2016年11月26日土曜日

フィデル・カストロ議長の死を悼む (1)

以前キューバ訪問のエントリーを書きました。2002年の12月にキューバに行った時の話です。その中ではまだ触れていませんでしたが、フィデル・カストロ議長に面会するチャンスを得ました。そのことをすこし書いてみたいと思います。

私は自分でこの面会をアレンジしたわけではないので、これはすべて聞き伝いの話ですが、安部総理のような訪問は別として、一般にはカストロ議長にアポイントメントを取ることはできないようです。私が、キューバに行ったのは、日本キューバ経済懇話会の科学技術部会担当者として行くように言われたのですが、これは以前のエントリーに書いたように、キューバ神経科学研究所のペドロ・バルデス所長との交流によるものからでした。

フィデル・カストロ議長との懇談の場で
2002年、もう14年前ですが、自分も若いですね
キューバについて、様々な施設を訪問し、他の訪問団の面々は経済面での交流を試みたわけですが、私は主にはキューバ神経科学研究所を訪問したり、私自身の調査対象である、ハバナ市内の精神科のディケア施設などを訪問したり、またスポーツ科学の研究施設を訪問したりしていました。

ある日、もしからしたらカストロ議長に会えるかもしれないという噂が訪問団に流れました。この噂は、一体どこから来たものかは不明なのですが、不確かだがそうらしいということでした。しかし、だからといって、いつどこに集まるということは特に指示はありませんでした。例によって、私が神経科学研究所を訪問していると、研究所の面々から、「お前はフィデルに会うんだろう。」と言われました。私は、「噂だろう。」と笑って話しましたが、彼らは、もしあったら神経科学の研究もよくやっていると言っておいてくれと話されました。

キューバはご存知のように社会主義国ですが、メンタリティーは明るいです。また、国家の施設のトップの人達は、ファミリーのように交流があるようにも思えました。ただ、所長のペドロ・バルデスは、長いことフィデルとは話をしていないなぁと言っていたので、そんなに頻繁に出会うわけでもなさそうでした。

そんな中で、急に電話があり、すぐホテルに戻るようにと言う招集がかかりました。目的は分かりませんが、すぐ帰れということです。帰ったところ、バスが何時にロビー前に来るからそれに間に合うように準備をするようにということでした。はっきりとした指示はないのですが、噂で、どうやら「革命宮殿」に行くようだということでした。私は、スーツに着替えて集合時刻に間に合うようにロビーに集合しました。

バスに乗り込み、そしてはっきりと革命宮殿に行くと情報が入りました。いよいよフィデル・カストロ議長に面会ができるようです。胸が高鳴るのを感じました(つづく)。

2016年11月21日月曜日

上尾シティーマラソン

上尾シティーマラソンに参加しました。参加した理由は、私も来年3月に早稲田大学を退職するので、その前に早稲田大学の駅伝選手たちと一緒に走ってみたかったからです。この上尾シティーマラソンは、ハーフマラソンと5kmのエントリーがありますが、私はハーフでなく、5kmにエントリーしました。

私のエントリーは12011です。
勿論、学生たちはハーフです。たくさんの大学が参加していますが、箱根駅伝へのコンディションチェックの位置づけにもなっているようです。この大会が、学生にとってはとても大事な大会であることは以前から知っていたのですが、参加しようと思ってなかなか参加できずにいました。

結果は、30分を切れたと思いますが、エントリーのナンバーと結果に出ている人の名前が違うなどで、チップによる自分の結果は分かりませんでした。多分28分くらいだと思います。

それよりも、早稲田大学の調子が良かったのがとても嬉しかったです。あと、1年少しで箱根駅伝です。2017年は、是非優勝してもらいたいものです。

2016年11月15日火曜日

仕事が睡眠確保の妨げに 厚労省調査 (朝日新聞記事)

朝日新聞の記事によれば、厚生労働省の国民健康・栄養調査によって、20代から50代の男性の3−4割の人たちが、仕事が忙しくて眠る時間が取れないということが明らかになったということです。一般の人達に対する調査なので、頭に入れておく必要があると思いました。

私が普段接している患者さんは、何らかの問題があってクリニックに来る人達なので、いわゆる一般人口とは違います。しかし、一般人口のなかで3−4割という高い割合の人達が仕事が原因で眠れないと思っているのは、非常に大きな問題だと思いました。

ある人の睡眠時間がどのくらいかということは、なかなか正確には図りにくい面があります。勿論、活動量計と呼ばれている、多くは腕時計型の装置を用いて24時間活動量を測定すると、その中で睡眠をとっている時間帯をある程度正確に特定することはできます。しかし、そういったものなしに、ただ何時間くらいの睡眠時間ですかと聞くと、多くは7時間くらいかなとか、6時間半くらいかなと答えますが、実際に測定してみると大抵はそれよりも短い時間になる場合が多いです。幾つかの理由が考えられますが、一つは普通に満足して眠る睡眠時間を平均的睡眠時間として、それを答えているということがあります。しかし、実際は、3日に一度くらいは飲み会があったり、遅くなったりして、平均するとそれよりも、30分からときには1時間位短い実測値となるということです。あるいは、布団に入ったあとに、スマホをやったりするのが習慣になっているけれども、その時間は入れていないという場合もあると思います。

私の患者さんの中には、睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP(持続式陽圧呼吸療法)をやっている人たちが大勢居ます。最初は、日中の眠気ということで来院され、無呼吸が発見されCPAPを開始するわけですが、これによってCPAPをつけている毎日の時間がわかります。その中には、睡眠時間がとても短い方もおられます。そうしますと、CPAPをやっても、絶対的な睡眠時間が短ければ、やはり日中は眠いわけです。そういった中で、忙しい仕事をしますから、当然ストレスはより大きくなり、結果としてはうつ状態になる人も居ます。

この記事は、仕事が睡眠確保の妨げになっているということですが、雇用者から見ると、「睡眠が、仕事時間確保の妨げになっている」というような意識があるのかもしれません。そうであれば、労働者が健康に仕事を続ける環境を阻害するという結果になっており、これは改善する必要があるとも思います。このような、勤務時間についてのデータは、今回の電通の例を考えても、正確でなく企業に都合の悪い部分は隠蔽されてしまっているかもしれません。

いずれにしても、このデータは深刻な事態で、早急に改善されるものだとも思いました。