妊娠と睡眠

最近、東京医科歯科大学で、産婦人科のグループと妊婦の睡眠についてディスカッションする機会がありました。睡眠専門外来に来るほどでない程度の妊婦の睡眠の問題は、我々にとってもとても勉強になるものです。また、不眠症やうつ病、その他の精神疾患で外来に受診されている患者様が、妊娠するということもありますので、このような問題について産婦人科の視点をよく知っておくということも大事だと思います。

女性は、10ヶ月もの長期にわたって、自分だけでなく
生まれてくる赤ちゃんを一日24時間感じながら
生活をするという時期をへて出産します。
男性には体験できない貴重な経験です。
妊婦に比較的よく見られる睡眠の障害についての研究は、東京医科歯科大学の精神科の阿部又一郎先生に教えていただいた下記のものを読んでみました。

S. Suxuki, L. Dennerstein, K. M. Greenwood, S. M. Armstrong and E. Satohisa. Sleeping patterns during pregnancy in Japanese women. J. Psychosom. Obstet. Cynecol. 15 (1994) 19-26

この論文は、札幌医大で行われた調査に基づいたものだということです。時期は、秋から冬で、睡眠日誌と質問紙による調査です。(睡眠日誌は、実際の患者さんにも私はよく用いますが、簡便でいろいろなことが分かる方法だと思っています。)

結果として、9割近い(88%)方々が妊娠して睡眠が変化したと答えているということです。また、妊娠期間を3つに分けた最初の3分の1の期間では、睡眠の質は悪化し、真ん中の3分の1の期間では、改善し、その後妊娠後期の3分の1の期間では再び悪化するという変化があるということでした。

特に、妊娠の前期は、悪阻のため、妊娠の後期では、お腹が大きくなってくるために、頻尿があり、腰や背中の痛み、そして胎児の動きによって睡眠が阻害されるということもあるようです。

その他、参加の先生方とのディスカッションでは、妊娠期間中の睡眠の質と、出産後の産褥期のうつ状態などとの関連も話し合われました。しかし、この分野はまだ十分な研究が行われているようではないようです。


もう一つは、妊娠期間中、授乳期間中に睡眠に関わる薬物投与がどうかということが有ります。

妊娠中の薬物投与は特に慎重にしたほうが良いと思いますが、妊娠継続のために薬物治療を続けたほうがければ相対的な重要性のために、続ける場合もあると思います。しかし、その場合の適応や、薬物の選択、投与量などは、主治医と慎重に相談する必要はあると思います。