2015年7月20日月曜日

睡眠障害の小冊子(私の編集)

医療関係者向けのCefiroという小冊子の、睡眠障害の特集を担当しました。

 PDFファイルへのリンク私の仲間の先生方に執筆をお願いし、良い物ができたと思います。

非売品なので、手に入りにくいと思いますので、PDFを掲載します。

こちらをクリックするとPDFが表示されます。

参考にしてください。

2015年7月16日木曜日

アルコールと睡眠

アメリカの睡眠医学の振興を行っている、National Sleep Foundationに、表題の記事が出ていました。お酒と睡眠の関係については、様々なところで質問されますし、私の「好きになる睡眠医学」にもその項目があります。

個々に書かれている内容は、簡潔にうまくまとめられているので、紹介します。

副題は「ナイトキャップは、睡眠に対してあまり良い選択肢ではないかも…。」というようなものです。このぼかした表現が、まあ、あながち全部悪いとも言えませんが…という雰囲気にも感じられます。内容は至ってノーマルなもので、以下のとおりです。

Fact 1: Alcohol May Help You Fall Asleep Faster.
アルコールは、寝付きを良くするかもしれません。

これは、多くの人が経験していることですが、次のFact 2を御覧ください。


Fact 2: But That Sleep May Not Be Restful.
しかし、その睡眠は必ずしも疲れの取れる良いものではないかも…。

アルコールは睡眠の前半では、徐波睡眠(深いノンレム睡眠)を増やします。しかし、睡眠の後半では、目が冷めやすくなります。更に、レム睡眠は抑制されることになります。レム睡眠が抑制される、目覚めやすくなるような状態によって、お酒を飲まない睡眠に比べて、トータルでは室が落ちるということです。


Fact 3: Women Are More Likely to Be Affected.
女性のほうが、より影響を受けやすい。

同様にお酒を飲んだ場合は、女性のほうがその影響を受けやすいということが知られているようです。これは女性のほうが代謝が早いので、上記の睡眠が障害される2番めの状態に早く移行するからと説明されています。これは、私は知りませんでした。


Fact 4: Moderation Is Key.
中庸が鍵です。

大体、これがいつも落ちになりますね。お酒については、これに尽きると思います。好きな人が全くやめる必要はないと思いますが、飲み過ぎには注意ということですね。 

2015年7月13日月曜日

なでしこジャパン 準優勝 (最初の16分)

なでしこジャパンが、準優勝で帰国しました。我らが、早稲田大学スポーツ科学学術院教授 広瀬統一先生もフィジカルコーチとしての役割をしっかりと終えて帰国しました。ワールドカップ連覇はなりませんでしたが、2度の決勝進出はやはり素晴らしい出来だと思います。

私は、最初の16分間に5点のうち4点を取られたことは、しかし、反省の材料にはなるのではないかと思っています。私は、サッカーが好きなだけでサッカーの戦略的な専門家でも何でもないので、私の考察はあまり的を得ていないかもしれません。しかし、アマチュアレベルでもスポーツをやっていると、そう多くはないものの時々こういう場面に出会うように思います。

東洋経済の記事より
十分に練習はしていたのだけれども、何か歯車が合わない。ここで相手の調子が良いと、あれよあれよというまに、どんどんやられてしまう。こんな時に、どうしたら良いのか。

タイムアウト: サッカー意外の競技ではこういう時によく監督はタイムアウトをとります。お互いの実力が、タイムアウトをとっただけで変わるわけではないと思いますが、「流れを変える」という意味で、タイムアウトは意味が確実にあるように思えます。これは、「心理的な」作戦です。バレーボールなどのチーム競技でも、卓球などでもタイムアウトがとれたと思います。サッカーでは、タイムアウトは取れないのですが、私はラジオを聞いていて解説の早野宏史さんが、もう4点取られたあとだったか、「とにかくちょっと足が痛いって誰か倒れて、試合を切ったほうが良いですよ」と話していましたが、サッカーではこれも作戦としては大事なんだと思いました。自陣でボールを回すことの危うさが、試合開始直後の段階ではどうなのかはわかりませんが、時間稼ぎというのは、「流れを変える」という意味では、早い段階で何らかの、「流れを変える」「心理的な」決断がされても良かったのかもしれません。

経験のある選手の存在: そんな時にどうしたら良いのかは、私がこんなところで書くよりも、経験のある選手のほうがよく知っているでしょう。佐々木監督が早い段階で岩清水を下げ、澤を入れたのは私は意味のあることであると思いました。その後のなでしこの戦いぶりは、順当なものだったと思います。澤が先発に入るという選択肢は、今から考えればもしかしたらこういう試合では悪くなかったのかもしれませんが、これはあとから考えてそう思うだけのことです。これに関して言えば、澤と同等の経験をもつ選手を育てることが最も大切なことで、そして、これは実際になされていることです。したがって、結局のところはほんの少しの様々なずれが、今回のような結果につながったという一般的な解釈になるのかもしれません。

