2014年8月1日金曜日

第2回 埼玉県スポーツ精神医学懇話会: アスリートの摂食障害

7月31日木曜日に、大塚製薬株式会社の主催で、第2回埼玉県スポーツ精神医学懇話会が所沢で開催されました。この会は、本年1月に1回目の会を開催し、今回第2回めを開くことが出来ました。主には、埼玉県西部の精神科の先生方にお集まり頂いていますが、第1回めから獨協医科大学の精神科主任教授下田和孝先生にも来て頂いています。お弁当を食べながらのクローズドな会ですが、参加を希望される精神科医あるいはアスリートの治療に関わっておられるスポーツドクターやスポーツ関係の方がおられましたらお知らせください。

会の目的は、アスリートの治療に経験のある精神科医の数を増やしていくことです。そのために、アスリートの診療に関わる情報を、ケーススタディーを通じて共有していくのが大きな目的の一つです。精神的な問題を抱えたアスリートは少なからず居るにもかかわらず、必ずしもその治療が効率的に行われていないという側面があります。これは、いくつかの理由がありますがその一つには、アスリートが精神科にかからないという事、そしてアスリートの診療に慣れた精神科医が少ないということもあります。慣れていない精神科医はアスリートの事情を考慮せずに治療を行うということがあり、そのため、アスリートは一般のスポーツドクターに話をきてもらう時のように、競技に関連した話しが噛み合わないという結果になってしまいがちです。この会で、様々な情報を共有する中で、スポーツに興味をもち、アスリートの治療についての経験を積むスポーツドクターの精神科医が増えると良いと思っています。

今回は、摂食障害を取り上げました。会では最初に私がアスリートの摂食障害(Anorexia Athletica)についての概論をお話し、二人の治療者が一例ずつのケーススタディーを行いました。女子アスリートに摂食障害は比較的多くみられ、特に審美的要素のあるスポーツ、重量階級制のあるスポーツ、体重が減ると競技力が伸びるスポーツなどに多いと言われています。しかし、実際に診察をしていると必ずしも、そういった競技だけでもないように思われます。

最初の概論では、以前の大学院生が行った女子アスリート(新体操、体操、一般学生)の質問紙による調査の結果もお話しました。この研究は、2005年に行ったもので、対象は関東にある大学に在籍する女性158名で、無記名式の質問紙調査を実施したものです。そのうち67名は体育大学の運動部(新体操45名、体操競技22名)91名は運動部に所属しない一般学生でした。調査には、EDI-2という摂食障害研究でよく用いられる質問紙と、独自に作成した質問紙を用いました。

いくつかの興味深い結果があったのですが、そのうちいくつかをまとめると以下のとおりです。
・ 新体操選手では、BMI 18.5以下の割合が他よりも有意に多い
・ 一般学生に比べて、体操、新体操選手では初潮年齢が有意に高い
・ 新体操選手は、多食の傾向が強い
・ 身体への不満は、体操群で低く、新体操と、一般学生で高い
などのことが分かりました。

この中で、初潮年齢の問題は、育ち盛りの小中学生が、競技を優先するために充分な発育ができないという現状が示唆されたようにも思います。初潮年齢を優先すれば、しかし、競技力が十分伸びず、結果として競技で勝てないということがあれば、何のために競技をやっているのかわからないという意見もあると思います。いずれにしても、この問題はエビデンスはしっかり共有しながら、議論を進めていくべき問題だと思っています。

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