2018年1月22日月曜日

日中の過度の眠気再考

すなおクリニックの診療で、過眠症のケースが増えています。

この中で、MSLTの解釈について難しいと思っています。これは、すでにブログにも書きましたが、4回やるか5回やるかで平均睡眠潜時が変わってくる検査は、検査の一義性がなく、不備のある検査だという気がします。また、8分をこえても日中の過眠を訴える中に、ADHDやASDなどの発達障害があることは、私自身がここ4−5年取り組んでいる課題ですが、このようなケースには、DSM-5のADHD診断基準に照らして診断可能な場合には、コンサータ、ストラテラの服用も選択肢に入れています。眠気が強い場合には、コンサータを投与することが多いですが、ストラテラのケースもみられます。

一般には、過眠症治療薬のモディダールはヒスタミン系への作用が主体で、依存性が少ないと書かれていますが、日本医大の大久保教授らの論文ではドパミントランスポーターへの阻害作用も非常に強くて、報酬系を賦活することが示唆されています。

そう考えると、モディオダールもリタリンなどと比較して特別な薬剤ではなく、更には、ADHDにも効果があるとも考えられます。実際に海外論文ではADHD治療に効果がある可能性を示唆するものもあります。
Modafinil for the treatment of attention-deficit/hyperactivity disorder: A meta-analysis.

ADHD症状および、MSLTで過眠症の当てはまるケースには、どちらも投与が可能ですが、一般的には頭痛や同期などの副作用は、コンサータとモディオダールで変わりないあるいは、コンサータのほうが少ないという印象もあります。

これらを総合して考えると、検査だけでなく、様々な臨床症状(本人の困っている点を含めて)総合的に話を聞きながら、睡眠時間の延長を含めた生活の改善、慎重な薬物の選択を通じて日中の過度の眠気で困っている患者様のための生活改善のための治療方針を考えていくことの重要性を感じます。

2018年1月4日木曜日

映画: ノーカントリー

U-NEXTの無料体験のお誘いがあったので、正月でも有り申し込みました。継続するか、途中で辞めるかはまだわかりませんが、31日間無料はお得なのでおすすめです。



これで「ノーカントリー」を見ました。ノーカントリーは、例えば、Wikipediaでは、「『ノーカントリー』(原題: No Country for Old Men)は、2007年製作のアメリカ映画。コーエン兄弟製作のスリラー映画。アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、麻薬取引の大金を巡って凄惨な殺戮劇が繰り広げられる。」という解説がされています。

たくさんの映画賞をとった作品で、2007年のアカデミー賞でも4部門を受賞しています。それほどの映画という評価ですが、それも意識せずに見始めました。実際、一種のスリラー映画、あるいは、バイオレンス映画かと思い、実際に途中までは、そんな雰囲気で見ていました。しかし、終わりが近づくに連れて、奥の深さにゾッとします。

この映画は、解説をあまり読まずにみると良いと思います。かなり、残虐なシーンも出てくるので要注意ですが、ただのバイオレンス映画ではありません。

私は、お勧めする映画です。

2018年1月3日水曜日

箱根駅伝の応援にて思うこと

あけましておめでとうございます。

昨年の3月から早稲田大学を退職し、開業医になりました。開業医の生活自体は、やりがいのあるものですが、学生と触れられなくなったのは寂しく思います。そんな中で、今年も箱根駅伝の応援に行きました。

例年、箱根駅伝では、私のゼミ生が走っていませいた。有名どころは、竹澤健介や大迫傑ですが、その他にも実業団などで活躍、またすでに引退した多くの学生が箱根路を走りました。学生が襷をつなぎ、力を合わせて2日間10区間を走り抜く箱根駅伝は、多くの感動を与えてくれます。お正月の2日3日に日本国中の多くの人たちが惹きつけられる所以です。

このような長距離走だけでなく、最近の大学スポーツについては、早稲田大学スポーツ科学学術院にいた頃から、いろいろと思うことが有りました。先に述べたように私のゼミには多くの、トップレベルのアスリートが多く居ましたが、早稲田大学ではそのような学生も単位習得については特別な配慮があるわけではありませんでした。また、奨学金などの対象となるスポーツ推薦学生の数も必ずしも多くはありません。そのような中で、他大学の様子を詳しく知っているわけではありませんが、少なくとも早稲田大学に比べれば、スポーツ推薦の学生の数は多く、そういった学生に対する学費免除など経済的な援助が大きいように思われます。

このことが、良いのかどうかは、私は疑問に思っています。競技の高い学生を入学させて、学生としての学業については相当の配慮をし、多くの学生は授業料免除となり競技に専念させる。これが、学部としてのスポーツ科学、体育学教育に対してのプラスになれば良いと思いますが、結果として教室にはほとんど現れない、あるいは囲い込みでその人達の授業にしか出ないということであれば、学生スポーツの形が歪められているというふうに考えてしまいます。

上記は、日本経済新聞の編集委員による文章ですが、2020年に向けて、スポーツに対する関心が高まる中、学生スポーツのあり方についてもいろいろな議論が必要になってくると、お正月の箱根駅伝を観戦しながら、思いました。