2016年3月19日土曜日

うつ病の運動療法 (2) 介入効果の判定


うつ病の運動療法に関して、総説を書く機会が得られました。そこで、Exercise と Depressionをキーワードとして、最近の臨床研究を調べなおしてみました。新しいこの総説は、出版されてしばらくしたら、ここで読めるようにしても良いかとも思っています。

この総説には含めませんでしたが、少し面白い文献があったので紹介します。2005年に発表された、イリノイ大学のキネシオロジーのグループの論文です。論文では、174名のもともと運動習慣がなかった高齢者に対して、運動介入をしました。

運動は、6ヶ月間のウォーキング あるいは 低強度の筋肉トレーニングとストレッチ です。対象となった174名を2つの群にわけて、このどちらかの運動をさせたということです。

結果としては、どちらの群も介入を初めて、すぐにうつスコアは改善し、これは開始後60ヶ月でも継続していたということでした。運動の種類は、この改善に関連がなく、どちらの運動群も同様の改善が見られたということです。

このような結果を見て思うのは、SEDENTARY(座ってばかりの習慣)な人たちは、まずは精神的に抑うつ的になりがちだということ。それに対して、運動介入はこれを改善する効果があるということです。しかしながら、ここで運動介入は、運動したことが良かったのか、実際に心拍数が上がるなどの身体的な改善効果が効果的なのか、身体運動という介入方法が良い効果をあたえるのか(これはわかりにくいかもしれませんが、運動に関わる介入はたとえ心拍数がそれほど上がらなくても、様々な身体の部位に刺激をあたえることになるのと、その場面の様子も他の介入、たとえば認知療法とは異なったものになるとうことです)、はまだ良くわからないという気もします。

こういった論文は、興味深いですが、上記のような切り分けができる研究をしていかないと、何がうつ状態の改善に良いのかはよくわかりません。よくわからなければ、応用もできないということです。そういう意味で、この論文は今回の総説には取り上げなかったということもあります。


<引用した論文>
Depressive Symptoms Among Older Adults: Long-Term Reduction After a Physical Activity Intervention

Motl, Robert W.; Konopack, James F.; McAuley, Edward; Elavsky, Steriani; Jerome, Gerald J.; Marquez, David X.

Journal of Behavioral Medicine;Aug2005, Vol. 28 Issue 4, p385

ABSTRACT:  We examined the effects of two physical activity modes on depressive symptoms over a 5-year period among older adults and change in physical self-esteem as a mediator of changes in depressive symptoms. Formerly sedentary, older adults ( N = 174) were randomly assigned into 6-month conditions of either walking or low-intensity resistance/flexibility training. Depressive symptoms and physical self-esteem were measured before and after the 6-month intervention, and 12 and 60 months after intervention initiation. Depressive symptoms scores were decreased immediately after the intervention, followed by a sustained reduction for 12 and 60 months after intervention initiation; there was no differential pattern of change between the physical activity modes. Change in physical self-esteem predicted change in depressive symptoms. This study supports the effectiveness of an exercise intervention for the sustained reduction of depressive symptoms among sedentary older adults and physical self-esteem as a potential mediator of this effect.

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