アメリカが強かったと言うのは絶対的事実として、認めざるを得ないと言うこともあります。

このような中でも、良かったのは、多くの若い選手がこの経験を共有できたことです。なでしこの選手はいつも明るく振舞っていますが、この経験がなんでもないものである訳はありません。この経験は、引退する澤だけでなく、若い選手に共有されている、そしてそれは未来の強さに必ずつながってくれるものと信じています。



関連記事: 東洋経済 セルジオ越後のコメント

2015年7月9日木曜日

映画: レオン(完全版) ジャン・レノ

レオンを見ました。この映画は、以前にも見たことがありましたが、久しぶりに見て、楽しめました。名画ですが、残虐シーンは多いので、苦手な方は注意が必要です。

あらすじは、ニューヨークの殺し屋レオンのアパートの隣の住人家族の父親が、麻薬取引に関わっていて殺されます。殺したのは、麻薬捜査官で麻薬売人と汚職でつながっている冷酷な男です。殺しの現場にたまたま娘のマチルダが居なかったのですが、帰ってきたところで隣の殺し屋のアパートに帰ってきたことを装って、助かりました。

その後、レオンとマチルダの奇妙な同居生活が始まるのですが、レオンもフランスで心に傷を追ってニューヨークに流れ付き、マフィアの親玉のトニーという男に雇われて生きているという男でした。

マチルダは、父親や継母には未練はないのですが、自分を慕っていた幼い弟まで殺されたことには恨みをもち、麻薬捜査官であるスタンという男に復讐をすることを決意します。その手助けをレオンにしてくれというわけです。

この映画の中には、いろいろと興味深いポイントが有ります。

レオンは、酒は飲まず牛乳を毎日多量に飲む習慣があります。殺し屋は酒は飲まない。決して意識を曇らせない、ということの象徴でしょうか。

レオンが、鉢植えの観葉植物を大事に育てているところ。これは、最後にシンボリックなシーンにその帰着点が現れます。

トニーという男が、親切そうに見えてずる賢い男で、こう言うとイタリアの方に失礼かもしれませんが、典型的イタリア移民のマフィアの振る舞いが興味深いこと。(彼の経営するイタリア料理店は、決して高級店ではないのですが、割りと美味しそうな感じで、ニューヨークに行ったら立ち寄ってみたい雰囲気です。)

スタンという麻薬取締官は、反社会的な人間として描かれています。

多分、2-3回めだと思いますが、また最後まで面白く見ました。

2015年7月6日月曜日

女性アスリートの月経異常

先日も投稿したように、早稲田大学で女性アスリートのサポートプロジェクトに参加しています。先日は、埼玉医科大学産婦人科の難波聡(なんばあきら)先生を招いたセミナーがありましたので参加しました。

女性アスリートの無月経という言うテーマでしたが、いろいろなエビデンスを教えて頂いて、ためになりました。一番怖いのは、無月経 ⇒ 女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の低下 ⇒ 骨粗しょう症 ということで、一生骨の弱い人生を歩むことになってしまうことです。

Support Female Athletes!
そこで、女性アスリートの無月経は、やはり避けるべきだと考えましたが、難波先生のお話の中でいくつもの示唆に富むポイントが有りましたので列挙したいと思います。


  • ジュニア世代では、無月経の人のほうが競技成績が上だが、シニアになると通常の月経のある人が上位になる。つまり大雑把に言えば、ジュニアで無月経になるほど練習をさせれば、その世代では競技力が上がるが、これはシニアにつながる競技力ではないということ。
  • 様々な競技で、競技力の高いジュニア世代は、一般の人たちと比較して、初潮年齢が高い。
  • しかし、競技現役中に月経が無かった選手でも、引退後は、比較的すみやかに月経が戻る。
  • また、競技現役中に月経がなかった選手の妊孕力(子供を生む能力)については、月経があった選手に比較して、有意に低いということはない。
  • 男女交際をしている選手は、月経が続いていることが多い。


などです。

これらのエビデンスを見ると、競技現役中に無月経であること自体については、さほど心配する必要は無いようにも思いますが、個人的には「成長期に、やはり十分な栄養を取らず、無月経で過ごすこと」については、好ましいことのようには思えません。もし、無月経でなかったとしても、競技力が保たれるのであればそれが一番好ましいことのように思います。そのためには、栄養についての配慮はかなり重要な事になるのではないでしょうか。この点については、このプロジェクトで勉強させていただきたいと思っています。

2015年7月2日木曜日

スポーツクラブ・スポーツジム

私は、仕事の関係でスポーツクラブ(スポーツジム)の会社とのつながりがあります。セントラルスポーツという会社で、全国に200件以上のスポーツクラブを展開しています。先日、その一つ、 大宮宮原店におじゃまする機会がありました。

