Psychiatric Timesの記事を読んでいたところ、グーグルの生命科学部門がTom Inselを雇ったということが、米国の経済誌Forbesの記事として紹介されていました。(Google Life Sciences Hires The Government's Top Brain Scientistグーグルの生命科学部門が米国のトップ脳科学者を雇用)。Tom Inselは、NIMH(米国精神保健研究所)の所長だった人で、DSM-5に対しては批判的な意見を持っていた人です。
私が何より驚いたのは、Googleがライフ・サイエンスの部門を持っているということです。正確には今年立ち上がったグループ会社Alphabetですが、すでにライフ・サイエンス部門においても幾つかの成果を上げているようです。
Forbesに引用されていたのは(多分、最初の大きな成果なのだと思いますが)、コンタクトレンズに血糖値を経時的にモニターするデバイスを組み込んで、血糖のモニターを容易にする装置を開発したというものです。これは、まだ実用化段階ではないようですが、臨床治験にまもなく入るようです。このような臨床治験などについては、大手製薬メーカーであるAbbvie社などとも資金協力するようなことが書いてありました。Abbvie社は、精神科医をしているとルボックス(Fulvoxamine)という抗うつ薬くらいでしか関連がないのですが、抗TNF-α薬「ヒュミラ」などが主力である、大きな製薬メーカーです。
さて、Tom Inselは、自身のブログでこの「転職」について述べているようで、Forbesにも引用されていました。彼は、コンタクトレンズで血糖値測定をするような斬新なアイディアが、精神神経疾患においても実現できると良いと考えているようです。
Forbesの記事では、彼は、共通した脳内の病態があるにも関わらず、表現形としての精神症状がことなることがあり、現在のDSMなどの診断基準では、それにもかかわらず表現形で精神疾患をカテゴライズしようとするために、異なった病態のものが一つの診断名の中に入ってしまうと考えている。Inselはむしろ、表現形(症状)にかかわらず、病態によって疾患を分類し、それぞれに適した治療を行う方向を考えていると紹介されています。実際に、NIMHにおいても彼はDSM-5とは異なったRDC(Research Diagnostic Criteria 研究用診断基準)を作ろうと試みていたのはこういった考えからだと思います。
このような、医療における斬新な試みが新しい物を生む可能性は、アメリカにおいてもかなり大変な要素もあるようで、Forbesにも医療への異種業の参入は、規則によってがんじがらめになった世界ではなかなか困難があると書かれていました。しかし、Googleのような新しい発想をもった会社が、更に新しい発想をもった先端臨床脳科学者を雇用し、そして何らかのブレークスルーを作っていけると胸がすく思いがあります。
我が国においても、規制緩和により、十分に科学的な根拠に基づいた新しい治療や、新しい工夫のある治療が供給されるようになると、臨床業務もやりがいのあるものになってくるのではないかと思いました。
私が何より驚いたのは、Googleがライフ・サイエンスの部門を持っているということです。正確には今年立ち上がったグループ会社Alphabetですが、すでにライフ・サイエンス部門においても幾つかの成果を上げているようです。
Forbesに引用されていたのは(多分、最初の大きな成果なのだと思いますが)、コンタクトレンズに血糖値を経時的にモニターするデバイスを組み込んで、血糖のモニターを容易にする装置を開発したというものです。これは、まだ実用化段階ではないようですが、臨床治験にまもなく入るようです。このような臨床治験などについては、大手製薬メーカーであるAbbvie社などとも資金協力するようなことが書いてありました。Abbvie社は、精神科医をしているとルボックス(Fulvoxamine)という抗うつ薬くらいでしか関連がないのですが、抗TNF-α薬「ヒュミラ」などが主力である、大きな製薬メーカーです。
さて、Tom Inselは、自身のブログでこの「転職」について述べているようで、Forbesにも引用されていました。彼は、コンタクトレンズで血糖値測定をするような斬新なアイディアが、精神神経疾患においても実現できると良いと考えているようです。
Forbesの記事では、彼は、共通した脳内の病態があるにも関わらず、表現形としての精神症状がことなることがあり、現在のDSMなどの診断基準では、それにもかかわらず表現形で精神疾患をカテゴライズしようとするために、異なった病態のものが一つの診断名の中に入ってしまうと考えている。Inselはむしろ、表現形(症状)にかかわらず、病態によって疾患を分類し、それぞれに適した治療を行う方向を考えていると紹介されています。実際に、NIMHにおいても彼はDSM-5とは異なったRDC(Research Diagnostic Criteria 研究用診断基準)を作ろうと試みていたのはこういった考えからだと思います。
このような、医療における斬新な試みが新しい物を生む可能性は、アメリカにおいてもかなり大変な要素もあるようで、Forbesにも医療への異種業の参入は、規則によってがんじがらめになった世界ではなかなか困難があると書かれていました。しかし、Googleのような新しい発想をもった会社が、更に新しい発想をもった先端臨床脳科学者を雇用し、そして何らかのブレークスルーを作っていけると胸がすく思いがあります。
我が国においても、規制緩和により、十分に科学的な根拠に基づいた新しい治療や、新しい工夫のある治療が供給されるようになると、臨床業務もやりがいのあるものになってくるのではないかと思いました。
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