2016年9月24日土曜日

抗NMDA受容体脳炎 読者の方のコメント

約2年前のエントリー、抗NMDA受容体脳炎について、読者の方からコメントが有りました。非常に貴重なコメントで、お嬢様がこの疾患に罹患されたようです。同じことが、この疾患に罹患した他の人におこらないようにとの、願いから書き込みをしていただきました。コメント欄ですと、人の目に触れにくいので、新しくエントリーを作って、掲載します。

このコメントをいただいた「みぃ」さんは、このエントリーをご覧になると思うので、もし何らかのメッセージのある方は、コメント欄に書き込んでいただいても良いと思います。

オリジナルのエントリーはこちらです。
抗NMDA受容体脳炎



<コメント>
私の8才の娘が2016年3月に発症しましたが、精神異常はなく、突然激しい頭痛を3/5に訴え、3/6夜間診療では、嘔吐下痢症と診断され(下痢も発熱も無かったが)、翌日小児科に受診し、紹介状を持って日赤に3/7昼には入院し3/13朝から意識不明となり経過観察され、3/14(月)に脳症確定し、原因が分からないままステロイドパルス療法等を直ぐに行い、そのまま寝たきりを5/7まで続け、5/8以降~意識が覚醒し、5/28に卵巣奇形腫がMRIで見つけられ(3/14と5/25のエコーでは発見できず)、6/15右側卵巣奇形を全摘出して、現在は普通学級に復学中。
意識が覚醒し出した頃から精神異常が出現し(主に暴力)、現在は少しずつ収まって来ています。

初期の精神異常が見られなかっただけで、他の症状は全てこの坑NMDA受容体脳炎の症状が出ていました。

最初に精神異常が無いものあると言う事も考慮する余地ありです。

当初からこの脳症を疑ったのに、坑NMDA受容体脳炎検査には、4/1以降静岡の大学に依頼し、結果が出たのは9/6頃でした。
何故、他は早い検査結果が得られたのか、何故、私の娘の結果は遅かったのかも疑問でした。

この病気を疑ったなら、何処に検査依頼をするのがベストなのか、エコー検査だけでは写らないケースがある事も明記して欲しい。
ちなみに、4/7にCT検査をお願いしたが、被爆すると請け合って貰えなかったのも残念でした。


みぃ様

お嬢様のケースについて、書き込みをしていただき、大変ありがとうございました。とても貴重なコメントだと思います。経験を共有させていただきます。

医師が知るべき情報として提案されている点は、

1.初期に精神症状を呈さず、突然の激しい頭痛で発症し、意識レベルの低下から昏睡となる経過があること。
2.腹部超音波検査では、奇形腫が描出されない場合がある。このケースでは、MRIにより発見できた。
3.抗NMDA受容体抗体検査に時間がかかる。(少なくともこのケースでは。)

さて、最も重要なところでは、この疾患を疑ったらどこに確定診断を依頼するのが良いかということですが、これは医者の仕事だとも思います。

例えば、インターネットで調べると、北里大学神経内科の先生が論文を書いています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/49/11/49_11_774/_pdf

金沢医科大学総合医学研究所の方も、研究されているようです。
https://www.cosmic-jpn.co.jp/lecture/?confirm=ok&mca=&ca=&id=1457482639-683123

また、私がブログに書いた、神林先生は、非常に優秀な臨床家でもあるので、適切に対応してくれる方だとも思います。

このような研究をされている先生は、この疾患についての知識は十分にあると思われるので、ケースについての問い合わせをすれば、適切な指示をしてくれるように思います。ただ、自宅の場所から遠いなどのこともあり、専門家が必ずしも近くにいないときには、家族だけではどうしたらよいかわからないということもあるかもしれません。また、医師も全く知らない先生に連絡をとることは躊躇される面もあるかもしれません。

他のエントリーにもある遠隔医療は、こういったときにも役に立つ方法ではないかと思います。国内にいいる専門家へのコンサルトが、遠隔医療相談という形で、簡単にできる仕組みがあれば、適切な対応がもっとはやくできていたかもしれません。