セントラルスポーツ 大宮宮原店
なかなか、大きな良い施設です
実際に、クラブを使わせていただきました。私自身は、クラブの会員になって定期的に使うというほどではないのですが、実際に使ってみると、スポーツクラブは、スポーツのしやすい環境が整っていることはあらためて認識しました。私は、スポーツ科学部に勤務していますが、学生と運動しようと思ったらできるというのはありますが、最近は大学ではゼミのリクリエーションくらいしか運動しなくなってしまいました。運動と言えば、ほとんどは自分で歩くか走るかです。

クラブに行くと、まずはマシーントレーニングができるというのが利点です。問題は、私のようにたまにしか行かないと、その時に稼いでしまおうと思って、筋トレをやりすぎてしまうことです。案の定、そのような結果になりました。

以前私の研究室に居た、立命館大学の後藤先生の言うように、筋トレをやってから有酸素運動をすると、効率的に脂肪燃焼がなされるということを思い出して、筋トレのあと、エルゴメーターを使ってジョギングもしました。なかなか良い一日でありました。

ジムに行くと、マッチョな人が結構居ます。私が行った日は、長いこと倒立をしているマッチョな男性が居ました。そういう人たちをみると、運動をしようという励みになりますので、それもスポーツジムにいく利点だなとも思います。

手軽に運動するには、一回りジョギングをして家でシャワーを浴びるということなので、ついそれだけになってしまうのですが、以前にもブログで紹介したスポーツ科学部同僚で今をときめくなでしこジャパンのフィジカルトレーナー広瀬統一先生は、やはり仕事場では自分が運動するわけには行かないので、スポーツクラブに所属して、出張中でもちょっとした時間に運動するようにしていると言っていましたが、それは大事なことなのかもしれません。

習慣にしようと思います。

2015年6月29日月曜日

食事と記憶

大学の学部ゼミでは、各ゼミ生は必ず一度は自分の興味のある英文論文を探してきて、読むようにしています。多くは、私自身も読んだことがある、あるいは、だいたい内容を把握している論文なのですが、時に新しい知見に出会うこともあります。今回、しっかりとカロリーをとると記憶が良くなるという結果を示した、2012年のPLOS/Oneの論文を読んできた学生が居ました。読解力もよく、非常に参考になったので紹介したいと思います。詳細には、下記に出展をリンクし、抄録を載せましたので、御覧ください。


端的に言えば、食事をしっかりして記憶課題をやると、記憶が良くなるというものです。記憶課題は、単語を覚える宣言記憶課題と、タッピングによる手続き記憶課題を行っています。下記の図が実験の方法を示したものですが、一日目(Day1)の朝に、2つの記憶課題をやり、たくさん食事をする日、少ししか食べない日の2つのコンディションで、それぞれ、その夜にたっぷり眠る(7時間)と、断眠する(TSD)という2つの条件で夜を過ごします。食事について2条件、睡眠について2条件なので、合わせて4条件です。そして、それぞれ翌朝、どのくらい記憶が定着しているのかを調べるテストを行います。



結果としては、下の図のようになりました。

つまり、Aの方は、単語を覚える宣言記憶課題ですが、眠らないと良い成績がでません。また、食事とは関係ありませんでした。一方で、タッピングによる手続き記憶課題を見ると、眠れば食事の量にかぎらずよく記憶されるのですが(運動学習がしっかり行われる)、眠らなくても、しっかりと食事をしていれば眠った時と同じくらいしっかりと学習するということが示されています。
この結果には驚きました。食事は、大事ですね。


PLOS / One


  •    Published: June 29, 2012
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0040298



Abstract
Sleep enhances memory consolidation. Bearing in mind that food intake produces many metabolic signals that can influence memory processing in humans (e.g., insulin), the present study addressed the question as to whether the enhancing effect of sleep on memory consolidation is affected by the amount of energy consumed during the preceding daytime. Compared to sleep, nocturnal wakefulness has been shown to impair memory consolidation in humans. Thus, a second question was to examine whether the impaired memory consolidation associated with sleep deprivation (SD) could be compensated by increased daytime energy consumption. To these aims, 14 healthy normal-weight men learned a finger tapping sequence (procedural memory) and a list of semantically associated word pairs (declarative memory). After the learning period, standardized meals were administered, equaling either ~50% or ~150% of the estimated daily energy expenditure. In the morning, after sleep or wakefulness, memory consolidation was tested. Plasma glucose was measured both before learning and retrieval. Polysomnographic sleep recordings were performed by electroencephalography (EEG). Independent of energy intake, subjects recalled significantly more word pairs after sleep than they did after SD. When subjects stayed awake and received an energy oversupply, the number of correctly recalled finger sequences was equal to those seen after sleep. Plasma glucose did not differ among conditions, and sleep time in the sleep conditions was not influenced by the energy intake interventions. These data indicate that the daytime energy intake level affects neither sleep’s capacity to boost the consolidation of declarative and procedural memories, nor sleep’s quality. However, high energy intake was followed by an improved procedural but not declarative memory consolidation under conditions of SD. This suggests that the formation of procedural memory is not only triggered by sleep but is also sensitive to the fluctuations in the energy state of the body.