2015年10月22日木曜日

文献:うつ病治療におけるオメガ3系脂肪酸のエビデンス(西、松岡 臨床精神薬理 2012)

以前にも、オメガ3系脂肪酸の抗うつ効果についてこのブログに書いたことがあります。最近、表題の論文を読む機会があり、これについて紹介したいと思います、

この総説論文によって、自分自身が新しく得た知識としては、DHA, EPAというオメガ3系脂肪酸のうつ病に対する効果としては、女性に効果があり、男性では効果が見られないという性差があるということです。しかし、報告によっては男性で効果があるというものも有り、まだ今後のさらなる知見が必要とされる段階であるようです。

また、オメガ3系脂肪酸の抗うつ効果についての、ランダム化比較試験(RCT)の論文を集めて、総合的に統計処理をするメタアナリシスの最近の論文では、オメガ3系脂肪酸の抗うつ効果については、有効であると結論づけています。この中では、DHAよりもEPAがより抗うつ効果として有効であることも示されています。(EPAが60%以上含まれているサプリメントを使用した場合有効。)

さて、それではこのようなオメガ3系脂肪酸がどのような機序で、抗うつ効果を発揮しているのかについて疑問が湧くわけですが、これについては、まだあまりはっきりとはわかっていないようです。仮説として有力なものは示されているので、列挙すると…。

1.抗炎症作用
2.神経新生の活性化など神経細胞への影響
3.セロトニン代謝への影響
4.CRFの調整 (CRF=corticotropin-releasing factor)の調整
5.Protein Kinase Cの阻害
6.HRV(心拍変動)の調整
7.シナプス形成の亢進
8.脳血流量の改善

等が挙げられています。

まだ、メカニズムもわかっておらず、エビデンスとしてもまだ不安定な要素のあるものでは有りますが、やはり食事というのは精神衛生に対して影響を与える者の一つであることは間違いないと思います。今後も、研究の動向に注目していきたいトピックの一つだと思っています。

1 件のコメント:

  1. オメガ3系脂肪酸の抗うつ効果については、有効であると結論づけています。
     出典を教えてください

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