2014年4月12日土曜日

統合失調症の軽症化 (1)

統合失調症が軽症化しているという事が言われています。これは、私自身も非常に強く感じるところではありますが、これにはどんなエビデンスがあるのかとふと思いました。Google Searchをしてみると、東京都精神医学総合研究所の糸川昌成先生の文章が最初に出てきます。http://prit.igakuken.or.jp/Ja/PSchizo_Dep/TSchizo/kango.html  糸川先生は、東京医科歯科大学の医局の後輩で、私がアメリカに住んでいた頃にアメリカにいらして、サンフランシスコを案内したこともありました。彼の文章では、「近年,統合失調症全体が軽症化し,破瓜型でもひどい人格荒廃に至る症例が減少しました。」と書かれています。しかし、ここにも、どのようなエビデンスを示した論文があるのかは、書かれていません。

更に調べてみると、石丸昌彦先生の文章も見つけました。 http://lib.ouj.ac.jp/nenpou/no27/27-1.pdf  彼も、医局の後輩で、みんなよく頑張っているなぁという気持ちで嬉しく思います。彼も、文章の中の最後の「おわりに」というところで、軽症化は治療の進歩で予後が改善されたのではなく、初診で出会う患者さんの病像が軽症化していると言っています。

確かに、昔私が医者になった頃は病棟に入ると、無動状態(カタトニー)の患者さんが居たりというようなことがありましたが、そういう患者さんに出会うことは少なくなりました。もっとも、現在病棟のある病院に勤めていないということもあるかもしれません。

初診の患者さんで、軽症化が見られるということであれば、軽症のうちに受診するようになったということも言えるかもしれません。それは、価値観の多様化と関係があるのでしょうか。あるいは、精神科受診の敷居が低くなったということもあるかもしれません。

もし、このような文化的な背景が軽症化に影響を及ぼしているということが事実なら、海外の事情で、旧共産圏と西側社会での症状の違いがあっても良いと思います。このようなことを含めて、統合失調症の軽症化が事実としてあるのであれば、何らかのエビデンスが提出されていても良いと思います。もう少し海外の文献を含めて探してみたいと思っています。そう思って、タイトルにも(1)をつけておきました。

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