2014年4月24日木曜日

記銘力障害スクリーニングテスト MIS: Memory Impairment Screen

先日の認知症の会で、 医療法人相生会認知症センターの中野正剛先生のお話は、なかなか歯切れがよくてわかりやすいお話でした。その中で、MISという記銘力障害の簡単なテストが紹介されたので、論文を調べてみたところ、アルツハイマー病のスクリーニングには適しているという論文が出ていた。Buschkeら(1999)による論文です。これは、4つの単語の記名をテストするものですが、この論文によれば高い検出率で、認知症の記銘力障害を検出することができるということでした。

このMISというのは、非常に簡単なテストです。米国アルツハイマー財団のホームページにそのやり方が出ておりましたので、簡単に説明すると次のようなものです。(拙訳)。

1.まず、「これから私が、4つの単語を言いますので、それを覚えてください。これらの4つの単語は、それぞれ違う仲間の単語です。私が4つの単語を言い終わったら、繰り返してください。」と指示します。

2.例えば: 理科、工場、警察官、歯ブラシ。

3.その後、「覚えやすいように、それぞれの言葉のカテゴリー(これをどう訳すかですが、ここでは「説明になる様な言葉」としたいと思います)と一緒にいいいますので、また繰り返して覚えてください。」と指示します。

4.学校の科目-理科、建物-工場、職業-警察官、洗面用品-歯ブラシ
という具合です。
(この英語の解説は、単語として日本語に合わないものもあるので、日本では日本語にあう単語を用いると良いように思います。)

5.この後に、干渉課題を行います。これは、暗記のための努力をずっと続けられないように他のことをやらせるということです。ここでは、30秒間、できるだけたくさんの動物の名前を言ってくださいと言い、その後、4つ以上言えた人には、更に難しい名前を、4つ以上言えなかった人には、続けて動物の名前を言ってくださいといって、30秒間続けます。

6.この1分の干渉課題の後に、「先程覚えてもらった、4つの単語を言ってください。」と聞きます。この時に4つとも答えられれば終わりです。

7.もし答えられなければ、カテゴリー名を言います。これによって、答えられる痰が増えることもあります。

8.最後に点数化ですが、カテゴリーを言わなくても答えられたものを2点、カテゴリーを言って答えられたものを1点として、8点満点で採点します。




ここに示したのは、下記のBuschkeらの論文の表ですが、これを見ると、4点くらいをボーダーとすると、認知症の診断に役立つように思います。4点ですと、認知症の人の8割が引っかかってきますし、そのうちの96%が認知症(逆にいうと4%が誤って認知症になってしまう)という特異性があるということになります。

これは、比較的簡単なテストですので、一般の臨床でも使用してみたいと思いました。


Buschke et al. Screening for dementia with the Memory Impairment Screen NEUROLOGY 1999;52:231–238

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。