2015年8月10日月曜日

悪夢に対する治療 (2) AASMによる悪夢治療のBest Practice Guide

悪夢に対する治療について調べてみたところ、下記のような総説がありました。

Best Practice Guide for the Treatment of Nightmare Disorder in Adults
成人における悪夢に対する最良の治療法ガイド
Journal of Clinical Sleep Medicine, Vol. 6, No. 4, 389-
R. Nisha Aurora, M.D. et al.

Nighmare by Steven Stahlberg
著者のAuroraという人は、マウントサイナイ医科大学の医者のようです。私は、名前は知りませんでした。

さて、この総説を読むと、まず最初に悪夢に対する臨床研究は、そのほとんどがPTSD(外傷後ストレス障害)にともなう悪夢障害に対する治療です。したがって、この悪夢ガイドもPTSDにともなう悪夢に対する治療について述べられていました。

13ページに渡る解説ですが、内容的にはさほど込み入ったことは書かれていません。治療という観点から解説すると以下の様なものです。



・ 悪夢は、ノルアドレナリン系の過活動によるものであろうと考えられている。
・ 薬物療法としては、ミニプレス(Prazosin:αアドレナリン受容体アンタゴニスト)が、グレードAの治療評価を受けている。
・ その他の、エビデンスレベルの低い薬剤としては、Clonidine, Trazodone, Olanzapine, Risperidone, Aripiprazole, Topiramate, Fulvoxamine, Triazolam, Phenelzine, Gabapentin, Cyproheptadine, 三環系抗うつ薬, Nifazodoneなどが挙げられています。
・ 日本では発売されていませんが、Venlfafaxineは治療に推奨されないとされています。
・ 認知行動療法としては、イメージ・リハーサル療法(IRT: Image Reharsal Therapy)が推奨される。【これは、悪夢を思い出し、それを実際に記述し、そして、その悪夢のストーリーを自分でよりポジティブな方向に改編するという作業をするものです。これによって、悪夢による誤った、あるいは歪んだ認知を矯正する作用があるとされています。覚醒した後に、10-20分くらいの時間をかけて行うものです。

・ 特発性の悪夢に対しては、Progressive Deep Muscle Relaxation Training (漸進性筋弛緩法)がグレードBで推奨される。この方法については、こちらのリンクを参照。


PTSDの悪夢治療として、ミニプレスは使ったことが無かったので、適応のある患者さんには試してみても良いと思います。ただ、降圧剤なので血圧には気をつけなければいけません。また、漸進性筋弛緩法は、今後も多くの患者さんに試してみましょう。


この論文で、クロニジンの睡眠に対する効果について、私のグループで以前行った研究論文が引用されていたのは、ちょっと嬉しかったです。


推奨グレード (Wikipediaより引用)

推奨の強さの分類と表示 
グレードA強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる
グレードB行うよう勧められる
グレードC1行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない
グレードC2科学的根拠がないので、勧められない
グレードD無効性あるいは有害性の科学的根拠があり、行わないよう勧められる
「根拠の強さ」の分類と表示
グレードA言いきれる強い根拠がある
グレードB言いきれる根拠がある
グレードC言いきれる根拠がない
※グレーディングの根拠
グレードA少なくとも1つのレベル1(1a/1b)の研究がある
グレードB少なくとも1つのレベル2(2a/2b)の研究がある

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