すなおクリニックの診療で、過眠症のケースが増えています。
この中で、MSLTの解釈について難しいと思っています。これは、すでにブログにも書きましたが、4回やるか5回やるかで平均睡眠潜時が変わってくる検査は、検査の一義性がなく、不備のある検査だという気がします。また、8分をこえても日中の過眠を訴える中に、ADHDやASDなどの発達障害があることは、私自身がここ4−5年取り組んでいる課題ですが、このようなケースには、DSM-5のADHD診断基準に照らして診断可能な場合には、コンサータ、ストラテラの服用も選択肢に入れています。眠気が強い場合には、コンサータを投与することが多いですが、ストラテラのケースもみられます。
一般には、過眠症治療薬のモディダールはヒスタミン系への作用が主体で、依存性が少ないと書かれていますが、日本医大の大久保教授らの論文ではドパミントランスポーターへの阻害作用も非常に強くて、報酬系を賦活することが示唆されています。
そう考えると、モディオダールもリタリンなどと比較して特別な薬剤ではなく、更には、ADHDにも効果があるとも考えられます。実際に海外論文ではADHD治療に効果がある可能性を示唆するものもあります。
Modafinil for the treatment of attention-deficit/hyperactivity disorder: A meta-analysis.
ADHD症状および、MSLTで過眠症の当てはまるケースには、どちらも投与が可能ですが、一般的には頭痛や同期などの副作用は、コンサータとモディオダールで変わりないあるいは、コンサータのほうが少ないという印象もあります。
これらを総合して考えると、検査だけでなく、様々な臨床症状(本人の困っている点を含めて)総合的に話を聞きながら、睡眠時間の延長を含めた生活の改善、慎重な薬物の選択を通じて日中の過度の眠気で困っている患者様のための生活改善のための治療方針を考えていくことの重要性を感じます。
2018年1月22日月曜日
2017年11月14日火曜日
過眠症の診断のMSLT検査について思うこと
2017年9月から本格的に、すなおクリニックにて、MSLT検査をはじめました。MSLT検査は、過眠症の診断のための客観的検査で、一日4-5回の昼寝を、暗い防音の部屋でしてもらい、眠り込む時間(睡眠潜時)を測定するものです。これで、平均8分以内の睡眠潜時があれば、過眠症と診断でき、更には、15分以内にレム睡眠が出現するSOREM(sleep onset REM)の回数などによって、ナルコレプシーと診断できるかどうかが決まってきます。
これらの診断基準は、ICSD-3(睡眠障害の国際分類 第3版)によるものですが、この中にも、診断基準の他に患者さんの状況について、よく確認して診断すべきとされても居ます。特発性過眠症は、日中の眠気はあるが、眠気の性状がナルコレプシーとは異なり、短時間の睡眠でも頭がすっきりしないということや、SOREMの特徴がないという点が異なった疾患であると考えられています。
これらを総合的に考えると、睡眠潜時が平均8分以内ということがまずは、必要な要件ですが、これについては、幾つかのポイントがあります。
緊張が高い患者さんで、初回に眠らなかった場合、記録は20分間行いますので、初回の睡眠潜時が20分になります。その場合、残り4回が、睡眠潜時6分でも、全体が平均8分以内になりませんので、基準を満たしません。
また、SOREMがでない、あるいは最初の4回で2回以上SOREMが出れば、4回でやめることも可能ではあるのですが、その場合には、1回目に眠らなければ、基準を満たすためには残りは4分以内に眠らなければなりません。
更に、前日の睡眠を含め、普段の夜間睡眠は十分である上で日中の眠気があることが病的な眠気の意味であろうと思いますが、現代人は一般には、十分な睡眠を取っているとも言えないので、これをどう考えるかということにもなります。
更に、治療薬モディオダールとの関連についても
1.MSLTを行えないクリニック、あるいは検査をしていない患者さんにはモディオダールは投与できないか。
⇒ 添付文書をみると、投与できないことになっています。
2.MSLTで睡眠潜時が、8分以内だけれどもSOREMのない特発性過眠症には投与できないか。
⇒ 添付文書をみると投与できません。
このようなことで、いろいろと困る事例があるように思います。したがって、過眠症の診断と治療は、検査だけでなく、本人の生活史や、生活時間などについても十分な問診を行い、これらも考慮しながら行うことが必要になってくるのだと思います。
登録:
投稿 (Atom)