抗NMDA受容体脳炎にかぎらず、こういった診断の難しい疾患についての情報を早く得られるような仕組みは、今後取り組んでいかなくれはならない課題だとも思いました。


内田先生

親切なご回答をありがとうございます。

私の娘は、3/23には寝た切り宣告に近いコメントもされたのですが、幸ににも現在は性格が変貌し攻撃的にはなりましたが、元気に学校でやれてるのはありがたく幸せを強く感じます。

坑NMDA受容体脳炎と早期に診断されませんでしたが、(早く奇形腫を摘出して欲しかったが、それはそれ…。)ステロイドパルス療法と献血製剤の免疫療法以外の薬は、ほとんど使用しなかった事が幸運の様に思います。

追記して、後にこれが役に立つならと思いコメントさせて頂きます


娘は、他の友達と比べ小柄なタイプで、発達も遅いタイプでした。入院して2ヶ月で、体重の1/6減少(25➡19キロ)
してたのに、5月初旬から胸が膨らみ始め、毛深くなりました。私は医師や看護師さんにも、ホルモンバランスが
狂っているから、奇形腫がある、人の組織のあるやつと訴えていました。目で見える変化を個人差と処理せずに見逃さないで病気と結び付けて検討の余地ありです。


それから、4月下旬に、瞼を開け放しが数日間続いていました。目が充血してたのですが、(花粉症かと勝手に思っていました)5/10まで治療せずにいました。これが、後に乾燥による角膜が剥がれて、新しい角膜に貼り付いて居たことが判明しました。

目が開け放しが続くと、角膜が剥がれる事がある。目を開けないのではなくて、開けられない状態だった。

こんなケースもあると明記して欲しいです。


それから、娘は、双子家系なのです(母親である私が双子、親戚にも双子が多数いる)が、卵巣奇形腫は双子が母親の胎内で分裂をしている時に、片方が発達出来ずに娘に吸収されてできた可能性はあるのでしょうか?

それから、予防接種を受けると翌日以降に発熱をしたり、ヒキツケたりしたのも 関係があるのでしょうか?

双子家系や予防接種で副反応が出やすい子は、卵巣奇形腫の確率が高いのでしょうか?

こんな事がこの坑NMDA受容体脳炎に、少しでも関係があるのなら、娘と同じ育歴のある子どもは、この脳炎の可能性を知らせてあげる事が可能になるのであれば、発病した時の初動医療に手助けになるのなら、娘の症例を次に役立てるなら嬉しいです。脳炎を発病する前に、卵巣奇形腫を発見できるのなら、更に嬉しいです。

本当に残酷な迄に、娘や私たち家族をドン底に何度も陥れるこの脳炎が憎いです。命が助かった後も、精神異常やら、人格の変貌に苦しめられ、絶望を何度も味わっています。

それでも、今は、生きてくれる事に感謝しています。4/1から主治医になって下さった今の主治医には心から感謝しています。ひとつひとつの言葉が、温かくて闘病中も現在も救われています

沢山の病気の中から、診断し治療する事は、本当に大変な事だと実感しました。

少ない症例の病気なら、私は私にできる事を何かに役立てる事があるならしたいです。



2016年9月18日日曜日

日産リーフに乗り換えて

我が家は、一台の車を長く乗る傾向があります。今回、これまで乗っていたスバルフォレスターを買い替えました。15年以上乗ったと思います。買い替えたのは、友人の医師から譲り受けた、一年落ちの日産リーフです。先日、のり替えの儀を行いました。

