2014年3月11日火曜日

睡眠薬の使い方

このブログは、一般向けに書いているつもりですが、時々専門的になってしまうこともあります。こちらの意図としては、例えば受診中の患者さんが、自分の診療とほかの診療を比較してみることができて、セカンドオピニオン的な情報が得られる情報を提供できると良いというところもると思います。このエントリーもそのような視点で書いています。

睡眠薬については、精神科一般外来ではよく用いられていて、睡眠薬の使い方についてはいろいろと考えてきました。まずは、睡眠薬の一般て知識として睡眠薬の種類について。

バルビツール酸系  ラボナ、イソミタールなど
   これは、外来では使いません。眠くはなりますが、良くない副作用も多いので。
ベンゾジアゼピン系 ハルシオン、レンドルミン ~ ロヒプノール、ベンザリンなど
   多く用います。この使い方が大切です。
ノンベンゾジアゼピン系  マイスリー、ルネスタ、アモバン
   ベンゾジアゼピン受容体に作用するという点では、ベンゾジアゼピン系と同じ。化学構造が異なっている。
メラトニンアゴニスト  ラメルテオン(ロゼレム)
   副作用が少なくて良い薬だと思っています。リズム障害にも著効例があります。
(発売予定と聞いているオレキシンアンタゴニスト)
   まだ使ったことが無いのでわかりませんが、期待できると思っています。

この中では、ベンゾとノンベンゾが最もよく使われています。これらの薬は、まずは少量から使うのが基本です。例えば、マイスリーなども5mg錠というのが最も少量の剤形ですが、この半分量を使うことも多くあります。睡眠薬は増やすと、時に患者さんの方で減らすのが不安だということに容易になってしまうので、効果があることをきちんと説明して少量からスタートします。

薬剤の選び方は、半減期と筋弛緩作用などのバランスから選びます。まずは、短時間型から選ぶのも良いと思います。中途覚醒や早朝覚醒のある人については、作用時間が比較的長いものを用いることもあります。この場合に、筋弛緩作用という副作用が少ない薬物ということで、ノンベンゾを第一選択として考えることが私は多くあります。つまり、ゾルピデム(マイスリー)あるいはエスゾピクロン(ルネスタ)です。

筋弛緩作用を引き起こすベンゾジアゼピンの作用部位は、抗不安効果の作用部位と同じなので、あえて筋弛緩作用もある程度ある中間作用型の薬物を投与することもあります。例えば、血中半減期が24時間のフルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレースなど)は、血中濃度としては朝残っています。時にふらつきなどの副作用がみられますが、抗不安作用もあるので翌日の日中も低容量の血中濃度が抗不安作用として働く可能性もあります。

睡眠薬は、通常の服用量では、頑張って起きていられなくなることは少ないです。また、24時間の半減期でも、朝はきちんと起きられます。これは、睡眠は24時間の体内時計によって制御されているためで、睡眠薬を飲んでいても、明け方からはコルチゾールが分泌され、メラトニンの分泌は減少し、体温が上がってきます。したがって、体は起きる準備ができ、なおかつ睡眠薬によって十分な睡眠がとれているために朝に多少の薬物の血中濃度があっても覚醒は可能なわけです。

このように、睡眠薬は患者さんの不安の度合いや、睡眠障害の種類、あるいは高齢者でふらつきを避けたほうが良いかなど、様々な要因を考慮しながら選ぶのが良いわけです。

この他に、ラメルテオン(ロゼレム)という全く異なった作用機序の薬があります。これは、メラトニンと同じような働きをする薬物ですが、この薬物は、体内時計にも作用します。例えば、寝付きが悪い人にこの薬を夕方少量(例えば半錠)投与すると、飲んだばかりの時の眠気はあまり無いのですが、早い時間に眠くなるようなリズムのシフト(眠気が来る時間が早くなる)がおきます。これによって、入眠困難が解消されるわけです。このような使い方には、時間生物学の知識が必要です。

今後、オレキシン受容体に働く睡眠薬なども発売されるという情報もあります。このような薬物はまたベンゾジアゼピンとは異なった作用があるので、これらをきちんと医学的根拠に則って用いることで、少量の薬物で快適な睡眠が取れるようになることが期待されます。

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