2014年6月11日水曜日

DSM5 (2) Hanah Deckerの書いたDSMの歴史

Feinberg先生が、DSM5について批判的だったのは先述のPsychiatric Timesの記事からもわかりますが、彼にその話題について聞いたところ、アメリカではもう出版されて1年も経つので、すこし風化した話になっていました。それでも、彼がDSM-IVの編纂に携わったAllen Francisと連絡をとった話などを聞かせてくれました。興味深い話は、DSM-IVの著作権が切れて、新しい診断基準を出すことで、これで大きなお金が動き、アメリカ精神医学会(APA)にかなりのお金が入るということが一つの目的だった言うようなことで、こういうことは、公にそう言う人は居ないでしょうが、そういう側面もあったのだろうなと思います。




またこういう診断基準によって、精神医学の概念が固定されるということがあって、今回の改訂はそのことを強く意識することにもなったという気がするという話をしました。DSMのような診断カテゴリーはよく勉強すればするほど、この患者さんはどこに当てはまるのかと強く考える結果になりますが、そうすると診断基準にない症状や患者さんを取り巻く問題がおろそかになる可能性もあります。このようにカテゴリー分類は、自由な思考を固定化し拘束する面もあるので、このような面には注意は必要だと思います。

更に、議論をしていて思ったのは、このような分類や診断基準を日本の精神科医は、今度はこうなったと頭から受け入れるのが良いのかどうかも疑問でした。やはり、日本では日本の事情にあった診断カテゴリー分類があったほうが良いのではないでしょうか。国際的な共通性を考える場合には、ICDカテゴリーとの対応を考慮する必要はあると思いますが、DSMに日本の精神医学が盲目的に従う必要もないように思いました。

ただ、この機会にDSMについてはもう一度勉強してみようという気にもなりました。先にも書いたように、診断カテゴリー分類は臨床精神医学の全体的な概念を校正する疾患群をどう捉えるかということでもあるので、臨床家にとってはやはり良い勉強になることは間違いないとは思います。

そんなことで、ネットを見ているうちにHanah Deckerという歴史学者が書いた、DSMの歴史についてのエッセイを見つけました。これが短いながらも、DSMの歴史をIから5まで書いてあり、また洞察も深いので大変参考になりました。これは、別の機会に紹介してみたいと思います。更に、Decker先生の書いた本なども探してみましたが、このような診断学の歴史を少し勉強してみようかという気になってきました。



*一つ疑問に思った点。DSMはIVまでは、ローマ数字で記載しているのに、どうして第5版からはアラビア数字になったのか?
→ 読者からの情報:5.1, 5.2と改訂していく予定だからだそうです。

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