日産リーフに乗り換えて、既に2週間位になりますが、電気自動車に魅せられました。日産リーフは、日産のパッケージに入ると、月々1000円ほどの支払いで、日産の営業所で充電し放題です。そういう目で、日産の営業所を見たことはありませんでしたが、通勤路にも結構あることがわかります。一回の充電で、私の運転だと150km弱走れると出てきます。ガソリン車に比べれば、一回の充電で走れる距離は少ないのですが、しかし、毎日充電しても月1000円ですから、文句は言えません。更には、充電中には、エアコンをかけ、音楽をならして、タブレット端末に充電しながら待つこともできます。一回の充電は30分ほどかかりますが、全く苦ではありません。営業所がやっていれば、中でフリードリンクでコーヒーも飲めるようです。逆に言えば、月1000円で、コーヒー飲み放題もついてくるという事です。また、意外と充電器は空いています。

同じ色の、フォレスターとリーフ。
さようなら、フォレスター。子どもたちが小さいときから、頑張ってくれたね。
こんにちわリーフ。これから、よろしく。
乗り心地は、電池が重いので、わりと高級車の風格があります。また、当たり前ですが、とても静かです。タイヤと地面との音以外は聞こえません。市内走行では、トルクが有り、ガソリン車よりもむしろ快適です。高速道路に入ると、高速からの加速はやや弱い感じがありますが、それでも苦になることはありません。

エンジンルームをあけると、モーターが見えますが、ガソリンもオイルも使っていないので、とてもキレイです。ベタベタしたものは何もついておらず、すごく清潔な感じです。そういう意味では、排気ガスも全く出ませんし、エキゾーストパイプもついていません。間違えて、ガソリンスタンドに入っても、ガソリンを入れる口もありません。

多分、ガソリン車と比べて劣っているところは2つだと思います。
1.充電に時間がかかる。
2.一回の走行距離が短い。

これは、今後の技術の進歩の中で徐々に改善されていくことでしょう。

私は、今度はリーフを相当長く乗ることになるのだと思います。

2016年9月13日火曜日

第14回 日本スポーツ精神医学会

第14回 日本スポーツ精神医学会が、北里大学精神科 宮岡等教授を会長として開催されました。9月2日から4日のの間、品川区にある北里大学白金キャンパスにて行われました。

メインは、3日土曜日の学術集会ですが、本年は、宮岡会長の講演、元プロレスラーの小橋健太氏の講演、そして、J-リーグ村井満チェアマンの講演がありました。また、シンポジウムは、精神障害と知的障害のスポーツについて話し合われました。昼の教育講演は、ギャンブル依存についての北里大学蒲生裕司先生の話がありました。

宮岡先生の講演は、我々の学会について、非常に示唆に富むもので、私はとてもためになったと思っています。また、今後も宮岡先生には学会運営にご協力いただきたいと心から思いました。

会長の北里大学精神科教授 宮岡等先生と一緒に
小橋氏の講演もとても感動的なもので、このような学会講演は日本スポーツ精神医学会ならではだと思います。小橋氏が、プロレスでチャンピョンになりその2ヶ月後に腎臓がんが見つかり、それから治療復帰へのプロセス、そして、ご自身の心境の変化などについて、とつとつと語られ会場の聴衆に多くの感動を与えました。涙をながし、聞いている人たちもいました。

村井チェアマンは、学会に講演の時間だけでなく、長期にわたって滞在され、スポーツ選手のメンタルヘルスの問題について耳を傾けておられました。J-リーグはサッカーを広めるだけでなく、サッカーを通じての社会貢献活動をするということを主眼においているということを何度も強調されましたが、組織運営については能力の高い人だという認識を新たにしました。個人的にもお話させていただきましたが、これについてはまた別に取り上げたいと思って います。

教育講演の蒲生先生のお話は、途中からの参加でしたが、依存症について科学的メカニズムについて、お話されました。このお話は、私自身の臨床活動については、非常に参考になるお話でした。

シンポジウムは、精神障害、知的障害の障害者スポーツについての、様々な方々との取り組みについてでしたが、この分野も更に発展し、我々の学会も是非協力していきたいと思っています。


学会に先立った、理事会で新理事が決定され、学会の体制も新しくなりました。私自身は、理事長に再任され、今後の3年の任期の中で、学会を更に発展させ、システムも変えていきたいと考えております。日本スポーツ精神医学会を是非よろしくお願い致します。